変形時間労働制
- 筒井

- 5月17日
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更新日:3 日前
ここでは変形時間労働制についてお伝えします。
【変形労働時間制まとめ】
<概要>
法定労働時間(週40時間)を弾力化し、業務の繁閑に応じて労働時間を柔軟に配分できる制度。
①<1ヶ月単位の変形労働時間制>
・対象期間:1か月以内
・労働時間:週40時間(特例事業44時間)・上限の定めなし
・手続き:労使協定または就業規則に定め、労基署へ届出
・有効期限:定めあり
②<週44時間特例(労基法第40条・則25条の2)>
・常時10人未満の事業で、次の業種に限り週44時間まで延長可:
小売業
理美容業
保健衛生業(クリーニング・浴場など)
映画・演劇業
・1日8時間までの範囲で労働させることができる。
・この特例事業であっても、1年単位の変形労働時間制を採用した場合は適用されない。
(法32条の4、40条1項、則25条の2、H11.3.31基発170号)
③<1年単位の変形労働時間制>
・対象期間:1か月超~1年以内
・労働時間の上限:
- 1日10時間/1週52時間
- 週48時間を超える週が連続するのは3週以下
- 週48時間を超える週の初日が属する期間は3日以下
- 労働日数:年間280日以内
・手続き:労働者代表または労働組合の同意を得て労使協定を締結し、労基署へ届出
・有効期限:定めあり
・特定期間:対象期間中のうち、特に業務が繁忙な期間をいう(法32条の4第1項②)
④<特例:対象期間を1か月以上の期間ごとに区分する場合>
・1年単位変形の中で、繁忙・閑散に合わせて「1か月以上の区分」を設けることが可能
・各区分ごとに労働日数・総労働時間を定める
・各区分の初日の少なくとも30日前までに、労働者代表の同意を得て書面で定める
⑤<フレックスタイム制>
・清算期間:1〜3か月以内(1か月以内は届出不要)
・労働時間:週40時間・上限→週50時間
・手続き:労使協定および就業規則の両方に定め、労基署へ届出
・有効期限:定めあり
・労使協定で定める事項(法32条の3第2項)
対象労働者の範囲
清算期間(1か月〜3か月以内)
清算期間における総労働時間
標準となる1日の労働時間
労働時間の管理方法
・コアタイム・フレキシブルタイム:設けることができるが、定めなければならないわけではない(任意)
・就業規則では、会社の営業時間・就業時間帯を定めておく必要がある
・フレックスタイム制の要件:
労働者が始業時刻と終業時刻の両方を自ら決定できることが必要。
どちらか一方のみを労働者に委ねる制度は、フレックスタイム制には該当しない。
(根拠:労基法第32条の3第1項、昭和63年1月1日基発1号)
⑥<非定型的変形労働時間制(1週間単位)>
・対象期間:1週間
・労働時間:週40時間・上限→1日10時間/週40時間
・手続き:労使協定に定めるのみ(届出・有効期限不要)
・採用できる業種:小売業(商業)、旅館業、飲食店・料理店、接客娯楽業(映画館・劇場・カラオケ・パチンコ等)
→ 語呂:「小・旅・飲・娯(しょう・りょ・いん・ご)」で覚える!
・人数要件:常時使用する労働者が30人未満の事業場であること(則12条の5)
・目的:繁閑の差が激しい短期サイクルの接客・販売系業務に対応するための特例制度
【1年単位の変形労働時間制|協定の途中変更はできない】
・1年単位変形を導入するための労使協定には、
対象期間、特定期間、労働日・労働時間などを定める必要がある(法32条の4第1項)。
・この協定期間中に、「労使双方が合意すれば変更できる」と書いてあっても、
定めた特定期間などの一部を途中で変更することはできない。
・つまり、1年単位の変形労働時間制は「事前確定制」。
繁忙期や人員変更などを理由に、途中で労働時間を組み替えることは不可。
(昭63・基発1号、令和2年改訂通達も同旨)
・変更したい場合は、いったん協定を終了させ、新たに協定を締結し直す必要がある。
【労働時間の客観的把握と記録保存義務|労働安全衛生規則 第52条の7の3】
<内容>
・労働時間の把握は、以下のいずれかの「客観的な方法」またはその他適切な方法で行う
例:タイムカード、PC使用時間のログ記録 など
<記録の保存義務>
・把握した労働時間の記録は3年間保存しなければならない
<目的>
・過重労働の防止と、労働時間管理の適正化を図るため
・労働安全衛生法に基づく健康管理や労働基準法の遵守を担保する
<根拠条文>
・労働安全衛生規則 第52条の7の3
この記事では変形時間労働制についてご紹介しました。
次回に続きます!


