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■36協定と上限・効力

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2025年10月23日
  • 読了時間: 7分

ここでは36協定と上限・効力についてお伝えします。




【36協定と上限・効力】


<36協定(労基法36条第1項)>

法定労働時間を超えて時間外労働をさせ、又は法定休日に労働させるには、使用者は、過半数労働組合又は過半数代表者との書面による協定を締結し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。


<36協定の効力(労基法36条第1項)>

事業場の労働者の過半数で組織する労働組合と36協定を締結した場合、その効力は、当該労働組合の組合員だけでなく、他の少数労働組合の組合員及び非組合員にも及ぶ。


<36協定の記載事項(労基法36条第2項)>

36協定には、次の事項を定めなければならない。

①時間外労働又は休日労働をさせる労働者の範囲

②対象期間(1年間に限る。)

③時間外労働又は休日労働をさせることができる場合

④対象期間における1日、1か月及び1年のそれぞれの期間について、時間外労働をさせることができる時間又は休日労働をさせることができる日数

⑤時間外労働及び休日労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項


<過半数代表者の要件(労基則6条の2第1項・第2項)>

過半数代表者は、労基法41条第2号に規定する管理監督者でなく、36協定を締結する者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の民主的な手続により選出された者でなければならない。使用者の意向に基づいて選出された者は、過半数代表者となることができない。


<過半数代表者の保護等(労基則6条の2第3項・第4項)>

使用者は、労働者が過半数代表者であること、過半数代表者になろうとしたこと又は過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。使用者は、過半数代表者が協定締結等に関する事務を円滑に遂行できるよう、必要な配慮を行わなければならない。


<効力の発生(労基法36条第1項)>

36協定は、締結するだけでは免罰的効力を生じず、所轄労働基準監督署長への届出により効力を生ずる。届出前に法定労働時間を超えて労働させ、又は法定休日に労働させた場合は、労基法32条又は35条違反となる。


<36協定と時間外・休日労働命令>

36協定は、時間外・休日労働を労基法違反としない免罰的効力を有するが、それ自体によって労働者に時間外・休日労働の義務を生じさせるものではない。使用者が時間外・休日労働を命ずるには、労働契約又は合理的な就業規則上の根拠が必要となる。


<時間外労働の原則的上限(労基法36条第3項・第4項)>

36協定で定める時間外労働の上限は、原則として1か月45時間及び1年360時間である。1年単位の変形労働時間制により対象期間が3か月を超える場合は、1か月42時間及び1年320時間である。


<特別条項(労基法36条第5項)>

通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い、臨時的に原則的上限を超えて労働させる必要がある場合は、特別条項付き36協定を締結することができる。時間外労働が1か月45時間を超えることができるのは、1年について6か月以内に限られる。


<特別条項を設けた場合の上限(労基法36条第5項・第6項)>

時間外労働は1年720時間以内、時間外労働と休日労働の合計は1か月100時間未満、時間外労働と休日労働の合計は2か月から6か月までの各平均がすべて1か月当たり80時間以内でなければならない。時間外労働が1か月45時間を超えることができるのは、1年について6か月以内に限られる。1か月100時間未満及び複数月平均80時間以内の上限は、特別条項を設けた場合に限らず遵守しなければならない。


<研究開発業務に対する上限規制の適用除外(労基法36条第11項)>

新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務には、時間外労働の原則的上限である1か月45時間・1年360時間、特別条項による1年720時間・年6か月以内の上限並びに時間外労働及び休日労働の合計を1か月100時間未満・2か月から6か月平均80時間以内とする上限は適用されない。ただし、36協定の締結及び届出並びに割増賃金の支払は必要である。


<法定上限を超える36協定の効力(労基法36条第4項・第5項)>

36協定において、原則的上限である1か月45時間・1年360時間(対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制では1か月42時間・1年320時間)を超える時間を定めた場合、又は特別条項において、時間外労働を1年720時間を超えて定めた場合若しくは1か月45時間を超えることができる月数を1年につき6か月を超えて定めた場合、その36協定は全体として無効となる。


<健康及び福祉を確保するための措置(労基法36条第5項)>

特別条項付き36協定には、限度時間を超えて労働させる労働者の健康及び福祉を確保するための措置を定めなければならない。


<代替休暇制度(労基法37条第3項)>

1か月60時間を超える法定時間外労働については、50%以上の割増賃金を支払わなければならない。労使協定を締結した場合は、労働者の意思により、引上げ分の割増賃金の支払に代えて有給の代替休暇を与えることができる。代替休暇は、1か月60時間を超える法定時間外労働があった月の末日の翌日から2か月以内に与えなければならない。労働者が代替休暇を取得しない場合は、引上げ分を含む割増賃金を支払わなければならない。


<罰則(労基法119条第1号)>

36協定を締結及び届出せずに法定時間外労働又は法定休日労働をさせた場合や、法定上限を超えて労働させた場合は、6か月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処せられる。



【坑内労働等の労働時間の上限(労基法36条第6項第1号、労基則18条)】


<労働時間延長の上限(労基法36条第6項第1号)>

坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務については、36協定を締結・届出した場合であっても、労働時間の延長は1日について2時間を超えてはならない。


<坑内労働等の時間外労働の制限(労基法36条第6項第1号)>

坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務については、時間外労働は1日2時間を超えてさせることができない。この制限は、法定労働時間を超える部分だけでなく、変形労働時間制における所定労働時間を超える部分についても適用される。


<健康上特に有害な業務(労基則18条)>

健康上特に有害な業務には、多量の高熱物体又は低温物体を取り扱う業務、著しく暑熱又は寒冷な場所における業務、有害放射線にさらされる業務、土石・獣毛等の粉じん又は粉末を著しく飛散する場所における業務、異常気圧下における業務、削岩機等の使用により身体に著しい振動を与える業務、重量物の取扱い等重激な業務、強烈な騒音を発する場所における業務、鉛・水銀等の有害物を取り扱う業務がある。


<休日労働との関係(労基法36条第6項第1号)>

1日2時間の上限は、法定労働時間を超えて延長する時間に対する制限であり、休日労働の時間について一律に1日2時間又は10時間を上限とする規定ではない。



【36協定の本社一括届出】


<原則>

・36協定(時間外・休日労働に関する協定)は、事業場ごとに締結し、各事業場の所轄労基署長へ届出する必要がある。


<特例:本社一括届出>

・一定の条件を満たせば、本社が複数の事業場分の36協定をまとめて一括で届出できる。

・この場合も、36協定自体は事業場ごとに作成する必要がある。


<一括届出の条件>

① 本社と全部または一部の本社以外の事業場に係る36協定の内容が同一であること。

② 本社の所轄労基署に届出する際、本社分だけでなく、本社以外の対象事業場分の36協定も同時に届け出ること。


<イメージ>

- 本来:事業場A→Aの労基署へ、事業場B→Bの労基署へ…と別々に届出。

- 特例:事業場A・B・Cの協定を本社がまとめて、本社の所轄労基署へ一括提出(条件を満たす場合)。

- 労基署は「各事業場ごとに届出があったもの」とみなす。


<ポイント>

・36協定の締結は、各事業場ごとに過半数代表(労組または過半数代表者)と行う。

・届出の手間を省けるが、協定書自体を一つにまとめて作るわけではない。




この記事では36協定と上限・効力についてご紹介しました。

次回に続きます!











 


 
 

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