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■女性・妊婦さんの労働

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2024年8月21日
  • 読了時間: 8分

ここでは女性・妊婦の労働についてお伝えします。



【妊産婦の保護と育児時間(労基法64条の3、65条〜67条)】


<妊産婦の範囲(労基法64条の3第1項)>

・妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。


<産前休業(労基法65条第1項)>

・使用者は、6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合、その女性を就業させてはならない。

・多胎妊娠の場合は、14週間以内に出産する予定の女性が対象となる。

・産前休業は本人の請求が必要であり、出産日は産前休業に含まれる。


<産後休業(労基法65条第2項)>

・使用者は、産後8週間を経過しない女性を、本人の請求の有無にかかわらず就業させてはならない。

・ただし、産後6週間を経過した女性が就業を請求し、医師が支障がないと認めた業務については、就業させることができる。


<軽易業務への転換(労基法65条第3項)>

・使用者は、妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務に転換させなければならない。

・産後の女性には、この規定は適用されない。


<変形労働時間制における制限(労基法66条第1項)>

・使用者は、妊産婦が請求した場合、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制を採用していても、1日8時間又は1週40時間を超えて労働させてはならない。


<時間外労働・休日労働の制限(労基法66条第2項)>

・使用者は、妊産婦が請求した場合、時間外労働又は法定休日労働をさせてはならない。


<法41条該当者への不適用(労基法41条・66条第2項、昭61.3.20基発151号・婦発69号)>

・監督又は管理の地位にある者など、労基法41条に該当する妊産婦には、労働時間・休憩・休日の規定が適用されないため、労基法66条第2項の時間外労働・休日労働の制限も適用されない。

・したがって、法41条該当者である妊産婦が請求しても、労基法66条第2項に基づいて時間外労働又は休日労働を禁止することはできない。


<非常災害時等の例外の不適用(労基法66条第2項)>

・妊産婦が請求した場合は、労基法33条第1項・第3項及び36条第1項の規定にかかわらず、時間外労働又は休日労働をさせてはならない。

・災害その他避けることのできない事由によって臨時の必要がある場合であっても、労基法33条第1項に基づいて時間外労働又は休日労働をさせることはできない。


<深夜業の制限(労基法66条第3項)>

・使用者は、妊産婦が請求した場合、午後10時から午前5時までの深夜業をさせてはならない。


<育児時間(労基法67条)>

・生後満1年に達しない子を育てる女性は、労基法34条の休憩時間とは別に、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができる。

・使用者は、育児時間中、その女性を就業させてはならない。

・育児時間は女性労働者だけに認められ、男性労働者には労基法67条は適用されない。



【妊産婦の請求による時間外・休日労働の制限(労基法66条2項)】


<内容>

妊産婦(妊娠中または出産後1年以内の女性)が請求した場合、使用者は労働基準法33条(災害時の特例)および36条(36協定)にかかわらず、時間外労働や休日労働をさせてはならない。


<例外>

ただし、労働基準法41条2号に定める「監督または管理の地位にある者」には、この請求による免除は適用されない。


<まとめ>

妊産婦が「残業・休日出勤をしたくない」と請求した場合、会社はそれに従う義務がある。

ただし、管理職などの監督的地位にある妊産婦には、この保護は及ばない。



【妊産婦等の危険有害業務の就業制限(労基法64条の2・64条の3、女性労働基準規則1条〜3条)】


<妊産婦の範囲(労基法64条の3第1項)>

・妊産婦とは、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性をいう。


<危険有害業務の就業制限の区分(労基法64条の3、女性則2条・3条)>

・危険有害業務には、妊娠中の女性だけが禁止される業務、妊産婦が禁止される業務、産後1年を経過しない女性が申出をした場合に禁止される業務及び妊産婦以外の女性も禁止される業務がある。


<妊産婦以外の女性も禁止される業務(労基法64条の3第2項、女性則2条1項1号・18号、3条)>

次の業務は、妊産婦に限らず、すべての女性について就業が禁止される。

①一定重量以上の重量物を取り扱う業務

・満16歳未満:断続作業12kg以上、継続作業8kg以上

・満16歳以上満18歳未満:断続作業25kg以上、継続作業15kg以上

・満18歳以上:断続作業30kg以上、継続作業20kg以上

②鉛・水銀・マンガン・有機溶剤等の有害物を発散する場所における一定の業務


<妊婦及び産婦に共通して禁止される業務(労基法64条の3第1項、女性則2条1項・2項)>

次の業務は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性について、本人の申出の有無にかかわらず禁止される。

