障害厚生年金の給付
- 筒井

- 7月20日
- 読了時間: 7分
更新日:8月16日
ここでは障害厚生年金の給付の給付についてお伝えします。
厚生年金保険に加入しており、けがや病気になった場合
被保険者とその被扶養者についても様々な障害厚生年金を受けることができます。
●障害厚生年金
障害等級1~3級の状態で
障害の原因となった傷病にかかる初診日に厚生年金保険の被保険者である場合で
初診日に属する月の前々月までの国民健康保険の納付と免除の期間が被保険者期間全体の2/3以上の場合か、直近1年間に滞納が無ければ支給される。(特例)
<支給額> ①(等級別の報酬比例部分計算表)
等級 | 計算式 | 補足 |
1級 | 平均標準報酬 × 5.481 / 1000 × 月数 × 1.25 | 加給年金あり・最低保障あり |
2級 | 平均標準報酬 × 5.481 / 1000 × 月数 | 加給年金あり・最低保障あり |
3級 | 平均標準報酬 × 5.481 / 1000 × 月数 × 0.75 | 加給年金なし・最低保障あり(※一律金額) |
【障害厚生年金3級の最低保障額まとめ】
・障害厚生年金(3級)の「報酬比例部分」の年金額が、
満額の老齢基礎年金額の4分の3(=3/4)に満たないときは、
その「3/4の額」が最低保障額として支給される
<令和6年度の金額例>
・老齢基礎年金の満額(令和6年度):約795,000円
・その3/4相当額:595,500円
・実際の最低保障額(3級):598,400円(年額)
※年によって金額は変動する(物価スライド)
<適用対象>
・障害厚生年金3級のみ
→ 1級・2級には最低保障制度は適用されない
制度 | 加給年金つく? | なぜ? |
障害厚生年金(1・2級) | ◯ つく | 長期的な定期給付だから |
障害厚生年金(3級) | ◯ つく | 一応年金なので条件満たせばつく |
障害手当金 | ❌ つかない | 一時金(1回限りの給付)だから、家族手当的な加算はつかない! |
【障害厚生年金の配偶者加算(加給年金額)まとめ】
<対象になる等級>
・障害等級が「1級または2級」の受給者
・かつ「65歳未満の配偶者」を扶養している場合
<支給額(令和6年度)>
・224,700円 × 改定率(物価スライド率)
→ 令和6年度も224,700円が基準額(年1回見直しあり)
<手続きに注意!>
・加給年金は自動的に支給されない!
・要件を満たしていても、本人からの届け出(裁定請求)が必要
・必要書類を年金事務所へ提出することで、加算分が支給される
<加算されないケース>
・障害等級が3級の場合
・配偶者が65歳以上の場合
・配偶者が老齢年金などを受け取り始めた場合(加給年金 → 振替加算へ移行の可能性あり)
<他の加算との違い>
・子の加算 → 障害基礎年金にのみある(1・2級)
・配偶者加算(加給年金) → 障害厚生年金にのみある(1・2級)
・障害手当金には加算なし!
<まとめポイント>
・配偶者加算は“加給年金”という名前で管理されている制度
・受給には届け出が必須!
※退職時改定はありません
給付の種類 | 退職改定の有無 | 補足 |
障害厚生年金 | なし | 退職しても金額は変わらない |
老齢厚生年金(在職中) | あり | 60代前半・65歳以降でも、在職中に支給停止や減額あり。退職後に改定(増額)される |
特別支給の老齢厚生年金 | あり | 同上。退職後に支給再開+改定される |
【300月保障(最低保障)】
障害等級が1級・2級の場合、被保険者期間が300月(25年)に満たない場合でも、300月とみなして計算
3級は報酬比例部分のみだけど、最低額598,400円が保障されている
※注意点
退職改定は対象外(=退職しても障害厚生年金の額が増えるような改定はなし)
事後重症でも請求可能(初診日時点で等級該当していなくても、後日該当すれば請求可)
【障害厚生年金の支給停止と受給権の消滅】
障害の状態が軽くなった場合には、障害等級に該当しなくなった月の翌月から支給停止となる。ただし、その後に再び状態が悪化する可能性もあるため、すぐに受給権がなくなるわけではない。
<支給停止からの流れ>
障害の程度が軽減 → 支給停止(該当しないと認定された月の翌月から)
支給停止の状態が継続して3年経過すると…
その時点で受給権が消滅(つまり、その後は復活できない)
<ポイント>
支給停止から3年以内であれば、状態が再悪化した場合に支給再開可能
3年経つと再悪化しても新たな請求(再裁定)が必要
【障害厚生年金の併合認定】
・複数の障害がある場合、それぞれが単独で3級に該当しない軽度の障害でも、
「併せて」一定以上の障害状態と認められれば、障害等級に該当することがある
→ これを「併合認定」という
<適用される場面>
・障害等級の判定において、以下のような場合に用いられる
例:両下肢に中等度の障害があるが、それぞれ単独では3級に満たない
→ 併せて判定し、3級に該当する可能性あり
<併合認定のポイント>
・あくまで「複数の障害が同一人物に同時に存在」している場合
・障害認定基準に基づいて、医学的・職業的影響を総合的に判断
・「一つの障害で基準に達していない=絶対に不支給」とは限らない!
