◆健康保険・厚生年金・雇用保険(適用事業所の範囲と種類)
更新日:8月6日
ここでは適用事業所の範囲と種類についてお伝えします。
【任意適用事業の横断整理|健康保険・厚生年金保険・雇用保険】
<全体の違い>
・健康保険及び厚生年金保険では、事業主が任意適用の認可を申請するために、適用対象となる者の2分の1以上の同意が必要となる。
・健康保険及び厚生年金保険では、2分の1以上の者が加入を希望しただけで、事業主に申請義務が生じるわけではない。
・雇用保険の暫定任意適用事業では、労働者の2分の1以上が加入を希望したときは、事業主に任意加入の申請義務が生じる。
<健康保険の任意適用事業所・法31条>
・強制適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を任意適用事業所とすることができる。
・事業主が認可を申請するためには、当該事業所に使用される者のうち、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得なければならない。
・2分の1以上の同意は、事業主が申請するための要件であり、労働者の希望によって事業主に申請義務が生じるものではない。
・認可を受けた場合は、同意をしなかった者を含め、適用除外に該当する者を除く被保険者となるべき者全員に健康保険が適用される。
<厚生年金保険の任意適用事業所・法6条3項・4項>
・強制適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を任意適用事業所とすることができる。
・事業主が認可を申請するためには、当該事業所に使用される70歳未満の者のうち、厚生年金保険の適用対象となる者の2分の1以上の同意を得なければならない。
・2分の1以上の同意は、事業主が申請するための要件であり、労働者の希望によって事業主に申請義務が生じるものではない。
・認可を受けた場合は、同意をしなかった者を含め、適用除外に該当する者を除く適用対象者全員に厚生年金保険が適用される。
<雇用保険の暫定任意適用事業・徴収法附則2条>
・個人経営の農林水産業のうち、常時使用する労働者が5人未満である一定の事業は、暫定任意適用事業となる。
・暫定任意適用事業の事業主は、任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けることにより、雇用保険の保険関係を成立させることができる。
・当該事業に使用される労働者の2分の1以上が雇用保険への加入を希望したときは、事業主は任意加入の申請をしなければならない。
・認可を受けた場合は、加入を希望しなかった者を含め、雇用保険法上の被保険者となる要件を満たす労働者全員が被保険者となる。
<申請義務の比較>
・健康保険:被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得て、事業主が任意に申請する。
・厚生年金保険:適用対象となる者の2分の1以上の同意を得て、事業主が任意に申請する。
・雇用保険:暫定任意適用事業において、労働者の2分の1以上が加入を希望したときは、事業主に申請義務が生じる。
【任意特定適用事業所|健康保険・厚生年金保険】
<制度の位置付け>
・任意特定適用事業所は、健康保険及び厚生年金保険における短時間労働者の適用拡大に関する制度である。
・雇用保険の制度ではない。
・すでに健康保険及び厚生年金保険の適用事業所であることが前提となる。
<特定適用事業所>
・特定適用事業所とは、1年のうち6か月間以上、厚生年金保険の被保険者数が51人以上となることが見込まれる企業等をいう。
・特定適用事業所に使用される一定の短時間労働者は、健康保険及び厚生年金保険の被保険者となる。
・法人事業所では、同一法人番号を有するすべての適用事業所の被保険者数を合算して判断する。
・個人事業所では、事業所単位で被保険者数を判断する。
<任意特定適用事業所・健康保険法附則46条、厚生年金保険法附則17条の5>
・特定適用事業所以外の適用事業所の事業主は、一定の同意を得て申し出ることにより、その事業所を短時間労働者の適用拡大の対象とすることができる。
・この申し出により短時間労働者の適用拡大の対象となった事業所を、任意特定適用事業所という。
・任意特定適用事業所は、事業所自体を新たに健康保険及び厚生年金保険の適用事業所にする制度ではない。
・すでに適用事業所となっている事業所について、一定の短時間労働者まで被保険者の範囲を広げる制度である。
<申し出に必要な同意>
・事業主は、厚生年金保険の被保険者及び短時間労働者のうち、一定の範囲の者の2分の1以上の同意を得て申し出る。
