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厚生年金保険料額と納付

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2024年8月24日
  • 読了時間: 5分

更新日:8月16日

ここでは厚生年金保険料額と納付についてお伝えします。




●標準報酬

標準報酬=標準月額報酬+標準賞与額


【標準報酬月額】

報酬を標準報酬月額等級表にあてはめて計算します。


報酬・・・基本給、賞与、家族手当、住宅手当、通勤手当、残業手当など

標準報酬月額等級表・・・報酬を1~32等級に分類した表


第1級(88,000円)~第32級(650,000円


<最高等級の見直し>

毎年3月31日時点の平均標準報酬月額 ×2(200分の200)が現行の第32等級(650,000円)を超えた場合は翌年9月2日から等級改定が可能になる



【標準報酬月額の等級見直しルールまとめ】


・全被保険者の標準報酬月額の平均額が、

 標準報酬月額等級の最高等級の標準報酬月額の100分の200(=2倍)を超える場合

・かつ、その状態が継続すると認められるとき


→ 政令により、最高等級の上に等級を加える「等級区分の改定」を行う


・この等級区分の改定は、翌年の9月に実施される


<要点チェック>


・基準日:毎年12月31日時点

・判断材料:標準報酬月額の平均値 vs 最高等級の月額

改定時期:翌年9月

・改定内容:等級区分の追加(上限の引き上げ)


<ひっかけ注意ポイント>


・「9月に改定」が書かれていないと×になる(要件の一部欠落)

・「100分の200」=平均が2倍を超えると見直しが必要



【標準賞与額】

賞与額の1000円未満を切り捨てた額

上限額は150万円

【平均標準報酬月額】

厚生年金の報酬比例部分の計算に用いられる金額。

平成15年3月までの標準報酬月額(=月給ベース)を元にした平均値で、その期間中に支払われた標準報酬月額の合計を、加入月数で割って算出する。


<要件>

  • 平成15年3月以前の被保険期間がある人に対して使われる

  • 報酬比例部分のうち、旧制度に対応する計算パーツ


平均標準報酬月額 × 7.125/1000 × 平成15年3月までの月数で報酬比例部分の一部が決まる

つまり、この金額が高いと老齢厚生年金の額が上がる

平成15年4月以降の期間については「平均標準報酬額」(=総報酬制)が使われる

年金額の計算では、両方の平均を別々に出して合算する方式で古い制度の名残り


名称

中身

平均標準報酬月額

昭和〜平成15年3月までの月給ベースの平均(月額)

平均標準報酬額(≒平均標準賞与額)

平成15年4月以降の総報酬制に基づく月給+賞与の平均(月額換算)


対象者・加入期間             

給付乗率    

適用内容・備考                      

昭和21年4月1日以前に生まれた人       

7.5/1,000  

読み替えにより優遇(法附則59条)               

平成15年3月までの加入期間          

7.125/1,000 

旧制度:標準報酬月額ベース                  

平成15年4月以降の加入期間(総報酬制導入以降) 

5.481/1,000 

現行制度:標準報酬額(賞与含む)ベース             


【再評価率】


説明再評価率とは、過去の標準報酬月額などを現在の価値に換算するための倍率。物価や賃金水準の変動を考慮し、年金額の公平性を保つために使用される。老齢厚生年金の報酬比例部分の計算時などに適用される。再評価率は、過去と現在の物価変動率や名目手取り賃金変動率をもとに算出されている


<使う場面>

  • 平均標準報酬月額を算出する際に用いる

  • 報酬比例部分の年金額を計算するときに適用 → 昭和・平成初期など昔の報酬を現在価値に直す


<支給額への影響>

  • 再評価率をかけることで、当時の賃金が今の価値で評価される

  • 年金額が過去の報酬水準に引きずられないように調整される

  • その年の再評価率は厚生労働省が告示し、毎年更新される


※注意

  • 「加給年金」や「経過的加算額」などの固定額に再評価率は使わない → これらは別途「改定率」で調整される

  • 再評価率と改定率は用途が違うので混同に注意!


<再評価率の改定ルール>

基準年度以後において再評価率を改定する際は、原則として物価変動率を基準とするただし、物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回るときは、名目手取り賃金変動率を基準とする



【モデル年金と所得代替率まとめ】


<モデル年金とは?>

・平均的な給与の厚生年金加入者(夫)と、専業主婦(国民年金第3号)の夫婦モデル

・将来の年金給付水準を示す基準としてよく使われる


<所得代替率とは?>

・老後の年金額が、現役時代の手取り収入の何%かを示す指標

・計算式:

 年金の年間受給額 ÷ 現役時代の平均手取り年収 × 100


<政府の目標>

・将来にわたって「所得代替率が50%以上(=100分の50)になること」を目指す

・これは法律上の義務ではなく、あくまで努力目標(指針)


<分母の計算方法>

・「前年度の男子平均標準報酬月額」から、「公租公課(=税金や社会保険料)」を控除した手取り額に相当


<注意ポイント>

・法律で「50%を超えるようにしなければならない」と決まっているわけではない

・設問で「法律上の義務」のように書かれていたら ×(バツ)!


<使われる場面>

・年金財政の見通し(財政検証)や、制度改革の議論などで基準として使われる



【基準年度】


説明基準年度とは、再評価率や改定率を計算するための“起点の年”のこと。「どの年の水準を基準にして、他の年を比べるか」を決めるための基準。再評価率の計算では、この年を起点に物価や賃金水準の変化を測る。


<使う場面>

  • 再評価率や改定率を算出する際に使う

  • 過去の報酬や額を現在の水準に置き換えるときの比較元になる


<ポイント>

  • 国が毎年定める(厚労省が告示)

  • 年度によって基準年度は異なるが、社労士試験では概念を理解していればOK

  • 「基準年度の賃金水準」と「対象年度の賃金水準」を比較して倍率を算出する

たとえば「平成15年のハンバーガーの値段」を100円としたら、今それが150円なら「1.5倍に値上がりした」=再評価率1.5



●厚生年金健康保険料額

標準報酬月額・標準賞与額にそれぞれ保険料率を掛けて計算します。


標準報酬月額×厚生年金保険料率

標準賞与額×厚生年金保険料率


厚生年金保険料率・・・18.3%で固定されています



●厚生年金健康保険料の支払い

事業主が翌月末日までに、事業主負担分・被保険者負担分の合計額を納付します。

任意継続被保険者は毎月10日までに納付する。


<健康保険料の免除>

下記の場合免除されます。

刑事施設に収容、拘禁されたとき

3歳未満の子の育児休業、産前産後休業期間






この記事では厚生年金保険料額と納付についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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