■労災保険法(第三者行為・事業主責任災害)
- 筒井

- 7月24日
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更新日:8月9日
ここでは第三者行為・事業主責任災害との調整についてお伝えします。
【労災保険法|第三者行為災害】
<第三者行為災害>
第三者行為災害とは、労災保険給付の原因となった事故が第三者の行為によって生じ、被災労働者又はその遺族に対して第三者が損害賠償義務を負う災害をいう。
第三者行為災害であっても、業務上の事由又は通勤による災害に該当するときは、労災保険給付が行われる。
<第三者行為災害の届出(則22条)>
保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じたときは、保険給付を受けるべき者は、その事実、第三者の氏名及び住所並びに被害の状況を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
第三者の氏名又は住所が明らかでないときは、その旨を届け出る。
正当な理由なく第三者行為災害届を提出しない場合は、保険給付の支払が一時差し止められることがある。
<求償(法12条の4第1項)>
政府が第三者の損害賠償より先に保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する。
政府が取得した損害賠償請求権を第三者又は保険会社等に対して行使することを求償という。
求償の対象となるのは、原則として災害発生後5年以内に行われた保険給付である。
ただし、自賠責保険に対する損害賠償請求権を行使することができる期間は3年である。
<控除(法12条の4第2項)>
受給権者が第三者から労災保険給付より先に同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府は、その価額の限度で保険給付を行わないことができる。
控除を行う期間は、原則として災害発生後7年間である。
<同一の事由>
求償及び控除の対象となるのは、労災保険給付と同一の事由により填補される損害に限られる。
療養(補償)等給付は治療費、休業(補償)等給付及び傷病(補償)等年金は休業によって得ることができなくなった利益、障害(補償)等給付は身体障害によって得ることができなくなった利益、介護(補償)等給付は介護費用、遺族(補償)等給付は労働者の死亡によって遺族が得ることができなくなった利益、葬祭料等は葬祭費と対応する。
<遺族補償年金と逸失利益の損益相殺的調整 最判平成27年3月4日>
遺族補償年金は、労働者の死亡による遺族の被扶養利益の喪失を填補することを目的とする。
遺族補償年金による填補の対象となる損害は、被害者の死亡による逸失利益等の消極損害と同性質であり、かつ、相互補完性を有する。
被害者が不法行為によって死亡し、その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受け、又はその支給を受けることが確定したときは、逸失利益等の消極損害との間で損益相殺的な調整が行われる。
その損益相殺的な調整は、損害の元本との間で行われ、遅延損害金との間では行われない。
<支給調整の対象外>
慰謝料は精神的損害に対する賠償であり、労災保険給付と同一の事由によるものではないため、求償及び控除の対象とならない。
見舞金、香典、自動車の修理費、遺体捜索費、義肢及び補聴器等の労災保険給付の対象外となる損害も、求償及び控除の対象とならない。
特別支給金は保険給付ではなく社会復帰促進等事業として支給されるため、求償及び控除による支給調整の対象とならず、全額支給される。
【労災保険法|事業主責任災害・支給調整基準】
<事業主責任災害(法附則64条1項)>
事業主が同一の事由について損害賠償をする責任を負う場合において、遺族(補償)等年金又は遺族(補償)等年金前払一時金の支給が行われたときは、事業主は、その額の限度で、損害賠償の責めを免れる。
<前払一時金の最高限度額による調整(法附則64条1項)>
遺族(補償)等年金の受給権者が遺族(補償)等年金前払一時金を請求することができる場合において、事業主から損害賠償を受けることができるときは、事業主は、当該受給権が消滅するまでの間、前払一時金の最高限度額の損害発生時の法定利率による現価の限度で、損害賠償の履行をしないことができる。
<支給調整基準(法附則64条2項)>
保険給付と損害賠償との調整は、厚生労働大臣が定める基準により行われる。
精神的損害、慰謝料及び見舞金等は調整の対象とならない。
調整は、支給権取得日から9年を超えない期間で行う。
この記事では第三者行為・事業主責任災害についてご紹介しました。
次回に続きます!