top of page

老齢厚生年金

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 7月31日
  • 読了時間: 8分

更新日:8月16日

ここでは老齢厚生年金についてお伝えします。




●老齢厚生年金

65歳以上で、厚生年金保険料の納付と免除の期間が合計10年以上の場合支給される。

平均標準月額報酬×5.481/1000となる。


支給年齢を繰り上げた場合、0.4%減額

支給年齢を繰り下げた場合、0.7%増額される。


また厚生年金の被保険者期間が20年以上あり

配偶者や子供扶養している場合老齢厚生年金額に下記が加算される。

【加給年金】

また厚生年金の被保険者期間が20年以上あり(中高齢特例の場合15年以上)

65歳未満の配偶者や18歳未満の子供※20歳未満の障害者の子供を扶養している年金受給者に対する加算。

※配偶者が障害基礎年金・障害厚生年金を受給している場合は支給されない


配偶者・・・224,700円×改定率

1~2人目の子供・・・1人につき224,700円×改定率

3人目の子供・・・1人につき74,900円×改定率


(月額換算)

配偶者(65歳未満)

22,400円

第1・第2子(各)

11,200円

第3子以降(各)

7,400円(ちょっと少なめ)



【老齢厚生年金の300月(25年)保障】


<制度の目的>

・厚生年金の被保険者期間が25年(300月)に満たない人でも、年金額が極端に低くならないように最低保障を設ける制度

・報酬比例部分の計算だけは「300月あった」とみなして計算する


<対象者の要件>

・老齢厚生年金の受給権があること(受給資格期間10年以上)

・厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満であること


<支給額の計算>

・通常:平均標準報酬額 × 実際の加入月数 × 乗率

・この制度:実際の加入月数が300月未満なら、300月で計算する

 例)240月加入 → 通常は240月分で計算 → この制度なら300月分で計算


<注意ポイント>

・対象は報酬比例部分のみ(定額部分や加給年金には影響しない)

・離婚による年金分割で加算された期間は、この300月の「みなし対象」とならない

・60歳以降の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)にも適用される


<補足>

・中断期間があっても通算して計算

・300月以上ある人は通常計算のため、この制度は適用されない

・適用は自動(別途申請は不要)


項目

老齢厚生年金の300月みなし

障害厚生年金の300月みなし

制度の目的

加入期間が短い人の年金額を下支えするため

障害によって働けなくなった人への保障を手厚くするため

対象者

長期加入者(240月以上)で、年金額が一定以下の場合など

障害厚生年金の1級または2級に該当する被保険者など

加算の内容

標準報酬月額 × 300月として報酬比例部分を計算

実際の被保険者期間が300月未満でも、300月として障害厚生年金を計算

みなし適用のタイミング

老齢厚生年金の受給時(原則65歳以降)

障害認定日において300月に満たない場合に自動的に適用

重複適用の可否

障害厚生年金と併せて適用することはできない

老齢厚生年金の300月みなしとは併用不可

根拠条文など(参考)

厚年則第88条の3など

厚年則第38条の2第1項(障害時300月みなし)

注意点

あくまで“老齢年金用”の制度、障害とは目的が異なる

障害等級が変わった場合や老齢年金との切替時に再計算が入ることがある場合あり



【老齢厚生年金の長期加入者特例(44年以上の加算)】

<制度の概要>

・厚生年金の被保険者期間が「44年以上」ある人に対して、

 老齢厚生年金(報酬比例部分)に「特別加算」が上乗せされる制度


<対象者>

・厚生年金保険の被保険者期間が528月(=44年)以上ある人

・老齢厚生年金の受給権を有している人


<加算額>

・528月(44年)を超える1月ごとに、定額が加算される

・1月あたり:老齢厚生年金の報酬比例部分 × 0.005481

 ※つまり、1月ごとに「約0.55%相当」が上乗せされるイメージ


<例>

・加入期間が540月(=45年)の人なら、

 → 528月を超えた「12月分」に対して加算される


<注意ポイント>

・対象は報酬比例部分のみ(定額部分・加給年金には加算なし)

・加算の計算式が細かいため、試験では「44年以上で年金が増える」という感覚を押さえることが大切!



