社会保険審査会
- 筒井

- 8月13日
- 読了時間: 4分
更新日:8月14日
ここでは社会保険審査会についてお伝えします。
【社会保険審査会と地方厚生局】
<社会保険審査会とは>
・社会保険審査会は、社会保険の不服申立て(審査請求・再審査請求)を扱う国の機関。
・厚生労働大臣のもとに置かれる独立性のある合議制の機関。
<審査官とは>
・審査官は、厚生労働省の職員のうちから厚生労働大臣が命じて任命する。
・任命された審査官は、各「地方厚生局」(地方厚生支局を含む)に置かれる。
<地方厚生局とは>
・地方厚生局は、厚生労働省の地方支分部局(=地方の出先機関)。
・全国に8つあり、地域ごとの保険医療、福祉、薬事、年金、監査業務などを担当。
・さらに、地方厚生「支局」もあり、これは地方厚生局の下部組織。
<役割のイメージ>
- 厚生労働省(本省)・・・制度の設計・法律の整備
- 地方厚生局・・・現場の監督・申請受付・審査官配置などの実務担当
<関連ワード>
・社会保険審査官:審査請求の第一段階を担当
・社会保険審査会:再審査請求の段階を担当
【審査請求と原処分の執行停止】
<基本ルール>
・審査請求は、原則として原処分の執行を停止しない。
<例外:執行停止が認められる場合>
・審査官は、原処分の執行により生ずることのある
・償うことの困難な損害を避けるため
・緊急の必要があると認めるとき
→ 職権でその執行を停止することができる。
<執行停止の効力の期限>
・審査請求があった日から「2か月以内」に決定がない場合、
→ 執行停止は「審査請求を棄却する決定があったもの」とみなされる。
→ その効力を失う。
<補足>
・この規定により、無制限な執行停止を防ぎつつ、急を要する損害を防止できる仕組み。
【社会保険審査会|合議体と役割】
<合議体の意味>
・複数のメンバーで構成され、話し合い(合議)で意思決定を行う組織形態。
・1人の独断ではなく、複数人で公平性・客観性を確保する目的がある。
・裁判の合議制と似た仕組み。
<社会保険審査会の構成>
・委員長および委員から成る。
・再審査請求や審査請求の事件を扱う際は、審査会が指名する3人の委員で合議体を組む。
・この3人が案件の審理・判断を行う。
<会議の公開>
・原則として非公開(審査会の合議は公開しない)。
<役割>
・健康保険、厚生年金保険などの社会保険に関する不服申立て(再審査請求)を審理。
・一審的な「社会保険審査官」の決定に不服がある場合の二審的機関。
【公示送達|概要と流れ】
<定義>
・送達すべき相手の住所・居所・所在地が不明で、通常の送達ができない場合に行う送達方法
・官報や掲示板などで公告し、一定期間経過後に送達したものとみなす
<典型的なケース>
・引っ越し後に住所変更届をしていない
・郵便物が「宛所不明」で返送される
・長期海外渡航や留学で連絡が取れない
・災害や失踪で所在不明
・意図的に連絡を絶っている(夜逃げなど)
<実務での頻度>
・非常に少数(大半は普通送達で対応可能)
・裁判や審査会でごく一部のケースで使用
<流れ>
① 送達すべき人の所在地が不明と確認
② 公示送達の決定
③ 官報や掲示板などに公告
④ 一定期間経過後(公告日から2週間など)、送達したものとみなす
<試験の要注意点>
・公告送達は、相手が実際に見なくても効力が発生する
・効力発生日=公告から一定期間経過後(制度ごとの期間を暗記)
・「住所が不明な場合でも送達できる制度」があることを押さえる
【審査請求への参加制度】
<概要>
・「審査請求への参加」とは、自分で新たに審査請求を起こすのではなく、他人が既に行っている審査請求の手続に、利害関係のある第三者として加わることを指す。
<参加の条件>
・審査会が「必要がある」と認めた場合に限る。
・申立てによって、または審査会の職権により、参加を認めることができる。
・参加できるのは、その審査請求に利害関係を持つ第三者。
<代理人の可否>
・審査請求・再審査請求・審査請求への参加のいずれも代理人によって行うことができる。
・ただし、取り下げには特別委任状が必要。
<情報入手の現実>
・全ての審査請求案件が公開されているわけではない。
・通常は、利害関係がある場合に通知や告知を受けて知ることが多い。
・関係がない案件については、調べても分からないことがほとんど。
<ポイント>
・「審査請求をする」=新たに不服申立てを開始する行為。
・「審査請求に参加する」=他人の審査請求に第三者として加わる行為(別制度)。
この記事では社会保険労務士法人についてご紹介しました。
次回に続きます!


