健康保険組合
- 筒井

- 7月25日
- 読了時間: 9分
更新日:8月13日
ここでは健康保険組合についてお伝えします。
●健康保険組合(組合健保)
<概要>
・主に大企業などが設立する、事業主と被保険者が共同で運営する保険者
・健康保険法に基づく「公法人」
<設立>
・常時700人以上の被保険者を使用する事業主(または2事業主で3,000人以上)が、厚生労働大臣の認可を受けて設立できる
・複数の事業所が共同で設立することも可能(共同設立型)
・設立にあたっては、当該適用事業所に使用される被保険者の「2分の1以上の同意」が必要
・複数の適用事業所がある場合は、「各適用事業所ごとに」被保険者の同意を得る必要がある
<加入対象者>
・当該組合に所属する事業所の被保険者およびその被扶養者
・企業ごとの特色に合わせて保険事業を行えるため、独自のサービスを持つ組合も多い
<主な業務>
・保険料の徴収、保険給付の支給
・保険証の発行や資格管理
・健康診断・予防接種などの健康づくり支援
・介護保険料や高齢者医療制度への拠出も行う
<財政と保険料>
・保険料率は各組合が独自に定めることができる(協会けんぽより柔軟)
・一般的に協会けんぽより保険料率が低い傾向にある
・国庫補助はない(保険料と拠出金でまかなう)
<監督>
・厚生労働大臣の監督下にあり、業務報告・決算報告などが求められる
・会計監査人や監事の監査が行われる
<ポイント>
・事業主と被保険者が共同で意思決定する「組合会」を設置
・財政や運営が安定している組合ほど、独自の付加給付や保健事業が充実している
・保険者機能はあくまで「健康保険組合」にあり、協会けんぽとは別組織
<関連知識>
・大企業→健康保険組合
・中小企業→協会けんぽ(全国健康保険協会)
・公務員等→共済組合(組合健保)】
<概要>
・主に大企業などが設立する、事業主と被保険者が共同で運営する保険者
・健康保険法に基づく「公法人」
<設立>
・常時700人以上の被保険者を使用する事業主(または2事業主で3,000人以上)が、厚生労働大臣の認可を受けて設立できる
・複数の事業所が共同で設立することも可能(共同設立型)
<加入対象者>
・当該組合に所属する事業所の被保険者およびその被扶養者
・企業ごとの特色に合わせて保険事業を行えるため、独自のサービスを持つ組合も多い
<主な業務>
・保険料の徴収、保険給付の支給
・保険証の発行や資格管理
・健康診断・予防接種などの健康づくり支援
・介護保険料や高齢者医療制度への拠出も行う
<財政と保険料>
・保険料率は各組合が独自に定めることができる(協会けんぽより柔軟)
・一般的に協会けんぽより保険料率が低い傾向にある
・国庫補助はない(保険料と拠出金でまかなう)
<監督>
・厚生労働大臣の監督下にあり、業務報告・決算報告などが求められる
・会計監査人や監事の監査が行われる
<ポイント>
・事業主と被保険者が共同で意思決定する「組合会」を設置
・財政や運営が安定している組合ほど、独自の付加給付や保健事業が充実している
・保険者機能はあくまで「健康保険組合」にあり、協会けんぽとは別組織
<関連知識>
・大企業→健康保険組合
・中小企業→協会けんぽ(全国健康保険協会)
・公務員等→共済組合
<守秘義務(法第22条の2)>
・健康保険組合の役員または職員、またはこれらの職にあった者は、
健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を、正当な理由なく漏らしてはならない。
・この守秘義務は、職を退いたあとも引き続き課される。
【健康保険組合の解散】
<解散のケース>
・健康保険組合が解散するのは、以下のような場合:
- 組合の規模縮小(加入者が少なくなった等)
- 経営破綻や財政難
- 組合の自発的な意思による解散
<解散後の取り扱い>
・健康保険組合が解散した場合、その保険者としての権利・義務は全国健康保険協会(協会けんぽ)が引き継ぐ
<給付の継承に関するポイント>
・解散時点で未払いの給付(例:傷病手当金・高額療養費など)→ 協会けんぽが支給する
・組合独自の付加給付(例:傷病手当金の上乗せ等)も、解散前に発生した事由に関するものは支給対象
・一方で、解散後に新たに発生した事由による給付(新たに病気になったなど)については協会けんぽが法定給付のみ支給 → 付加給付は対象外
<注意ポイント>
・健康保険組合は、法定給付に加えて「独自の付加給付(上乗せ給付)」を持つ場合がある
→ 例:傷病手当金の支給率アップや支給期間の延長など
・協会けんぽにはこの「付加給付制度」はないため、引き継ぎはあくまで“解散前に発生した給付”が対象
<まとめ>
・解散前に発生した給付 → 付加給付含め協会が支給
・解散後に発生した給付 → 協会による法定給付のみ(付加給付ナシ)
【健康保険組合の審査と支払】
<要件>
健康保険組合が、特定の保険医療機関と合意している場合に限る。
<審査の取扱い>
合意がある場合、健康保険組合は「自ら審査に関する事務」を行うことができる。
(診療報酬明細書の内容確認など)
<支払の取扱い>
審査を行っても、実際の支払い業務は「社会保険診療報酬支払基金」が行う。
健康保険組合は支払業務までは担わない。
<ポイント>
審査は合意があれば組合でOK。
支払いは必ず支払基金が担当。
合意がない場合は、審査も支払もすべて支払基金が行う。
<試験対策メモ>
支払基金=“支払い専門”と覚えておくと◎
健康保険組合は、合意があるときだけ審査できる。
役割分担(審査 vs 支払)の区別がよく問われる。
【健康保険組合の健全化計画】
<対象>
財政が著しく悪化し、医療費の支払いに支障が生じるおそれがあると認められた健康保険組合。
<実施条件>
厚生労働大臣が定める基準に該当した場合に限り、健全化計画の届出が義務付けられる。
<内容>
保険料率の見直し、給付の適正化、組合財政の改善など、財政健全化に向けた具体的な計画を作成する。
<提出・報告>
健全化計画は厚生労働大臣に届け出る。
その後も必要に応じて報告が求められ、実施状況の確認や改善指導を受けることがある。
<ポイント>
・一定の条件に該当したときは「努力義務」ではなく「届出義務」
・厚労大臣が「報告」「助言」「指導」を行える
・単なる形式的な計画ではなく、実効性が求められる
<試験対策メモ>
「基準に該当したら届出が必要」=義務!
