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女性・妊婦さんの労働

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2024年8月21日
  • 読了時間: 3分

更新日:2 日前

ここでは女性・妊婦の労働についてお伝えします。



【妊産婦の保護と育児時間(労働基準法)】


<産前休業>

・出産予定日の6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から、女性が請求した場合に休業できる。

・この休業は「本人の請求により」取得する権利であり、事業主は拒否できない。


<産後休業>

・出産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。

・ただし、産後6週間を経過した後、本人が希望し、医師が認めた場合は就業できる。


<妊婦に関する労働時間と作業の配慮>

・変形労働時間制を採用していても、妊婦が請求した場合には法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働させることはできない。

・また、妊婦が請求した場合、立ち仕事など妊婦に負担の大きい業務を軽易な業務に転換しなければならない。


<育児時間>

・満1歳未満の子を育てる女性労働者は、1日2回、それぞれ30分以上の「育児時間」を請求できる。

・この時間は就業時間中に確保されるもので、事業主は拒否できない。


<目的>

・妊産婦および育児中の女性労働者の健康と福祉を保護し、母体・育児の両立を支援するため。



【妊産婦の請求による時間外・休日労働の制限(労基法66条2項)】


<内容>

妊産婦(妊娠中または出産後1年以内の女性)が請求した場合、使用者は労働基準法33条(災害時の特例)および36条(36協定)にかかわらず、時間外労働や休日労働をさせてはならない。


<例外>

ただし、労働基準法41条2号に定める「監督または管理の地位にある者」には、この請求による免除は適用されない。


<まとめ>

妊産婦が「残業・休日出勤をしたくない」と請求した場合、会社はそれに従う義務がある。

ただし、管理職などの監督的地位にある妊産婦には、この保護は及ばない。



【妊産婦等の就業制限(労基法64条の3・女性則2条)】


<内容>

産後1年を経過しない女性については、特定の危険・有害な業務に就かせてはならないとされている。

妊娠中の女性の就業制限業務のうち、「土砂が崩壊するおそれのある場所」または「深さ5メートル以上の地穴・高さが5メートル以上の場所」で、墜落などにより労働者が危険を受けるおそれのある業務は原則として禁止される。


<追加の禁止業務>

産後1年を経過しない女性については、上記に加えて「坑内作業」および「さく岩機・鉱打機など身体に著しい振動を与える機械器具を用いた業務」などにも就かせてはならない。


<例外>

ボイラーの取扱いなど、一部の業務については「申出」により就業が認められる場合がある。


<まとめ>

妊娠中や産後1年以内の女性は、墜落や振動など身体に危険を及ぼす作業に従事させることが禁止されている。これは母体保護の観点から定められた重要な就業制限である。



【生理休暇の取扱い(根拠:労基法68条)】


<制度の内容>

・女性労働者が生理日の就業が著しく困難なときは、請求すれば休暇を与えなければならない。

・この休暇は使用者の義務であり、必ず与えなければならない休暇(強行規定)である。


<賃金の扱い>

・労働基準法上は、生理休暇を有給とする義務はない。

・会社が就業規則などで有給と定めていない限り、無給(欠勤扱い)とすることができる。


<年次有給休暇との関係>

・年次有給休暇をすべて使い切っていても、生理休暇は別枠で請求できる。

・ただし、その分の賃金は支払義務がないため、無給欠勤扱いとなる。


<まとめ>

・生理休暇=必ず与える義務あり。

・賃金=原則無給(会社の任意で有給にできる)。

・年休とは別制度であり、併用も可能。




この記事では女性・妊婦の労働についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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