亡くなったのときの健康保険給付
- 筒井

- 2024年8月23日
- 読了時間: 4分
更新日:8月4日
ここでは亡くなったのときの健康保険給付についてお伝えします。
健康保険に加入しており、亡くなった場合
被保険者とその被扶養者についても様々な保険給付を受けることができます。
●健康保険の埋葬料・埋葬費
<埋葬料の支給条件>
・被保険者が死亡した場合、その埋葬を行った人(原則として家族)に対して支給される
<支給額>
・一律5万円(定額制)
<受給者>
・原則:埋葬を行った家族(生計を同じくしていた者)
・家族がいない場合:実際に埋葬を行った人に「埋葬費」として支給
【継続給付としての埋葬料・埋葬費】
<対象となるケース>
・被保険者資格を喪失してから3ヶ月以内に死亡した場合
・継続給付(傷病手当金・出産手当金など)を受けていた者が死亡した場合
・継続給付を受けなくなってから3ヶ月以内に死亡した場合
→ いずれの場合も、被保険者期間は問わない(加入歴が短くてもOK)
【埋葬費との違い】
・「埋葬料」:原則として家族に支給
・「埋葬費」:家族以外(例:友人など)が埋葬を行った場合に、実際にかかった費用を限度に支給(上限5万円)
【船員保険の埋葬料】
・船員保険においても、埋葬料は支給される
・支給額:原則5万円(健康保険と同額)
・埋葬費との区分も健康保険と同様
・継続給付や資格喪失後3ヶ月以内の死亡についても、健康保険と同様に取り扱われる
【注意ポイント】
・埋葬料と埋葬費は両方支給されることはない(どちらか一方のみ)
・死亡日から2年を経過すると時効により請求不可
・加入していた保険制度ごとに請求先が異なる(協会けんぽ、組合健保など)
【まとめ】
・5万円・家族なら埋葬料、それ以外なら埋葬費
・「3ヶ月以内」「継続給付者」も忘れずにカバー
・船員保険でも内容は基本同じ
【その他葬祭費】
制度名 | 給付の名称 | 支給対象者 | 支給額 | 請求先 | 請求期限 |
健康保険(協会けんぽ等) | 埋葬料/埋葬費 | 被保険者 or 被扶養者が死亡した場合 | 原則 5万円(実費が少ない場合はその額) | 健保組合/協会けんぽ等 | 死亡日の翌日から2年以内 |
国民健康保険(市町村/組合) | 葬祭費 | 被保険者が死亡した場合 | 自治体によって異なる(例:3〜7万円) | 加入していた市町村等 | 死亡日の翌日から2年以内 |
後期高齢者医療制度(広域連合) | 葬祭費 | 後期高齢者医療の被保険者が死亡した場合 | 自治体により異なる(例:2〜5万円) | 被保険者の住民票のある市町村 | 死亡日の翌日から2年以内 |
<国保連合会と後期高齢者医療広域連合は別物>
比較項目 | 後期高齢者医療広域連合 | 国民健康保険団体連合会(国保連合会) |
略称 | 広域連合(こういきれんごう) | 国保連(こくほれん) |
制度との関係 | 後期高齢者医療制度の運営主体(中身そのもの) | 国保・後期高齢者医療・介護保険の裏方サポート機関 |
成り立ち | 都道府県内の市区町村が組織してつくる | 各市区町村がつくる任意の団体(公益法人) |
役割 | 制度の設計・保険料決定・給付管理など制度そのものの運営 | 医療費の審査・支払、事務支援などの実務サポート |
財政運営 | 広域連合が保険料集めて、制度財源として運用 | 財源はなく、あくまで「事務を手伝う機関」 |
試験での出題ポイント | 「保険者は広域連合である」→◯ | 「国保連が制度を運営する」→❌ |
【家族埋葬料】
扶養家族が死亡した場合、その埋葬を行う被保険者に5万円支給されます。
【埋葬費】
<制度の趣旨>
・被保険者が死亡した際、「埋葬料」を受け取る家族がいない場合に、
実際に埋葬を行った者に対して支給される費用補償の制度
<受給対象者>
・埋葬を行った人で、次のような者が該当する
- 被扶養者ではない親族
- 友人
- 近隣者など
<支給額>
・実際に埋葬にかかった費用(領収書などで証明できる範囲)を限度に支給
・上限は5万円
・埋葬にかかった費用が5万円未満であれば、その実費分までしか支給されない
<注意点>
・「埋葬料」と「埋葬費」は、どちらか一方のみ支給される(併給不可)
・埋葬を行ったことを証明する書類(領収書、会葬礼状など)の提出が必要
・死亡日から2年を経過すると時効により請求できなくなる
<補足>
・原則は「埋葬料(家族へ支給)」だが、該当者がいない場合に「埋葬費」が活用される
この記事では亡くなったのときの健康保険給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