厚労大臣が関与する場面として狙われやすい。
健康保険組合の財政問題に関する条文は見落とされやすいので注意!
【健康保険組合の設立・併合・分割】
<設立>
事業主および被保険者の申請により、厚生労働大臣の認可を受けて設立される。
一定数以上の被保険者が必要(原則700人以上)。
法人として登記され、独立した保険者となる。
<併合>
既存の健康保険組合同士が併合するには、当該組合の総会の議決と、厚生労働大臣の認可が必要。
併合後は新たな1つの健康保険組合として運営される。
事務手続きや財産の承継等も含めた統合計画が求められる。
<分割>
1つの健康保険組合が分割される場合、分割後の各組合ごとに設立の手続きを行う。
事業主・被保険者の同意と厚生労働大臣の認可が必要。
財産の按分や業務の分担も含めて明確な分割計画を策定する。
<ポイント>
設立・併合・分割のいずれも「厚生労働大臣の認可」が必要。
併合・分割は組合の総会や事業主・被保険者の同意など、関係者の合意が不可欠。
<補足:認可と委任の違い>
・健康保険組合の「設立・併合・分割」は厚生労働大臣の権限(委任されていない)
・一方、「一般保険料率の変更」など、一部の手続きは地方厚生局長に委任されている
→ この違いが試験で問われやすいので要注意!
<メモ>
・“厚生労働大臣の認可が必要”な手続きかどうかを見分ける力が必要
・委任されているのは「一般保険料率の変更」など一部の事項のみ
・設立は原則被保険者数700人以上が目安
・法人格を取得して独立運営が前提
【健康保険組合|保険料の事業主負担割合ルール】
<原則>
健康保険における保険料は、「被保険者」と「事業主」が折半する。
= 負担割合は「基本的に1/2ずつ(50%)」とされている。
<健康保険組合における特例>
健康保険組合では、規約により「事業主負担を多くする」ことが可能。
→ ただし、事業主負担の上限は「1000分の130」(=保険料率13%であれば、8.45%までなど)
→ 被保険者の負担は「最低1000分の50」必要(=5%未満にはできない)
<具体例>
保険料率:10%(1000分の100)の場合
・原則 → 事業主5%、被保険者5%
・規約で変更 → 事業主6.5%、被保険者3.5% ←このような設定も可
<制度の趣旨>
企業の裁量で保険料負担を増やすことにより、福利厚生の一環として被保険者を保護する目的。
<注意点>
・事業主の負担を「減らす」ことはできない(折半未満は禁止)
・被保険者の負担は「最低1000分の50」を下回ってはならない
・変更には組合規約の定めが必要であり、勝手に変更はできない
<メモ>
・「事業主多め」はOK、「事業主少なめ」はNG
・“規約で定めたときのみ変更可能”
・1000分の50・130という数字が出たらこの制度!
【健康保険組合|剰余金の準備金積立ルール】
<準備金として積み立てるべき金額>
健康保険組合は、事業年度末において、以下の金額に達するまで剰余金を準備金として積み立てなければならない。
① 保険給付等に関する準備金
・対象費用:
被保険者または被扶養者に対して行った保険給付(出産育児交付金を除く)
・積立基準額:
直前2事業年度において要した費用の平均額の12分の3
② 高齢者納付金等に関する準備金
・対象費用:
前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、介護納付金、日雇拠出金、流行初期医療確保拠出金
(前期高齢者交付金は控除する)
・積立基準額:
直前2事業年度において要した費用の平均額の12分の1
<補足>
・上記①②の合計額に達するまで、当該年度の剰余金を準備金として積み立てる必要がある。
【健康保険組合の監事の選挙ルール】
<選出方法>
・監事は、組合会において選出される
・設立事業所の事業主が選んだ組合会議員と、被保険者である組合員が選んだ組合会議員の中から、それぞれ1人を選挙で選出する
<兼職の禁止>
・監事は、健康保険組合の理事または職員を兼ねることができない
【国保組合・健保組合・後期高齢者医療広域連合|設立要件と認可主体比較表】
制度名 | 認可・設置主体 | 発起人要件 | 同意者要件 |
国民健康保険組合 | 都道府県知事 | 15人以上 | 300人以上 |
健康保険組合 | 都道府県知事 | 7人以上 | 700人以上 |
後期高齢者医療広域連合 | 広域連合(都道府県+市町村で構成) | ― | ― |
この記事では健康保険組合についてご紹介しました。
次回に続きます!


