有期労働契約の上限は3年
- 筒井

- 2024年9月14日
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更新日:10月17日
ここでは有期労働契約についてお伝えします。
【有期労働契約の期間と無期転換(労働契約法第17条・第18条/労働基準法第14条)】
<契約期間の上限>
・原則:3年以内
・次の労働者は5年以内まで延長可
└ 高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者
└ 満60歳以上の労働者
・建設現場などの「有期的事業」に従事する場合は、事業完了までの契約を締結できる(3年・5年の上限を超えて可)
<高度専門職の例>
博士、公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士、弁理士、ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリー試験合格者、一定の経験を有するシステムエンジニア・デザイナー など
(※年間賃金が1,075万円以上)
<5年を超える契約ができるケース>
・「一定の事業の完了まで」という特別な契約形態の場合は、6年・7年などの長期契約も可能
例:認定職業訓練、建設プロジェクト、国際イベントなど、完了時期が明確な事業
<労働者からの解約>
・契約期間が1年以上の有期労働契約を結んだ労働者は、1年経過後いつでも退職できる
・ただし、高度専門職・満60歳以上・有期的事業従事者はこの規定の対象外
<無期転換申込権(労働契約法第18条)>
・同一使用者との有期労働契約が通算5年を超えたとき、労働者は無期転換を申し込むことができる
・申込時期:契約期間満了の日まで
・申込があれば、使用者はこれを承諾したものとみなされる
・対象外:最初から5年以上の長期契約(更新なし)の場合
<OK/NG例>
・1年契約×6回更新=通算6年 → 無期転換OK
・5年契約+1年更新=通算6年 → 無期転換OK
・5年契約(更新なし)=無期転換NG
・6年契約(事業完了型、更新なし)=無期転換NG
≪ポイント≫
・原則3年、特例5年、例外として「事業完了まで」も可
・1年以上の契約は1年経過後に退職自由(除外あり)
・通算5年超で「無期転換申込権」が発生
・「○年以上」=その年数を含む、「○を超える」=その年数を含まない
【継続が期待される雇用関係と雇用保険加入】
<定義>
・有期雇用契約であっても、契約更新が繰り返され長期的な雇用継続が見込まれる状態。
・契約終了後も再雇用される蓋然性が高い場合を指す。
<特徴>
・複数回(例:5回)の契約更新実績
・業務内容が恒常的で、季節・臨時的ではない
・期間満了のたびに使用者が更新してきた経緯
・労働者が継続勤務できると合理的に信じられる状況
<法的な意味>
・労契法19条(雇止め法理)の適用可能性
・雇止めには合理的理由+社会通念上の相当性が必要
・事実上、期間の定めのない契約に近い保護を受ける場合がある
<雇用保険加入との関係>
・雇用保険は「31日以上の雇用見込み」+「週20時間以上勤務」で加入対象
・更新が繰り返され次回も雇用が見込まれる場合、契約期間が短くても加入義務
・臨時・短期契約でも、実態が継続雇用なら加入対象
<実務上の注意>
・契約書の期間だけでなく、更新履歴で判断される
・「31日未満」契約を繰り返す加入逃れは不可
・労基署・ハローワーク調査で認定される場合あり
この記事では有期労働契約についてご紹介しました。
次回に続きます!