①一定重量以上の重量物を取り扱う業務

②有害物を発散する場所における一定の業務

③さく岩機、鋲打機等、身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務


<妊婦は全面禁止・産婦は申出により禁止される業務(労基法64条の3第1項、女性則2条1項2号〜12号・15号〜17号・19号〜23号、2項ただし書)>

次の業務は、妊娠中の女性については本人の申出がなくても禁止される。

産後1年を経過しない女性については、その女性が当該業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合に限り禁止される。

①ボイラーの取扱いの業務

②ボイラーの溶接の業務

③つり上げ荷重5トン以上のクレーン若しくはデリック又は制限荷重5トン以上の揚貨装置の運転

④運転中の原動機又は動力伝導装置の掃除、給油、検査、修理又はベルトの掛換え

⑤クレーン、デリック又は揚貨装置の玉掛け

⑥動力で駆動する土木建築用機械又は船舶荷扱用機械の運転

⑦一定規模以上の丸のこ盤又は帯のこ盤への木材の送給

⑧操車場における軌道車両の入換え、連結又は解放

⑨蒸気又は圧縮空気で駆動するプレス機械又は鍛造機械による金属加工

⑩動力プレス機械、シャー等による厚さ8mm以上の鋼板加工

⑪岩石又は鉱物の破砕機又は粉砕機への材料の送給

⑫足場の組立て、解体又は変更

⑬胸高直径35cm以上の立木の伐採

⑭機械集材装置、運材索道等による木材の搬出

⑮多量の高熱物体を取り扱う業務

⑯著しく暑熱な場所における業務

⑰多量の低温物体を取り扱う業務

⑱著しく寒冷な場所における業務

⑲異常気圧下における業務


<ボイラー業務の取扱い(女性則2条1項2号・3号、2項ただし書)>

・対象となるボイラーは、労働安全衛生法施行令1条3号に規定するボイラーをいう。

・ボイラーの運転、監視、燃焼の調整、水位や圧力の確認等を行う取扱業務及びボイラー本体の溶接業務が対象となる。

・妊娠中の女性は、本人が就業を希望しても、ボイラーの取扱い及び溶接業務に就かせることはできない。

・産後1年を経過しない女性は、当該業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合、就かせることができない。

・産婦については「申出により就業が認められる」のではなく、「従事しない旨の申出により就業が禁止される」。

・申出がない場合には、労基法64条の3による就業禁止の対象とはならない。


<妊婦だけが禁止される業務(労基法64条の3第1項、女性則2条1項13号・14号)>

次の業務は妊娠中の女性について禁止されるが、産後1年を経過しない女性については、労基法64条の3による就業禁止の対象とはならない。

①土砂が崩壊するおそれのある場所又は深さ5m以上の地穴における業務

②高さ5m以上の場所で、墜落により労働者が危害を受けるおそれのある場所における業務


<坑内業務の就業制限(労基法64条の2、女性則1条)>

・妊娠中の女性は、坑内で行われるすべての業務に就かせてはならない。

・産後1年を経過しない女性が坑内業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合も、坑内で行われるすべての業務に就かせてはならない。

・上記以外の満18歳以上の女性についても、坑内における次の業務は禁止される。

①人力による土石、岩石又は鉱物の掘削・掘採

②動力による土石、岩石又は鉱物の掘削・掘採(遠隔操作によるものを除く)

③発破による土石、岩石又は鉱物の掘削・掘採

④ずり・資材の運搬、覆工コンクリートの打設等の掘削・掘採に付随する業務



【生理休暇の取扱い(労基法68条、最三小昭60.7.16エヌ・ビー・シー工業事件)】


<制度の内容(労基法68条)>

・生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合、使用者は、その女性を生理日に就業させてはならない。

・使用者は請求を拒否できず、就業を強制することもできない。

・暦日単位に限られず、半日又は時間単位で請求することもできる。

・休暇日数について、労基法上の上限は設けられていない。


<賃金の取扱い(労基法68条)>

・労基法は、生理休暇中の賃金を有給とすることまでは義務付けていない。

・有給とするか無給とするかは、労働協約、就業規則又は労働契約の定めによる。

・有給の定めがない場合は、生理休暇を取得した時間又は日について賃金を支払わないことができる。


<年次有給休暇との関係(労基法39条・68条)>

・生理休暇は年次有給休暇とは別の制度であり、年次有給休暇をすべて取得していても請求できる。

・生理休暇を取得したことによって、年次有給休暇の日数が当然に減少するものではない。

・生理休暇を無給とする定めがある場合、その休暇時間又は休暇日は無給となる。


<最高裁判例(最三小昭60.7.16エヌ・ビー・シー工業事件)>

・労基法68条の趣旨は、生理日の就業が著しく困難な女性が請求した場合に、その間の就労義務を免れさせることにある。

・労基法68条は、生理休暇中の賃金まで保障したものではない。

・生理休暇を取得した日について賃金を支給しない取扱いは、労基法68条に違反しない。




この記事では女性・妊婦の労働についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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