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標準報酬月額まとめ

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 7月3日
  • 読了時間: 6分

更新日:8月5日

ここでは標準報酬月額についてお伝えします。



●健康保険の標準報酬


賃金・給与・年俸・手当・賞与など、労働者が対償として受け取る全てのものをいう。

※見舞金等の臨時のものは除く

※3ヶ月を超える期間ごとに受けるものを除く


【在宅勤務手当の取扱い】

・在宅勤務手当のうち、実費弁済(例:電気代・通信費等)に相当する部分は報酬に含まれない。

・それ以外の部分(定額で支給される分など)は、報酬に含まれる。

・ただし、支給制度自体に変更がない限りは「固定的賃金の変動」とはされず、臨時改定(随時改定)の対象にはならない。


<標準報酬月額>

報酬月額を等級九分でわけたもの。

第1級 報酬月額 63,000円未満 → 標準報酬月額 58,000円

第4級 報酬月額 83,000円以上~93,000円未満 → 標準報酬月額 88,000円

第35級 報酬月額 635,000円以上~665,000円未満 → 標準報酬月額 650,000円

第50級 報酬月額 1,355,000円以上 → 標準報酬月額 1,390,000円(最高等級)


※最高等級に該当する者が被保険者全体の1.5%を超えた場合、等級が加わる。



[健保・厚生共通ルール]

●定時決定での報酬月額の算定

『被保険者報酬月額算定基礎届』に記入する場合は、

4月~6月までの報酬の総額を3で除した額を報酬月額とする。


労働日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)である月がある場合は、

その月を除く。


※6月1日~7月1日の間に被保険者の資格を取得した者は除く

※産休・育休で7月~9月の間に標準報酬月額が改定される予定の者は除く


[健保・厚生共通ルール]

●随時改定での報酬月額の算定

報酬月額がに2等級以上の差が生じたとき、

継続した3か月の報酬でその各月全て17日以上の支払基礎日数(短時間勤務者は15日以上)であった場合はその翌月から改定できる。


[厚生ルール]

※船員被保険者は報酬月額がに2等級以上の差が生じたとき要件なしで翌月から改定できる


[健保・厚生]

●育休等終了時改定

被保険者が事業主を経由して申出をしたときは、

育休終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から標準報酬月額が改定される。

育休終了日の翌日が属する月以降3月間継続して使用された期間に限る。

※労働日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)である月がある場合は、

その月を除く


[厚生ルール]

1~6月に改訂された場合は8月まで、

7~12月に改訂された場合は翌年の8月までの各月を標準報酬月額とする。



[健保・厚生]

●産休等終了時改定

被保険者が事業主を経由して申出をしたときは、

産休終了日の翌日から起算して2月を経過した日の属する月の翌月から標準報酬月額が改定される。

育休終了日の翌日が属する月以降3月間継続して使用された期間に限る。

※労働日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)である月がある場合は、

その月を除く

[厚生ルール]

1~6月に改訂された場合は8月まで、

7~12月に改訂された場合は翌年の8月までの各月を標準報酬月額とする。



[厚生ルール]

●養育期間標準報酬月額特例

受け取れる厚生年金額を維持するために、産前休業開始前の標準報酬月額を維持する制度。

3歳未満の子を養育し標準報酬月額が下がったとき申請できる。

※養育特例の申請が遅れた場合、その前月から遡って2年間までしか適用されないので注意




[健保]

●任意継続被保険者の標準報酬月額

被保険者の資格喪失したときの標準報酬月額か、

前年の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額のいずれか少ない額とする。



[健保]

●特例退職被保険者の標準報酬月額

前年の9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額の平均額の範囲内で規約で定めた額とする。



[雇用]

●雇用保険の標準賞与額

賞与額の1000円未満の端数を切り捨てた額。

ただし、その年度で累計額が573万円を超える場合は573万とする。

※573万以上は零とする


[厚生]

●厚生年金保険の標準賞与額

賞与額の1000円未満の端数を切り捨てた額。

1月あたり150万円を超える場合は150万とする。



【定時決定における一時的な報酬低下(異常値)への対応】


<背景・目的>

一時的な要因で報酬が著しく低下していた場合、

その金額をそのまま使って標準報酬月額を決定すると、実態より大きく下がってしまい、

将来の給付(傷病手当金・出産手当金など)にも悪影響が出るおそれがある。

このため、実態に即した「通常の報酬」をもとにした決定が認められるケースがある。


<対応の名称>

定時決定における「著しい報酬低下による例外的決定」または「見込み報酬による標準報酬月額の決定」


<要件>

以下すべてに該当する場合、例外的に9月以降の通常報酬をもとに「見込み」で標準報酬月額を設定できる。


1. 報酬が一時的に著しく低下している

2. その原因が明確で一時的(例:帰省、病気、私傷病による欠勤など)

3. 以降は明らかに回復しており、通常水準に戻る見込みがある

4. 事業主が申立書等により理由・状況・今後の見込みを明記する

5. 被保険者本人にも不利益でないこと


<判断ポイント>

・「一時的な休職」「長期出張後の復帰」「季節労働者の繁忙期」などのパターン

・3ヶ月平均よりも9月以降の通常報酬が大きく上回ることが明らかであるか

・業務日報や給与台帳などによる根拠の提示が重要(申立書の添付も)


<実例>

・育児で4〜6月は時短勤務 → 7月以降はフルタイム復帰

・家族の介護で4〜6月は在宅手当のみ → 7月以降出社再開

・帰省や海外渡航などで報酬がほぼゼロ → 8月下旬に通常勤務へ復帰


<注意点>

・「見込み」で決定した場合でも、後に著しい差異があれば再検討の対象になることがある

・本来の定時決定の原則(4〜6月の報酬平均)を逸脱するため、慎重な判断が求められる

・実務では社会保険事務所との相談・確認が重要となる


<メモ>

・この特例は「低下 → 回復見込み」のときのみ適用

・「高かったけど今後下がる」ケースには使えない

・事業主が“根拠と理由”を示すことが必須



【減給と標準報酬月額の随時改定について】


<基本ルール>

・標準報酬月額の随時改定(月変)は、固定的賃金に変動があった場合に行われる


<今回のポイント>

減給の制裁は、固定的賃金の変動には当たらないため、随時改定の対象とならない

・たとえ報酬に2等級以上の差が生じても、随時改定は行われない


<理由>

・制裁としての減給は、臨時的・一時的なものと判断され、継続的な報酬の変動とは見なされないため


<結果>

・社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は高いままとなる場合がある



【非固定的手当の廃止による随時改定】


<内容>

超過勤務手当などの非固定的手当が廃止されたことにより、報酬月額に2等級以上の差が生じた場合は、賃金体系の変更に該当する。


<ポイント>

・固定給(基本給等)が変化していなくても、随時改定の対象となる。

・非固定的手当の廃止は「賃金体系の変更」として扱われるため。


<根拠>

法第43条、令和5年6月27日事務連絡




この記事では標準報酬月額についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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