厚生年金の障害手当金
- 筒井

- 8月4日
- 読了時間: 3分
更新日:8月16日
ここでは厚生年金の障害手当金についてお伝えします。
【厚生年金の障害手当金】
障害の原因となった傷病にかかる初診日に厚生年金保険の被保険者である場合で
初診日に属する月の前々月までの厚生年金保険料の納付と免除の期間が被保険者期間全体の2/3以上の場合か、直近1年間に滞納が無ければ支給される。
平均標準月額報酬×5.481/1000の2年分を一時金で受け取れる。
表現 | 意味 | 対応 |
100分の200 | 報酬比例の2年分(24か月分) | 平均標準報酬月額×5.481/1000×24 |
100分の50 | 報酬比例の0.5年分(6か月分) | ※特例給付などで見かける |
<支給要件>※すべて満たす必要あり
・初診日に厚生年金保険の被保険者であること
・初診日の属する月の前々月までに保険料納付要件を満たしていること
→ ① 被保険者期間の2/3以上が納付または免除
または
→ ② 初診日前1年間に保険料の滞納がないこと
・障害等級3級よりも軽い障害であること
・初診日から5年以内に傷病が治っていること
※「治った」とは、治癒または症状固定(治療の効果が期待できない状態)
<支給額>
・支給は一時金(1回限り)
・算定式:
平均標準報酬月額 × 5.481 / 1000 × 24(=2年分)
→ 報酬比例部分の2年分を一時金として支給
<最低保障額>
・障害基礎年金2級の年額の3/4相当額
(例:令和6年度 約586,500円)
<ポイント>
・障害厚生年金3級より軽度の障害が対象
・障害年金の支給停止が3年続いたあと、受給権が消滅した際に支給されることもある
項目 | 障害手当金 | 障害厚生年金 |
いつ認定される? | 傷病が治ったとき | 障害認定日(原則:初診日から1年6ヶ月後)または事後重症 |
初診日から5年ルールあり? | ✅ ある(超えると請求できない) | ❌ ない(継続していればOK) |
支給形式 | 一時金(一括) | 年金(月額) |
対象となる障害 | 3級未満 | 3級以上 |
【障害手当金が支給されないケース|遺族厚生年金と重複する場合】
<支給されない条件>
・障害手当金の支給要件を満たしていても、次のいずれかに該当する場合は支給されない:
・「障害の程度を定めるべき日」において、遺族厚生年金の受給権者である場合
<理由>
・保険事故(死亡と障害)が重複するため、給付の調整が行われる
・障害手当金:労働能力の喪失に対する一時金
・遺族厚生年金:被保険者の死亡に基づく継続給付
→ 同一人物に対して、死亡事故による給付と障害事故による給付の両方を同時に支給するのは制度の趣旨に反する
<たとえば>
・夫の死亡により、妻が遺族厚生年金を受給中
・その妻が、自ら障害手当金の支給要件を満たしたとしても、
→「障害の程度を定めるべき日」に遺族厚生年金の受給権があるなら、障害手当金は支給されない
【故意の事故による障害と給付制限】
<概要>
被保険者が故意に事故を起こし、その結果として障害を負った場合、またはその直接の原因となった事故を生じさせた場合には、その障害を支給事由とする障害厚生年金または障害手当金は支給されない。
<根拠>
・故意の行為による事故 → 自己責任が極めて大きく、公的年金による補償の対象外。
・制度趣旨:社会的リスクに対する保障であり、自発的に招いた結果は保障しない。
<給付制限の範囲>
・障害厚生年金
・障害手当金
→ 上記いずれも支給しない(全部または一部の不支給ではなく、原則全額不支給)
<注意点>
・過失や事故の不可抗力による障害は支給対象となる。
・故意であるかの判断は、具体的な行為・状況に基づき行われる。
この記事では厚生年金の障害手当金についてご紹介しました。
次回に続きます!


