船員保険と厚生年金保険の関係
- 筒井

- 8月1日
- 読了時間: 4分
更新日:8月17日
ここでは船員保険についてお伝えします。
【船員保険と厚生年金保険の関係|まとめ】
<① 船員保険とは?>
・船舶に乗り組む船員等を対象とする特別な社会保険制度
・労災・健康・年金の3つの保険機能をもつ総合制度
<② 船員保険の年金部門と厚生年金保険の関係>
・かつては独自の年金制度(船員年金保険)を有していたが、
平成22年1月1日に厚生年金保険に統合
・現在は、船員も厚生年金保険の被保険者
<③ 現在の船員保険制度の構成>
・医療保険(健康保険)部分と
労災保険に相当する部分(災害補償給付)は継続
・年金部分は厚生年金保険に一本化
<④ 船員における年金の特徴(現在)>
・原則として他の厚生年金被保険者と同じ制度を適用
・ただし、旧制度による経過的な措置(特例)がある場合あり
<⑤ 制度統合の背景>
・制度の一元化と運営の効率化
・被保険者数の減少により、単独制度維持が困難となったため
【船舶所有者の住所変更届出義務|まとめ】
<対象者>
・船舶の所有者
<届出が必要な場合>
・住所に変更があったとき
<届出内容>
・新しい住所
・対象となる船舶(登録番号など)
<届出先>
・国土交通大臣(実務的には所管の運輸支局など)
<提出期限>
・遅滞なく(=すみやかに)提出すること
<根拠法令>
・船舶法 第13条
<目的>
・所有者情報の正確な把握
・行政手続や通知の円滑な実施のため
📝【雇用保険|70歳以上の日雇い労働者の取扱い】
<基本原則>
・70歳以上の者は、雇用保険の適用除外
→ 一般被保険者・高年齢被保険者・日雇労働被保険者のいずれにも該当しない
<日雇い労働者について>
・70歳以上の者は、日雇労働被保険者にはなれない
→ 例外は「船員」だけ
<例外:船員の取扱い>
・70歳以上の者でも、船員であり日雇いとして雇用される場合は、
→ 日雇労働被保険者となることができる
(雇用保険法施行規則 第6条)
<ポイント>
・「日々雇用」であっても、70歳以上というだけで原則は適用除外
・唯一の例外が「日雇船員」
<参考>
・雇用保険法施行規則 第6条、第8条
・厚生労働省「雇用保険被保険者の範囲に関するQ&A」
【船員保険協議会】
<設置目的>
・船員保険事業の円滑かつ適正な運営を図るため、船舶所有者や被保険者等の意見を反映させる。
<設置場所>
・全国健康保険協会(協会けんぽ)内に設置。
<委員>
・人数:12人以内(※誤りやすい:10人ではない)
・構成:船舶所有者、被保険者、船員保険事業運営に必要な学識経験者
・任命権者:厚生労働大臣
<根拠法令>
・船員保険法 第4条、第6条
【船員と厚生年金保険料負担の特例】
<基本ルール>
・厚生年金の被保険者は、原則として使用者(事業主)が保険料を労使折半で負担する
<船員に関する特例>
・船舶に使用されている者(船員)が、同時に陸上の事業所でも使用される場合がある
・この場合、保険料を負担するのは船舶所有者のみとされる
・つまり、船舶所有者以外の事業主(陸上の事業所)は厚生年金保険料を負担しない
<趣旨>
・船員は「船員保険」や「厚生年金の特例的取扱い」があるため、二重の使用関係があっても、保険料の負担を一本化するための仕組み
【雇用保険|船員と漁船の取扱い】
<基本ルール>
・漁船に乗り組む船員は、原則として雇用保険の被保険者とならない。
・これは「船員保険」の適用があるため、雇用保険とは区別されている。
<例外規定>
・ただし、1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合には、雇用保険の被保険者となる。
<試験対策ポイント>
・「漁船の船員=雇用保険の被保険者とならない」と単純に覚えると×。
・「1年を通じて雇用される場合は、雇用保険の被保険者になる」という例外を必ず押さえる。
<今回の問題文の誤り>
・問題文では「1年を通じて雇用されても被保険者とならない」としていた。
→ 実際は「1年を通じて雇用されるなら被保険者になる」ため、誤り。
この記事では船員保険についてご紹介しました。
次回に続きます!