・申し出が受理された日から、任意特定適用事業所となる。
・要件を満たす短時間労働者については、被保険者資格取得届を提出する。
<短時間労働者の要件>
・週の所定労働時間が20時間以上であること。
・所定内賃金が月額8万8,000円以上であること。
・学生でないこと。
・通常の労働者の週の所定労働時間及び月の所定労働日数の4分の3以上である者は、企業規模にかかわらず通常の被保険者として適用されるため、短時間労働者の適用拡大とは別に判断する。
<任意適用事業所との違い>
・任意適用事業所は、強制適用事業所でない事業所を、申請及び厚生労働大臣の認可により健康保険又は厚生年金保険の適用事業所とする制度である。
・任意特定適用事業所は、すでに適用事業所である事業所について、申し出により一定の短時間労働者まで適用対象を広げる制度である。
・任意適用事業所は「事業所自体を適用する制度」であり、任意特定適用事業所は「短時間労働者への適用を広げる制度」である。
<雇用保険との違い>
・雇用保険には、特定適用事業所又は任意特定適用事業所という区分はない。
・雇用保険では、原則として労働者を雇用する事業は強制適用事業となり、個人経営の一定の農林水産業について暫定任意適用事業となる。
・雇用保険の被保険者は、原則として週の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあるかどうかにより判断する。
【適用事業所の業種・人数要件の横断整理|健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険】
<全体の違い>
・健康保険及び厚生年金保険では、法人事業所は業種及び従業員数にかかわらず強制適用事業所となる。
・個人事業所は、常時使用する者が5人以上であり、法定17業種に該当する場合に、健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所となる。
・雇用保険及び労災保険では、法定17業種による区分は用いず、原則として労働者を1人でも使用する事業は適用事業となる。
・ただし、個人経営の一定の農林水産業については、雇用保険又は労災保険の暫定任意適用事業となる場合がある。
<健康保険・法3条3項>
・法人の事業所は、業種及び常時使用する者の人数にかかわらず、強制適用事業所となる。
・個人事業所は、常時5人以上の従業員を使用し、法定17業種に該当する場合に、強制適用事業所となる。
・常時使用する従業員が5人未満である個人事業所又は法定17業種以外の個人事業所は、原則として強制適用事業所とならない。
・強制適用事業所に該当しない個人事業所も、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得て事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けることにより任意適用事業所となることができる。
<厚生年金保険・法6条1項・3項>
・法人の事業所は、業種及び常時使用する者の人数にかかわらず、強制適用事業所となる。
・個人事業所は、常時5人以上の従業員を使用し、法定17業種に該当する場合に、強制適用事業所となる。
・常時使用する従業員が5人未満である個人事業所又は法定17業種以外の個人事業所は、原則として強制適用事業所とならない。
・強制適用事業所に該当しない個人事業所も、適用対象となる者の2分の1以上の同意を得て事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けることにより任意適用事業所となることができる。
<健康保険・厚生年金保険の法定17業種>
・物の製造、加工、選別、包装、修理又は解体の事業
・土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊、解体又はその準備の事業
・鉱物の採掘又は採取の事業
・電気又は動力の発生、伝導又は供給の事業
・貨物又は旅客の運送の事業
・貨物積卸しの事業
・焼却、清掃又はと殺の事業
・物の販売又は配給の事業
・金融又は保険の事業
・物の保管又は賃貸の事業
・媒介周旋の事業
・集金、案内又は広告の事業
・教育、研究又は調査の事業
・疾病の治療、助産その他医療の事業
・通信又は報道の事業
・社会福祉事業又は更生保護事業
・弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の法律又は会計に係る業務を行う事業
<雇用保険・法5条、法附則2条>
・原則として、労働者を1人でも雇用する事業は適用事業となり、法人又は個人の区別や法定17業種への該当性は問われない。
