◇健康保険・厚生年金(適用事業所の届出・取消手続)
更新日:8月6日
ここでは適用事業所の届出・取消手続についてお伝えします。
【適用事業所に関する届出の横断整理|健康保険・厚生年金保険】
<届出義務の根拠・健康保険法197条、厚生年金保険法98条>
・健康保険及び厚生年金保険の適用事業所について、新たに適用事業所となった場合、事業所に関する事項を変更した場合又は適用事業所に該当しなくなった場合には、事業主が所定の届出を行う。
・協会管掌健康保険と厚生年金保険については、原則として共通の届書を日本年金機構へ提出する。
<新たに強制適用事業所となった場合>
・法人の設立、従業員数の増加、業種変更等により健康保険及び厚生年金保険の強制適用事業所となった場合は、事業主が「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出する。
・提出期限は、適用事業所となった事実が発生した日から5日以内である。
・提出先は、事務センター又は事業所の所在地を管轄する年金事務所である。
・被保険者となる者については、併せて「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を、資格取得日から5日以内に提出する。
<任意適用事業所となる場合・健康保険法31条、厚生年金保険法6条3項・4項>
・強制適用事業所に該当しない事業所が任意適用を受ける場合は、「新規適用届」ではなく「健康保険・厚生年金保険任意適用申請書」を提出する。
・任意適用の申請には、被保険者となるべき者の2分の1以上の同意が必要である。
・厚生労働大臣の認可を受けた日に、任意適用事業所となり、被保険者の資格を取得する。
・申請時期は、2分の1以上の同意を得た後、速やかに行う。
<事業所の名称・所在地等を変更した場合>
・事業所の名称又は所在地を変更した場合は、「健康保険・厚生年金保険適用事業所名称・所在地変更(訂正)届」を提出する。
・事業主、電話番号、事業主代理人等の事業所情報を変更した場合は、「健康保険・厚生年金保険事業所関係変更(訂正)届」を提出する。
・提出期限は、原則として事実発生から5日以内である。
<廃止・休止等により適用事業所に該当しなくなった場合>
・事業の廃止又は解散、事業の休止又は休業、他の事業所との合併、一括適用等により単独の適用事業所でなくなった場合は、「健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届」を提出する。
・提出期限は、事実発生から5日以内である。
・全喪届は、事業所に使用される被保険者全員の資格を喪失させるための届出である。
・事業を単に一時休止した場合であっても、被保険者を使用しなくなり適用事業所としての実体を失った場合には、全喪届の対象となる。
・再び事業を開始し、適用要件を満たした場合は、改めて新規適用届を提出する。
・健康保険及び厚生年金保険には、一般的な「再開届」という独立した届書はない。
<任意適用事業所の取消し・健康保険法33条、厚生年金保険法8条>
・任意適用事業所が任意適用をやめる場合は、「適用事業所全喪届」だけで任意に脱退することはできない。
・事業主は、被保険者の4分の3以上の同意を得て、「健康保険・厚生年金保険任意適用取消申請書」を提出し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
・任意適用の取消しが認可された場合は、適用事業所でなくなり、被保険者は資格を喪失する。
・任意適用の取消しは、健康保険法22条による手続ではない。
<強制適用事業所が人数又は業種要件を欠いた場合>
・個人事業所が従業員数の減少又は業種変更により強制適用事業所の要件を欠いた場合でも、直ちに適用事業所でなくなるわけではない。
・健康保険では、任意適用事業所の認可があったものとみなされる。
・厚生年金保険でも、引き続き任意適用事業所として扱われる。
・この場合に適用を終了するためには、通常の廃止等による全喪ではなく、被保険者の4分の3以上の同意を得て任意適用取消申請を行う。
<雇用保険・労災保険との違い>
・新規適用届、適用事業所全喪届及び任意適用取消申請書は、健康保険及び厚生年金保険に関する届書である。
・雇用保険では、適用事業所設置届、事業所廃止届等を公共職業安定所へ提出する。
・労災保険では、保険関係成立届、確定保険料申告書等を労働基準監督署等へ提出する。
・健康保険・厚生年金保険と、雇用保険・労災保険では、届書及び提出先が異なる。
【任意適用事業所の取消しの横断整理|健康保険・厚生年金保険】
<任意適用事業所の取消し・健康保険法33条、厚生年金保険法8条>
・任意適用事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、その事業所を健康保険又は厚生年金保険の適用事業所でなくすることができる。
・取消しの申請には、その事業所に使用される被保険者の4分の3以上の同意が必要である。
・任意適用時に必要な同意は2分の1以上であるが、任意適用を取り消す場合に必要な同意は4分の3以上である。
・事業主と労働者の過半数の同意では足りない。
<取消しの対象>
・任意適用の取消しが認められるのは、任意適用事業所である。
・強制適用事業所は、事業主及び被保険者が希望しても、任意に適用を取り消すことはできない。
・強制適用事業所が従業員数の減少又は業種変更により強制適用の要件を欠いた場合は、任意適用事業所の認可があったものとみなされるため、その後に適用を終了するには任意適用取消しの手続が必要となる。
<取消しの手続>
・事業主は、「健康保険・厚生年金保険任意適用取消申請書」を、事務センター又は管轄の年金事務所へ提出する。
・申請書には、被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類を添付する。
・事業主は、厚生労働大臣の認可を受けなければならず、申請書を提出しただけで任意適用が終了するものではない。
・健康保険及び厚生年金保険の任意適用を同時に取り消す場合は、共通の申請書により手続を行う。
・任意適用取消申請書は、単なる「廃止届」又は「全喪届」と同じものではない。
<認可後の取扱い>
・任意適用の取消しが認可されると、その事業所は健康保険又は厚生年金保険の適用事業所でなくなる。
・取消しに同意しなかった者を含め、当該事業所のすべての被保険者が資格を喪失する。
・任意適用取消申請書を提出するときは、被保険者資格喪失届も併せて提出する。
<健康保険法施行規則22条との区別>
・任意適用事業所の取消しを定める法律上の根拠は、健康保険法33条である。
・健康保険法施行規則22条は、健康保険法33条に基づく取消申請の方法を定めた規定である。
・「健康保険法22条が任意適用事業所の取消しを定める」という整理は誤りである。
<健康保険と厚生年金保険の横断整理>
・健康保険の任意適用申請:被保険者となるべき者の2分の1以上の同意・健康保険法31条。
・厚生年金保険の任意適用申請:適用対象となる者の2分の1以上の同意・厚生年金保険法6条3項・4項。
・健康保険の任意適用取消し:被保険者の4分の3以上の同意・健康保険法33条。
・厚生年金保険の任意適用取消し:被保険者の4分の3以上の同意・厚生年金保険法8条。
<任意特定適用事業所の取消しとの違い>
・任意適用事業所の取消しは、事業所そのものを健康保険又は厚生年金保険の適用事業所でなくする手続である。
・任意特定適用事業所の取消しは、事業所自体の適用を終了するものではなく、短時間労働者への適用拡大を終了する手続である。
・いずれも取消しには4分の3以上の同意が必要であるが、取消しの対象となる制度が異なる。
<試験上のポイント>
・任意適用申請は2分の1以上、任意適用取消しは4分の3以上である。
・任意適用の取消しは、健康保険法33条及び厚生年金保険法8条に規定されている。
・取消しには厚生労働大臣の認可が必要であり、事業主と被保険者の意思だけで適用を終了することはできない。
・強制適用事業所は任意適用取消しの対象にならない。
この記事では適用事業所の届出・取消手続についてご紹介しました。
次回に続きます!
