■通則等まとめ
- 筒井

- 2025年12月9日
- 読了時間: 9分
ここでは通則等まとめについてお伝えします。
【労災保険法|年金給付の通則】
<年金給付の支給期間>
年金給付は、支給すべき事由が生じた月の翌月から支給を開始する。
支給停止すべき事由が生じた場合は、その事由が生じた月から支給を停止する。
受給権が消滅した場合は、受給権が消滅した月まで支給する。
<年金の支払期月>
年金給付は、毎年2月、4月、6月、8月、10月及び12月の6期に、それぞれの前月分までを支払う。
受給権が消滅した場合であっても、その支払期月に支払うべき年金は支払われる。
<年金額の調整>
後から減額すべき事由が判明した場合に、既に支払われた額があるときは、その額を内払とみなして、後の支給額で調整する。
<誤払処理>
誤って支払われた額は、返還金債権として徴収される。
受給権者が死亡した場合であっても、必要に応じて新たな受給者に対して返還手続が行われる。
【労災保険法|請求権・受給権の保護】
<抽象的請求権と具体的請求権>
労災事故が発生した時点で、労働者には抽象的な保険給付請求権が発生する。
その後、行政庁が保険給付の支給決定を行うことにより、給付内容が具体的に定まり、具体的な給付請求権となる。
<未支給の保険給付>
保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合、その者に支給すべき保険給付で未支給のものがあるときは、一定の遺族が請求することができる。
未支給の保険給付を請求できる遺族の順位は、配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹の順である。
同順位者が複数いる場合は、そのうち1人の請求により全員のために全額を請求することができる。
<退職による影響>
労働者が退職しても、保険給付を受ける権利は変更されない。
<譲渡等の禁止>
保険給付を受ける権利は、譲渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。
【労災保険法|年金受給権者の届出・支給差止め】
<定期報告書>
年金受給権者は、原則として毎年6月30日までに定期報告書を提出しなければならない。
ただし、7月から12月までの間に生まれた者については、10月31日までに提出する。
住民基本台帳の情報提供等により確認できる場合には、定期報告書の提出を要しないことがある。
<支給差止め>
年金受給権者が、正当な理由なく定期報告書を提出しない場合、政府は保険給付の全部又は一部の支給を一時差し止めることができる。
提出が確認された後は、差し止められていた分を含めて支給が再開される。
【労災保険法|他制度との併給調整】
<他制度の年金との併給調整>
労災保険の年金給付が、同一の事由により厚生年金保険法又は国民年金法等による年金給付と併給される場合は、労災保険の年金給付について所定の率を乗じて減額調整する。
調整後の額が政令で定める最低保障額を下回る場合は、その最低保障額が支給される。
<一時金との関係>
障害(補償)等一時金及び遺族(補償)等一時金は、その事由が発生した時点の損失補填としての性質を有するため、他制度の年金給付との併給調整は行われない。
<障害基礎年金との特例>
国民年金法30条の4の障害基礎年金と労災保険の年金給付が併給される場合において、労災保険の年金給付が全額支給されるときは、障害基礎年金は支給されない。
<老齢厚生年金との関係>
老齢厚生年金と労災保険の年金給付は、同一の事由に基づく給付ではないため、併給調整は行われない。
したがって、老齢厚生年金は労災保険の年金給付と併給することができる。
【労災保険法|支給制限】
<故意による事故(法12条の2の2第1項)>
労働者が故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付を行わない。
<故意の犯罪行為又は重大な過失(法12条の2の2第2項)>
労働者が故意の犯罪行為又は重大な過失により、負傷、疾病、障害若しくは死亡又はこれらの原因となった事故を生じさせたときは、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
<具体的な支給制限>
故意の犯罪行為又は重大な過失による支給制限は、休業(補償)等給付、障害(補償)等給付、傷病(補償)等年金について、所定給付額の30%を減額する。
ただし、年金給付については、療養開始後3年以内の期間に係る分に限る。
<療養に関する指示違反(法12条の2の2第2項)>
労働者が正当な理由なく療養に関する指示に従わず、負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、又はその回復を妨げたときは、政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
<定期報告書の未提出(法47条の3)>
年金受給権者が、正当な理由なく定期報告書を提出しないときは、政府は保険給付の支払を一時差し止めることができる。
【労災保険法|費用徴収】
<事業主からの費用徴収(法31条1項)>
業務災害が事業主の故意又は重大な過失によって発生した場合、政府は保険給付に要した費用の全部又は一部を事業主から徴収することができる。
単なる過失による場合は、費用徴収の対象とならない。
<不正受給者からの費用徴収(法12条の3第1項)>
偽りその他不正の手段により保険給付を受けた者があるときは、政府は、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を、その者から徴収することができる。
<事業主の連帯納付(法12条の3第2項)>