→ 複数あればチャンスあり💡
・ただし、**2級と3級の障害を併合して1級にすることや、2級同士の併合は行わない**
→ 併合認定は基本的に「3級に該当するかどうか」の場面で使われる!
<併合認定の注意点>
・年金の種類(障害厚生年金・障害基礎年金)によって、判断の基準や対象が異なる
・障害基礎年金は「日常生活能力への影響」が重視されるため、
併合よりも生活面での支障の大きさが判断材料になることが多い
・障害手当金には併合認定の制度はない(単独での判断)
・複数の障害の場合、その事務処理をするのは「初診日時点の被保険者種別で決まる」
<まとめポイント>
・併合認定は「軽い障害が複数あっても救済される制度」✨
・実務でも「一見不該当に見えても、併合で3級該当」のケースあり
・「2級や1級の障害に併合して引き上げることはできない」という点も要チェック!
・過去問では「AとBがそれぞれ3級に満たないが、併合で3級該当」のパターンが出やすい
もともとの等級 | 新たな障害の等級 | 法48条(併合認定) | コメント |
3級 | 3級 | ❌ 適用されない | 2つ合わせても原則対象外 |
3級 | 1級 or 2級 | ◯ 場合により適用 | 等級が上がるかも |
2級 | 何らかの障害 | ◯ | 状況次第で併合し、等級変更あり |
【障害厚生年金:事後重症】
<事後重症(じごじゅうしょう)とは>
初診日に厚生年金に加入していたけど、そのときはまだ障害状態じゃなかった人が、
後から障害状態(1級〜3級)になった場合に、障害年金をもらえる制度のこと!
障害認定日以降に、請求をした時点で障害等級に該当していれば支給開始!
<要件>
・初診日:厚生年金の被保険者期間中であること
・障害の状態:障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過)以降に、障害等級1〜3級に該当
・請求:請求時に障害状態であれば支給される(=遡っては支給されない)
<注意点>
・「障害認定日請求(認定日請求)」と違って、認定日に障害状態じゃなかった場合は、
後からなってもそのときからしか支給されない。
<法的根拠:厚年法47条の2(65歳特例)>
この制度は、厚生年金保険法 第47条の2 に規定されており、次のような特例条件がある。
・初診日に厚生年金の被保険者であった
・障害認定日時点で障害等級に該当しなかった
・その後5年以内に障害状態が悪化し、障害等級に該当
・65歳に達する日の前日までに請求すれば、障害厚生年金の支給対象となる
→ この特例により、認定日後の悪化でも支給が可能になる
【障害厚生年金の支給停止と受給権の消滅】
<説明>障害の状態が軽くなった場合には、障害等級に該当しなくなった月の翌月から支給停止となる。ただし、その後に再び状態が悪化する可能性もあるため、すぐに受給権がなくなるわけではない。
<支給停止からの流れ>
障害の程度が軽減 → 支給停止(該当しないと認定された月の翌月から)
支給停止の状態が継続して3年経過すると…
その時点で受給権が消滅(つまり、その後は復活できない)
<ポイント>
支給停止から3年以内であれば、状態が再悪化した場合に支給再開可能
3年経つと再悪化しても新たな請求(再裁定)が必要
<障害厚生年金がもらえるとき>
死亡当時の状態 | 支給対象? | ポイント |
厚生年金の被保険者だった | ◯ | 保険料納付要件を満たすこと |
被保険者でなくても、受給資格期間(=原則10年)を満たしていた | ◯ | 老齢厚生年金の受給資格あり状態 |
障害厚生年金の受給権者だった | ◯ | =既に受給してた場合も対象 |
<障害厚生年金がもらえないとき>
状態 | 理由 |
初診日が厚生年金被保険者期間外 →障害厚生年金なし →死亡時も対象外 | 「厚生年金との関係がない」から |
老齢厚生年金の資格期間(原則10年)に達してない | 受給資格がない |
保険料未納が多すぎる | 納付要件NGでアウト |
この記事では障害厚生年金の給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


