健康保険料額と納付の取り扱い
- 筒井

- 8月5日
- 読了時間: 4分
ここでは健康保険料額と納付の取り扱いについてお伝えします。
●標準報酬
標準報酬=標準月額報酬+標準賞与額
【標準報酬月額】
報酬を標準報酬月額等級表にあてはめて計算します。
報酬・・・基本給、賞与、家族手当、住宅手当、通勤手当、残業手当など
※一時金、退職金は対象外
標準報酬月額等級表・・・報酬を1~50等級に分類した表
第1級(58,000円)~第50級(1,390,000円)
【標準賞与額】
賞与額の1000円未満を切り捨てた額
上限額は573万円
●健康保険料額
標準報酬月額・標準賞与額にそれぞれ保険料率を掛けて計算します。
【一般保険料額】
標準報酬月額×一般保険料率
標準賞与額×一般保険料率
【介護保険料額】
標準報酬月額×介護保険料率
標準賞与額×介護険料率
一般保険料率・・・
全国保険健康組合の場合、都道府県ごとに決定される
健康保険組合の場合、組合ごとに異なる
介護保険料率・・・
全国保険健康組合の場合、全国一律
健康保険組合の場合、組合ごとに異なる
●健康保険料の支払い
事業主が翌月末日までに、事業主負担分・被保険者負担分の合計額を納付します。
任意継続被保険者は毎月10日までに納付する。
【健康保険料の免除】
下記の場合免除されます。
刑事施設に収容、拘禁されたとき
3歳未満の子の育児休業、産前産後休業期間
【少年院等に収容された場合の保険給付の取扱い】
<対象となる者>
・被保険者または被保険者であった者が、少年院その他これに準ずる施設に収容された場合
<本人に対する保険給付>
・収容中は、本人に係る保険給付は行われない(=制限される)
<被扶養者に対する保険給付>
・被扶養者に関しては、保険給付に制限はかからない(=通常どおり給付あり)
<根拠条文>
・健康保険法 第118条
<ポイントまとめ>
・本人:給付なし(制限される)
・扶養者:給付あり(制限されない)
・扶養されている家族の保障は継続される
【保険料の滞納処分と納期の関係|強制徴収のタイミング】
<原則>
・保険料の納付義務者が、国税・地方税など他の公課を滞納して滞納処分を受ける場合には、
保険者は、保険料の納期が到来していなくても強制的に保険料を徴収できる。
<ポイント>
・通常、保険料は「納期が到来してから」徴収されるが、
他の税等の滞納処分が行われる場面では、納期前でも徴収可能となる例外規定がある。
・これは、他の債権者(国や自治体など)よりも先に保険料を確保するための措置。
<関連キーワード>
・滞納処分
・国税滞納整理法
・優先徴収
・強制徴収
・保険料徴収権
【同月に2回入退社して2回健康保険に加入した場合の保険料】
<事例>
・4月1日 A社に入社し、全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者資格を取得
・4月15日 A社を退職し、被保険者資格を喪失
・4月16日 B社に就職し、再び全国健康保険協会の被保険者資格を取得
<保険料の徴収>
・A社は、同月得喪に該当するため、4月分の保険料を報酬から控除して納付する
・B社も、4月分の報酬がある場合は、4月分の保険料を控除することになる
<返還の有無>
・A社が控除した一般保険料額は、たとえB社でもう一度徴収があったとしても、被保険者Xに返還されることはない
<ポイント>
・同じ月に2回入退社して2回被保険者資格を取得した場合、それぞれの事業所で保険料が徴収されることがある
・このような場合でも、先に徴収した事業所から保険料が返されることはないため、結果的に同月2回分の保険料が徴収されることになる
【賞与に対する介護保険料の徴収タイミング】
<ポイント>
・保険料は「各月ごと」に算定される。
・40歳に到達した月に支払われた賞与であっても、
その「支払日」が介護保険第2号被保険者の資格を有する日に該当しない場合、
その賞与から介護保険料を徴収することはできない。
<具体的な扱い>
・支払日が40歳の誕生日「前」の場合:
→ 被保険者はまだ第2号被保険者ではないため、介護保険料は徴収されない。
・支払日が40歳の誕生日「当日以降」の場合:
→ 介護保険第2号被保険者とみなされ、介護保険料を控除できる。
<根拠>
・当該標準賞与額からは、支払日において資格がある場合のみ介護保険料を控除可能。
・支払日が基準であり、「賞与の対象月」や「到達月」は関係ない。
<関連知識>
・第2号被保険者=40歳以上65歳未満で、医療保険の被保険者である者。
この記事では健康保険料額と納付の取り扱いについてご紹介しました。
次回に続きます!


