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(専門業務型・企画業務型)裁量労働制

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 10月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月24日

ここでは裁量労働制についてお伝えします。



【専門業務型裁量労働制(労基法第38条の3)】


<概要>

業務の性質上、その遂行の方法を労働者の裁量に委ねる必要があるため、

当該業務の遂行の手段および時間配分の決定などについて、使用者が具体的な指示をすることが困難な業務に適用される制度。

労使協定で定めた時間を労働したものとみなす。


<適用要件>

・対象者本人の同意を得て、労使協定を締結すること

・締結した労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出ること

・業務が「厚生労働省令および大臣告示で定める20業務」に該当すること


<対象業務の例(20業務の一部)>

・新商品・新技術の研究開発

・情報処理システムの分析・設計

・新聞・出版の取材・編集

・デザイナーの業務

・プロデューサー、ディレクターの業務

・証券アナリストの業務

・大学における教授・研究の業務

・士業(公認会計士・弁護士など)


<みなし労働時間>

・労使協定で定めた時間(例:1日8時間)が労働時間とみなされる

・実際に働いた時間がそれより長くても短くても、定められた時間が労働時間として扱われる


<労使協定の定めるべき事項>

1. 対象業務

2. 対象業務に従事する労働者の労働時間として算定される時間(1日あたりの時間数)

3. 業務遂行の手段および時間配分の決定に関して、使用者が具体的な指示をしないこと

4. 労働者の健康および福祉を確保するための措置に関すること

5. 苦情の処理に関する措置

6. 本人同意の取得およびその撤回に関する手続き

7. 労使協定の有効期間の定め

8. 4.5.6に関する実施状況および同意・撤回に関する労働者ごとの記録を作成し保存すること


<保存期間>

・上記の記録は、有効期間中およびその満了後5年間(当分の間は3年間)保存する義務がある


<本人同意>

・使用者は、対象労働者の同意を得なければ当該業務に就かせてはならない

・同意を得なかった場合や撤回があった場合、不利益な取扱いをしてはならない


<ポイント>

・「本人の同意」+「労使協定」+「届け出」の3点セットが必須

・「健康確保」「苦情処理」「撤回手続き」など、実務的管理の内容が含まれる

・協定事項を届け出ないと無効

・裁量労働制は“みなし労働時間制”の一種(38条の3・4)

・記録作成義務+保存期間の年数(5年・当分3年)は頻出ポイント



【企画業務型裁量労働制(労基法第38条の4)】


<概要>

業務の性質上、その遂行の方法を労働者の裁量に委ねる必要があるため、

当該業務の遂行の手段および時間配分の決定などについて、使用者が具体的な指示をしないものとして、

労使委員会の決議で定めた時間を労働したものとみなす制度。


<適用要件>

・対象労働者本人の同意を得ること

労使委員会で5分の4以上の多数による決議を行うこと

・その決議書を所轄労働基準監督署長に届け出ること

・事業の運営に関する事項についての「企画・立案・調査・分析」等の業務であること


<対象業務>

・事業の運営に関する企画、立案、調査、分析などの業務

(例:経営企画、商品戦略、調査分析部門などのホワイトカラー系業務)


<みなし労働時間>

・労使委員会の決議で定めた時間(例:1日8時間)が労働時間とみなされる

・その時間を超えて働いた場合でも、原則として残業代は支払われない


<労使委員会の決議事項>

1. 対象業務

2. 対象労働者の範囲

3. 対象労働者の1日あたりの労働時間

4. 対象労働者の労働時間の状況に応じた健康および福祉の確保措置

5. 苦情の処理に関する措置

6. 本人同意の取得および撤回に関する手続き

7. 評価制度およびこれに対応する賃金制度を変更する場合の説明義務

8. 決議の有効期間の定め

9. 4.5.6の実施状況および本人同意・撤回に関する記録の作成・保存義務


<本人同意>

・同意を得なければ当該業務に就かせてはならない

・同意を撤回したことに対して不利益な取扱いをしてはならない


<保存期間>

・労使委員会の決議や記録は、有効期間中およびその満了後5年間(当分の間3年間)保存義務あり


<事後報告>

・労使委員会の決議を届け出た使用者は、

 有効期間の開始から起算して6か月以内に1回

 その後は1年ごとに1回、行政官庁(所轄労働基準監督署長)へ報告する義務がある

・報告内容:

 ①対象労働者の労働時間の状況

 ②健康および福祉を確保するための措置の実施状況

 ③本人同意および撤回の実施状況

・派遣労働者を企画業務型裁量労働制の対象とすることはできない


<派遣労働者への適用制限>

派遣労働者を企画業務型裁量労働制の対象とすることはできない(基発H12.3.28第180号)

・事業場外みなし労働時間制および専門業務型裁量労働制は派遣労働者にも適用可能だが、

 企画業務型は派遣先・派遣元の指揮命令関係が複雑で、裁量性を確保できないため除外される。


<ポイント>

・「本人の同意」+「労使委員会決議」+「届け出」の3点セットが必須

・労使委員会の多数決は「5分の4以上」である点に注意

・適用対象は「事業の運営に関する企画・立案・調査・分析」

・健康確保・苦情処理・撤回手続きなど、専門業務型と同様に詳細な管理義務あり

・時間外労働の割増賃金は原則として不要



【テレワークにおける事業場外みなし労働時間制】

下記のいずれも満たす場合、適用できる。

  1.  情報通信機器が「常時通信可能」に指示されていないこと

  2. 随時の具体的な指示に基づいて働いていないこと




この記事では裁量労働制についてご紹介しました。

次回に続きます!











 


 
 

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