国民年金基金連合会
- 筒井

- 7月30日
- 読了時間: 5分
更新日:8月13日
ここでは国民年金基金連合会についてお伝えします。
【国民年金基金連合会と国民年金基金の違い|役割まとめ】
<国民年金基金連合会とは>
・全国の自営業者などが加入する第1号被保険者の補完制度を支える、法人格をもつ団体
・主に「国民年金基金」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の運営・管理を行う
・国民年金基金の拠出金を原資として、各基金の積立金に付加を行う業務も担っている
<主な役割>
・国民年金基金の統括と運営管理
・個別の「地域型・職能型基金」の認可・指導
・国民年金基金の積立金の管理・運用、及び**資産の補完や不足部分の補填**(※調整的役割)
・iDeCo(個人型確定拠出年金)の受付・記録管理等の事務全般
・国民年金保険料の追納・免除などの情報共有や連携も担う
<具体的な業務内容の例>
・加入者からの拠出金を集約し、基金ごとに積立額の調整(リスク分散的に)を行う
・万一、特定の基金に運用不足や財政難が生じた場合、連合会が制度全体として補填や再調整を実施
・共通事務処理(加入申込・変更・給付指示など)の一元化と合理化
・制度改正に応じた運用マニュアルの更新や基金への周知
・国の指導のもと、制度の透明性や信頼性を担保する仕組みづくり
<国民年金基金とは>
・第1号被保険者が老後資金を準備するための上乗せ年金制度(任意加入)
・都道府県単位の「地域型」または職業ごとの「職能型」の基金に加入する
<補足>
・国民年金基金連合会は、厚生労働大臣の認可を受けた法人であり、公的な立場で運営
・iDeCoもこの連合会が窓口になっているため、役割がかなり幅広い
分類 | 実際の制度名 | 誰が集めてる? | 運用するのは誰? |
働いてる会社で積み立て | 企業型確定拠出年金(企業型DC) | 企業(+信託銀行等) | 金融機関(運用指図:本人) |
個人で積み立て | iDeCo(個人型確定拠出年金) | 国民年金基金連合会【一部担当※】 | 金融機関(運用指図:本人) |
自力で会に入って積み立て | 国民年金基金 | ✅国民年金基金連合会 | ✅国民年金基金連合会が一括運用 |
【Government Pension Investment Fund(GPIF)|年金積立金管理運用独立行政法人】
<正式名称>
年金積立金管理運用独立行政法人(Government Pension Investment Fund)
<目的>
公的年金制度の安定運営を図るため、厚生年金保険・国民年金の積立金を安全かつ効率的に運用すること
<設立根拠>
独立行政法人通則法およびGPIF法(年金積立金管理運用独立行政法人法)
<運用の対象>
・厚生年金保険の積立金
・国民年金の積立金
※国庫や保険料収入のうち、将来の給付に備えて積み立てられた分を運用
<主な業務>
・年金積立金の資産運用(債券・株式・外国資産などを含む)
・基本ポートフォリオの策定と見直し(例:国内債券25%、国内株式25%、外国債券25%、外国株式25%)
・運用委託先の選定・監督(信託銀行や投資顧問会社など)
・運用成果・リスクの分析と報告(毎年、運用実績を公表)
<運用方針>
・長期的・安定的な運用が原則
・インフレリスクや経済変動に備えて分散投資を行う
・過度なリスクを避けるため、一定の安全性を確保した資産構成
<位置づけ>
・GPIFはあくまで運用専門の機関であり、実際の年金給付には関与しない
・厚生労働省の所管のもと、独立した法人として運営されている
<規模感(参考:2024年度)>
・世界最大級の年金運用機関
・運用資産残高は約200兆円超(※年度により変動)
<備考>
・運用損益は国民の年金財政に直結するため、透明性・説明責任が重視される
・近年はESG投資(環境・社会・ガバナンスを意識した投資)も重視
公的年金制度 | 主な原資 | GPIFの役割 |
国民年金(基礎年金) | 保険料(16,520円など)+国庫負担 | 基礎年金の積立金の一部を運用 |
厚生年金 | 企業と労働者の保険料 | 厚生年金の積立金の一部を運用 |
【確定拠出年金|企業型と個人型の掛金の流れ比較】
<企業型確定拠出年金>
・掛金を出すのは事業主(企業)。
・掛金の納付先は「運営管理機関」(信託銀行・保険会社など)。
・国民年金基金連合会は関与しない。
<個人型確定拠出年金(iDeCo)>
・掛金を出すのは加入者本人。
・掛金の納付先は「国民年金基金連合会」。
・国民年金基金連合会が掛金をとりまとめ、指定の運営管理機関に振り分ける。
・加入受付・掛金管理なども国民年金基金連合会が担当。
<押さえたいポイント>
・企業型と個人型で掛金の流れと納付先が異なる。
・個人型(iDeCo)は必ず国民年金基金連合会を経由する。
・企業型は国民年金基金連合会を経由しない。
【個人型年金(iDeCo)|年1回以上拠出ルールと制度の変遷】
<基本ルール>
・根拠:確定拠出年金法68条1項
・個人型年金(iDeCo)加入者は、政令で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出する義務がある
・完全に拠出をゼロにして積立を停止することは原則不可(制度上は“積立を継続する”ことが前提)
<制度開始当初(2001年〜)>
・制度発足時から「年1回以上」の拠出義務は存在
・拠出額は年単位・月単位で設定できたが、年1回以上は必須
・完全な任意積立型(拠出自由型)にはしていない
<柔軟化された部分>
・掛金額の変更:年1回変更可能(途中で増額・減額)
・拠出の中断(休止制度):特定の事情がある場合、掛金拠出を一定期間停止できる(休止中は新たな積立なし)
例:収入減少、加入資格の喪失、企業型年金への移行など
・休止制度利用後も、再開時は再び「年1回以上」の拠出義務が復活
<制度趣旨>
・老後資産形成の“継続性”を確保するため、完全自由ではなく最低拠出ルールを設定
・税制優遇(所得控除)の対象となるため、国としては継続的な運用を促したい意図がある
<ポイント>
・年1回以上の拠出は制度発足時から変わっていない
・中断や額変更は可能だが、「完全自由積立型」ではない
・税制優遇と引き換えに拠出継続の義務がある仕組み
この記事では国民年金基金連合会についてご紹介しました。
次回に続きます!