・個人経営の農林水産業のうち、常時使用する労働者が5人未満である一定の事業は、暫定任意適用事業となる。
・暫定任意適用事業では、事業主が任意加入の申請をし、厚生労働大臣の認可を受けることにより保険関係が成立する。
・労働者の2分の1以上が雇用保険への加入を希望したときは、事業主は任意加入の申請をしなければならない。
<労災保険・労災保険法3条、徴収法附則2条>
・原則として、労働者を1人でも使用する事業は適用事業となり、法人又は個人の区別や法定17業種への該当性は問われない。
・個人経営の一定の農業、林業、畜産業、養蚕業又は水産業は、規模や作業内容等により暫定任意適用事業となる。
・労災保険の暫定任意適用事業の範囲は、雇用保険の暫定任意適用事業の範囲と完全には一致しない。
・労働者の過半数が労災保険への加入を希望したときは、事業主は任意加入の申請をしなければならない。
<試験上のポイント>
・法定17業種及び常時5人以上という基準は、健康保険及び厚生年金保険の個人事業所について用いる。
・雇用保険及び労災保険では、法定17業種による区分は用いない。
・健康保険及び厚生年金保険は、法人であれば人数及び業種を問わず強制適用となる。
・雇用保険及び労災保険は、法人・個人を問わず、労働者を1人でも使用すれば原則として適用される。
・農林水産業の暫定任意適用事業について、雇用保険は労働者の2分の1以上、労災保険は労働者の過半数の希望により、事業主に申請義務が生じる。
【強制適用とならない個人事業所の横断整理|健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険】
<健康保険・厚生年金保険の原則・健康保険法3条3項、厚生年金保険法6条1項>
・法人事業所は、業種及び常時使用する者の人数にかかわらず、健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所となる。
・個人事業所は、常時5人以上の者を使用し、法定17業種に該当する場合に、健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所となる。
・常時使用する者が5人未満の個人事業所又は法定17業種以外の個人事業所は、原則として強制適用事業所とならない。
<法定17業種以外の主な個人事業所>
・農業
・林業
・漁業
・宿泊業
・飲食サービス業
・洗濯業
・理容業及び美容業
・浴場業
・娯楽業
・デザイン業
・警備業
・ビルメンテナンス業
・政治団体、経済団体及び文化団体
・宗教等
・これらの個人事業所は、常時5人以上の者を使用していても、原則として健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所とならない。
<法人化した場合>
・法定17業種以外の事業であっても、法人事業所となれば、常時従業員を使用する限り、健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所となる。
・法人事業所については、法定17業種への該当性及び常時5人以上という要件は問われない。
<任意適用・健康保険法31条、厚生年金保険法6条3項・4項>
・健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所とならない個人事業所も、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意を得て事業主が申請し、厚生労働大臣の認可を受けることにより、任意適用事業所となることができる。
・2分の1以上の同意は、事業主が任意適用を申請するための要件であり、労働者の希望によって事業主に申請義務が生じるものではない。
<雇用保険との違い・雇用保険法5条、徴収法附則2条>
・雇用保険では、法定17業種による区分や、個人事業所で常時5人以上という基準は用いない。
・法人又は個人の区別を問わず、労働者を1人でも雇用する事業は、原則として雇用保険の適用事業となる。
・ただし、個人経営の農林水産業のうち、常時使用する労働者が5人未満である一定の事業は、暫定任意適用事業となる。
<労災保険との違い・労災保険法3条、徴収法附則2条>
・労災保険では、法定17業種による区分や、個人事業所で常時5人以上という基準は用いない。
・法人又は個人の区別を問わず、労働者を1人でも使用する事業は、原則として労災保険の適用事業となる。
・ただし、個人経営の一定の農林水産業は、事業規模や作業内容等により暫定任意適用事業となる場合がある。
この記事では適用事業所の範囲と種類についてご紹介しました。
次回に続きます!