【老齢厚生年金|2種以上の老齢厚生年金は合算しないルール】


<① 基本ルール>

・同一人物が2つ以上の厚生年金制度に加入していた場合でも

 → 支給される「老齢厚生年金」はそれぞれ別個に計算される(合算しない)


<② なぜ合算しないの?>

・制度の趣旨や財政の独立性が異なるから

・たとえば「船員保険」「国家公務員共済」「私立学校共済」などは

 独自の運営基盤があり、報酬や給付ルールも一部異なる

 → それぞれの制度で「別々に年金を計算」する必要がある


<③ 対象になりやすい制度例>

・厚生年金保険(一般被用者保険)

・船員保険

・各種共済組合(国家公務員・地方公務員・私立学校教職員など)


<④ 計算の流れ>

・各制度ごとに報酬比例部分を個別に計算

・そのうえで、それぞれの年金を併給できる場合は併給

 (※年金によっては一部支給停止調整がある場合も)


<⑤ 注意点>

・「年金記録の統合」は行われるが、「年金額の合算」はされない

・一方で「老齢基礎年金」は各制度に共通するため、1つにまとめて支給される



60~64歳まで、厚生年金保険料の納付と免除の期間が合計10年以上の場合支給されたが

平成12年の法改正により廃止された。

1,628円×改定率×被保険者期間の月数となる。


支給年齢を繰り上げた場合、0.4%減額

支給年齢を繰り下げた場合、0.7%増額される。


種類

支給年齢

対象となる加入条件

計算式

備考

老齢厚生年金

65歳〜

原則10年以上

通常の報酬比例

一般的な年金

特例老齢年金

60歳〜

厚生年金1年以上+通算20年以上(保険料納付10年未満)

特別支給の式

レアなケース

特別支給の老齢厚生年金

60歳〜64歳

保険料納付10年以上

特別支給の式

段階的に終了予定



【特例老齢年金】


<制度の目的>

国民年金の納付期間が足りず、本来は年金をもらえない人でも、

厚生年金や共済の加入歴が長ければ、厚生年金部分だけを特例で受給できる救済制度。


<対象者>

以下すべてを満たす人:

・60歳以上

・国民年金の保険料納付期間が10年未満(=本来の受給資格なし)

・厚生年金保険や共済組合の被保険者期間が通算20年以上ある


<支給内容>

・「特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)」の計算式で算出した額を支給

・加給年金など一部の加算はつかない場合がある


<注意点>

・名前は似ているが「特別支給の老齢厚生年金」とは別制度

・新規該当者は非常に少ない(制度移行により今後さらに減少)



【健康保険・厚生年金】70歳以上でも被保険者になれる場合(例外)


<基本ルール>

・厚生年金保険は、原則70歳の誕生日の前日で資格喪失する(70歳以上は通常は被保険者になれない)


<例外:70歳以上でも厚生年金の被保険者になれる人>

老齢厚生年金・老齢基礎年金など、

  老齢や退職を理由とする「年金の受給権をまだ持っていない人」は、

  70歳を過ぎても被保険者になれる(=厚生年金に加入できる)


※「受給権を要しない」とは、「もらえる年金がまだない・請求していない」状態を意味する


<イメージ>

・70歳だけど老齢年金をもらっていない → OK(被保険者になれる)

・70歳で老齢厚生年金をすでにもらっている → NG(被保険者にはなれない)



【老齢厚生年金|みなし特例(法附則47条)】


<目的>

・昔の制度で加入月数が少なくなってしまった人を救済

・年金額の計算だけ、実際より多い月数として扱う


<みなしの倍率>

・〜昭和61年3月31日まで → 1.333倍(4/3)

・昭和61年4月〜平成3年3月 → 1.2倍(6/5)