偽りその他不正の手段による保険給付について、事業主が虚偽の報告又は証明をしたためその保険給付が行われたものであるときは、政府は、その事業主に対し、不正受給者と連帯して徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
【労災保険法|第三者行為災害】
<第三者行為災害の調整(法12条の4第1項)>
事故が第三者の行為によって生じた場合であっても、政府は保険給付を行う。
政府が保険給付を行ったときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償請求権を取得する。
<第三者行為災害の届出(則22条)>
保険給付の原因である事故が第三者の行為によって生じたときは、保険給付を受けるべき者は、その事実、第三者の氏名及び住所、被害の状況を、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
第三者の氏名及び住所がわからないときは、その旨を届け出る。
<求償の範囲(法12条の4第1項)>
政府が第三者に求償できるのは、保険給付により填補される損害部分に限られる。
求償できるのは、事故発生日から5年以内に支給された保険給付に限られる。
事故発生日から5年を超えて支給された保険給付については、政府は第三者に求償することができない。
<損害賠償との関係(法12条の4第2項)>
受給権者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けた場合、政府は、その価額の限度で保険給付を行わないことができる。
慰謝料、見舞金、香典など、精神的損害又は社会的儀礼に基づく支払は、保険給付との調整対象とならない。
【労災保険法|事業主責任災害・支給調整基準】
<事業主責任災害(法附則64条1項)>
事業主が同一の事由について損害賠償をする責任を負う場合において、遺族(補償)等年金又は遺族(補償)等年金前払一時金の支給が行われたときは、事業主は、その額の限度で、損害賠償の責めを免れる。
<前払一時金の最高限度額による調整(法附則64条1項)>
遺族(補償)等年金の受給権者が遺族(補償)等年金前払一時金を請求することができる場合において、事業主から損害賠償を受けることができるときは、事業主は、当該受給権が消滅するまでの間、前払一時金の最高限度額の損害発生時の法定利率による現価の限度で、損害賠償の履行をしないことができる。
<支給調整基準(法附則64条2項)>
保険給付と損害賠償との調整は、厚生労働大臣が定める基準により行われる。
精神的損害、慰謝料及び見舞金等は調整の対象とならない。
調整は、支給権取得日から9年を超えない期間で行う。
【死亡の推定(法10条)】
<基本ルール>
船舶又は航空機の事故により労働者の生死が3か月間明らかでない場合、又は3か月以内に死亡が明らかとなったが死亡の時期が明らかでない場合には、遺族(補償)等給付及び葬祭料等の支給に関する規定の適用について、死亡日が推定される。
<3か月以内に死亡が明らかになった場合>
労働者の死亡が3か月以内に明らかとなったが、死亡の時期が明らかでないときは、船舶又は航空機の事故が発生した日又は労働者が行方不明となった日に死亡したものと推定する。
<3か月間生死不明の場合>
労働者の生死が3か月間明らかでないときも、船舶又は航空機の事故が発生した日又は労働者が行方不明となった日に死亡したものと推定する。
【併給調整による減額と内払処理の関係】
<内払処理の原則(法12条の2の2)>
労災保険の内払処理は、同一の給付事由に基づく保険給付について、後に減額すべき事由が生じた場合に行われる。
<内払処理ができる場合(法12条の2の2)>
同一の給付事由に基づく給付について、既に支払われた額がある場合には、その額を内払とみなして後の支給額で調整することができる。
例:障害補償年金の等級変更により年金額が減額される場合
<内払処理ができない場合(法12条の2の2)>
遺族補償年金と障害補償年金のように、給付の根拠となる事由が異なる場合には、内払処理は適用されない。
<具体例>
労働者が死亡し、遺族補償年金の支給が開始される場合、本人に支給されていた障害補償年金について併給調整により減額されることがあっても、その減額部分について、既に支払われた障害補償年金を内払として扱うことはできない。
【社会保険年金との併給調整】
<原則(法別表第1・令2条)>
労災保険の年金たる保険給付を受けることができる者が、同一の事由により、厚生年金保険法又は国民年金法の年金たる保険給付を受けることができる場合には、労災保険の年金たる保険給付に調整率を乗じて減額支給する。
厚生年金保険法又は国民年金法の年金たる保険給付は、全額支給される。
<同一の事由>
障害(補償)等年金については、同一の障害により障害厚生年金又は障害基礎年金を受ける場合に調整される。
遺族(補償)等年金については、同一の死亡により遺族厚生年金又は遺族基礎年金を受ける場合に調整される。
傷病(補償)等年金については、同一の負傷又は疾病により障害厚生年金又は障害基礎年金を受ける場合に調整される。
<障害(補償)等年金の調整率>
障害厚生年金と併給:0.83
障害基礎年金と併給:0.88
障害厚生年金及び障害基礎年金と併給:0.73
<傷病(補償)等年金の調整率>
障害厚生年金と併給:0.88
障害基礎年金と併給:0.88
障害厚生年金及び障害基礎年金と併給:0.73
<遺族(補償)等年金の調整率>
遺族厚生年金と併給:0.84
遺族基礎年金又は寡婦年金と併給:0.88
遺族厚生年金及び遺族基礎年金と併給:0.80
<老齢年金との関係>
老齢厚生年金又は老齢基礎年金は、労災保険の年金たる保険給付と同一の事由によるものではないため、併給調整は行われない。
<一時金との関係>
障害(補償)等一時金及び遺族(補償)等一時金は、年金たる保険給付ではないため、社会保険年金との併給調整は行われない。
この記事では通則等まとめについてご紹介しました。
次回に続きます!