徴収権・給付権 時効起算日&時効年数まとめ
- 筒井

- 7月26日
- 読了時間: 3分
更新日:8月10日
区分 | 権利の種類 | 時効年数 | 起算日(いつからカウント?) | 備考 |
🔹 保険料 | 徴収権 | 2年 | 保険料の納期限の翌日 | 健康保険・厚年・雇用保険など共通 |
🔹 その他の徴収金(不正受給の返還など) | 徴収権 | 5年 | 徴収すべき原因である事実が終了した日の翌日 | 「発覚日」ではなく「事実が終わった日」なので注意 |
🔸 保険給付(療養・手当金など) | 給付権 | 2年 | 支給すべき事由が生じた日の翌日 | 傷病手当金なら「労務不能日」、出産なら出産日翌日など |
🔸 高額療養費・高額介護合算療養費 | 給付権 | 2年 | 費用を支払った日の翌日 | 領収書ベースで判断されることが多い |
🔸 付加給付(組合) | 給付権 | 組合が規約で定める(多くは2年) | 多くは「支給事由発生日の翌日」 | 規約によって異なる場合がある |
補足:徴収権の強制執行と法的根拠
健康保険法第183条により、保険料や徴収金の未納に対しては、国税徴収法の規定が準用される
特に国税徴収法第141条の準用により、以下のような強制的な徴収措置が可能となる
措置 | 内容 |
督促 | 正式な督促状を送付して、支払うよう促す |
差押え | 支払われない場合は、財産や給与・預金を差し押さえることができる |
捜索・押収 | 財産を隠すなどの行為があれば、捜索して差押え・押収も可能(国税徴収法141条による) |
➡ つまり、徴収権が発動した後は、税金と同様の強制力をもって回収が行える制度になっている。
補足:徴収調査に対する答弁義務と罰則(健康保険法第209条)
厚生労働大臣やその委任を受けた職員が、徴収の調査等で質問を行うことがある
その際、対象者(事業主など)が以下の行為をした場合は、50万円以下の罰金が科される:
違反行為 | 内容 |
不答弁 | 正当な理由なく質問に答えない |
偽りの陳述 | 事実と異なる虚偽の回答をする |
➡ 調査協力義務に違反すると、罰則対象になる点に注意!
<追記メモ📝>
・健康保険の不正受給については、原則「全額返還」が基本ルール。
※情状による一部免除などの規定はなく、徴収対象となる。
【国民年金と労基法の補償との併給調整ルール|6年支給停止】
<対象年金>
国民年金法に基づく以下の年金
・障害基礎年金
・遺族基礎年金
・寡婦年金
<調整の理由>
労働基準法に基づく「障害補償年金」「遺族補償年金」と性質が重なるため、併給を調整(制限)する必要がある
<調整の内容>
上記の年金は、労基法による補償年金を受ける場合、一定期間(原則6年)に限り支給停止となる
<調整期間>
原則として、労基法に基づく補償年金の支給開始から6年間は、国民年金の障害基礎年金等が全部支給停止される
<備考>
・この6年経過後は、国民年金側の年金の支給が再開される場合がある
・調整対象となるかどうかの判断は、労基法上の補償の支給状況や年金の種類により異なる
<厚生年金保険料の時効|起算日と時効期間>
・時効の起算日:
→ 「支払期限の翌月の初日」から起算
・時効期間:
→ 5年
<具体例>
・たとえば、4月分の厚生年金保険料の支払期限が「5月末日」の場合:
→ 時効の起算日は「6月1日」
→ 時効完成は「6月1日から5年後」
<補足>
・この時効は、保険者(政府)による「徴収権」に対するもの
・納付義務者が自発的に支払っても無効にはならないが、時効完成後に強制徴収はできなくなる
<厚生年金|徴収権>
・対象:保険者(政府)が事業主に対して保険料を徴収する権利
・起算日:支払期限の翌月1日
・時効期間:5年
・根拠:厚生年金保険法 第100条(国税徴収法準用)
<厚生年金|給付権(支給請求権)>
・対象:被保険者や受給権者が年金や一時金を請求する権利
・起算日:支給事由が生じた日の翌日
・時効期間:5年(障害・遺族給付など)または2年(付加年金など一部)
・根拠:厚生年金保険法 第98条