・平成3年4月以降 → 補正なし(実期間そのまま)


<例>

30か月の加入 → 昭和61年以前なら 40か月として計算


<ポイント>

・あくまで計算上の月数を増やすだけ(実際の加入期間は延びない)

・特例老齢年金とは別制度



【経過的加算が同じになる条件まとめ】


<基本>

・経過的加算は「定額部分の代替措置」であり、昭和21年4月2日以降生まれの人には原則なし

・ただし、特定の条件を満たす場合は「経過的加算」が支給される


<加算額が同じになる条件>

・生年月日が同じ(=同じ乗率で計算される)

・報酬比例部分の年金額が同じ

 → 経過的加算は「旧定額部分に相当する額」−「報酬比例部分の一部」で算定されるため

・被保険者期間が同じ

 → 特例的な加算や読み替えの影響が一致するため


<具体例で見る条件の一致>

・昭和28年4月2日生まれのAさんとBさん

・いずれも40年加入で、年収も同じ

→ この場合、報酬比例部分も同じ → 経過的加算も同額になる


<注意点>

・「経過的加算額が同じ」=「総年金額が同じ」ではない

 → 報酬比例部分以外(加給年金など)の影響で違いが出ることも



【加給年金|配偶者が65歳に到達した場合の取扱い】


<基本ルール>

・加給年金は、老齢厚生年金の受給権者に生計維持されている配偶者(65歳未満)や子がいるときに加算される


<配偶者が65歳になったとき>

・原則:配偶者が65歳に到達すると、その人自身が老齢基礎年金(+老齢厚生年金)を受給できるため、加給年金は終了する


<例外>

・ただし、配偶者が65歳になっても自分自身の老齢基礎年金や老齢厚生年金の受給権をまだ有していない場合は、加給年金は引き続き支給される


<ポイント>

・「65歳になったら自動で終了」ではない

・正しくは「65歳に達し、かつ本人が自分の老齢年金の受給権を得た時点で終了」




この記事では老齢厚生年金についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

関連記事

すべて表示
適用事業所の範囲と種類

ここでは適用事業所の範囲と種類についてお伝えします。 [目次] 【適用事業所の種類|健康保険・厚生年金・雇用保険】 【適用事業所における業種区分(1号〜15号)】 【健康保険・厚生年金|適用事業所(共通版)】 【原則として適用事業所にならない職業(個人事業主の場合)】 【任意特定適用事業所(健康保険・厚生年金)】 【任意適用事業所(雇用保険)|労働者の希望による加入申請義務】 <定義> ・雇用保険

 
 
70歳以上被用者

ここでは70歳以上被用者についてお伝えします。 【70歳以上被用者と厚労大臣の本人確認情報チェック】 <基本ルール> ・厚生年金は70歳到達で被保険者資格を喪失する ・しかし、 適用事業所で働く70歳以上の者については「70歳以上被用者に係る標準報酬月額」が設定される ・これは老齢厚生年金の在職老齢年金の調整に用いられる <本人確認情報のチェック> ・厚生労働大臣(実務:日本年金機構)は

 
 
複数事業所勤務と加入の取扱い

ここでは複数事業所勤務と加入の取扱いについてお伝えします。 【厚生年金|複数事業所勤務と加入の取扱い】 <状況> ・本人が2つ以上の会社(適用事業所)で厚生年金加入要件を満たして働いている場合 ・すべての会社で週30時間以上勤務などの条件を満たしているケース <基本ルール> ・厚生年金保険は「1人1保険関係」が原則  → 複数の事業所で要件を満たしていても、加入できるのは1事業所のみ <取り扱い>

 
 

合同会社Bounce

 103-0027 東京都中央区日本橋2丁目2番3号 RISHEビル UCF402

info@bounce-service.com

営業時間:平日 10:00~17:00
2019年設立 法人番号5010003030195 

©2023 合同会社Bounce。Wix.com で作成されました。

bottom of page