診療報酬支払基金
- 筒井

- 8月4日
- 読了時間: 4分
更新日:8月14日
ここでは診療報酬支払基金についてお伝えします。
●診療報酬支払基金(しんぽうききん)
<正式名称>
・社会保険診療報酬支払基金(略称:診療報酬支払基金)
<役割>
・健康保険(主に企業系)における、診療報酬の「審査」および「支払」を行う
・保険者(協会けんぽ・健保組合など)から委託を受けて事務を処理する
・後期高齢者医療制度における支援金や後期高齢者関係事務費拠出金も、年度ごとに保険者から徴収し管理する
<対象制度>
・健康保険(協会けんぽ・健保組合など)
・船員保険
・後期高齢者医療制度(支援金・事務費拠出金)
<設置根拠>
・健康保険法および社会保険診療報酬支払基金法に基づいて設置された法人
・全国に本部と地方支部あり
<主な業務>
・保険医療機関・薬局からのレセプト(診療報酬明細書)を審査
・審査結果に基づき、診療報酬を医療機関に支払う
・審査結果などを保険者に報告
・後期高齢者支援金・事務費拠出金を保険者から徴収
<よく出る比較>
・診療報酬支払基金 → 協会けんぽ・健保組合(企業系)の保険者が委託
・国保連合会 → 市町村国保や介護保険など、公的保険の保険者が委託
項目 | 国民健康保険団体連合会(国保連) | 診療報酬支払基金(しんぽうききん) |
対象となる保険制度 | 国民健康保険(市町村・組合)、介護保険、後期高齢者医療 | 健康保険(協会けんぽ・健保組合)、船員保険など |
委託する保険者 | 市町村、国保組合、広域連合(後期)、介護保険の市町村など | 協会けんぽ、健保組合、船員保険の保険者 |
主な役割 | 診療報酬の審査・支払、介護報酬の審査支払など | 診療報酬の審査・支払 |
設置主体 | 各都道府県に1つ(地方公共団体の連合体) | 全国に本部1か所+都道府県ごとに支部あり(法人格あり) |
根拠法令 | 健康保険法、地方自治法、介護保険法など | 健康保険法 |
その他 | 「公的保険(国保・介護・後期)」の審査支払が中心 | 「企業系保険(健保組合など)」の審査支払が中心 |
【前期高齢者交付金とは】
<制度の目的>
・65〜74歳の前期高齢者が多い保険者(市町村国保など)に対して、加入者の年齢構成による負担の不均衡を調整するために交付される。
<交付主体>
・社会保険診療報酬支払基金(=支払基金)
<交付対象>
・国民健康保険などの保険者(都道府県・市町村など)
・とくに、加入者に占める「前期高齢者」の割合が多い場合に重点的に交付される
<交付内容>
・都道府県が市町村とともに実施する国民健康保険において、加入者に占める前期高齢者の割合の違いによる財政的な不均衡を調整するため、
・政令に基づいて、支払基金が「前期高齢者交付金」を保険者に対して交付する。
<前期高齢者の定義(高医法32条)>
・65歳に達する日の属する月の翌月から
・75歳に達する日の属する月の前月まで
・(ただし、その日が月初の場合はその月から)
<関連法令>
・高齢者の医療の確保に関する法律 第32条
【前期高齢者交付金|金額の算定方法】
<基本の考え方>
・各保険者(都道府県など)における前期高齢者の割合が全国平均より多いと、
→ 医療費負担が重くなりやすい
→ その「超過分の負担」を国が調整
<金額の決まり方(要点)>
・全国平均の前期高齢者割合をベースにして、
→ 加入者の年齢構成が平均より高い保険者に対して、
→ その「差分に相当する医療費」を補填するように交付される
・金額は「政令」や「厚生労働省令」で細かく定められており、
→ 加入者数、年齢構成、医療費水準などを元に計算される
→ 実際の交付額は数千万円〜数十億円規模にもなる(都道府県ごと)
<実務上の処理>
・各都道府県が集計し、支払基金(社会保険診療報酬支払基金)に提出
・支払基金が金額を確定し、交付する
<注意点>
・個人単位ではなく「保険者単位(都道府県など)」で交付されるお金
・そのため、個人が直接もらえるお金ではない
<前期高齢者交付金って、ざっくりどういうお金?>
・65〜74歳の前期高齢者が「多すぎる」都道府県(保険者)は、
→ 高齢者の医療費が増えて、保険財政がピンチになりがち💸
・でも、これってその都道府県の「せい」じゃなくて、
→ 住民の年齢構成(=年をとっている人が多い)ってだけの問題
・そこで国が「公平にしてあげる」ために、
→ 全国で保険財政のバランスを見て、
→ 高齢者が多くて負担が大きいところに「前期高齢者交付金」を出す
・つまり、
→ 住民の高齢化で医療費の支払いが大変になっている都道府県に対して
→ 国(支払基金)が補助金を出して応援する制度
この記事では診療報酬支払基金についてご紹介しました。
次回に続きます!


