国民年金基金
- 筒井

- 7月15日
- 読了時間: 8分
更新日:8月5日
ここでは国民年金基金についてお伝えします。
国民年金基金とは第一号被保険者が老齢基礎年金に上乗せして受給できる追加年金制度。
20歳以上60歳未満の方が加入できます。上限68,000円。
●地域型国民年金基金の基本
都道府県単位で設立される国民年金基金。
<設立要件>
都道府県の区域ごとに設立
その区域に住所を有する国民年金の第1号被保険者が対象
設立時に、300人以上の加入申出が必要
地域内の第1号被保険者1,000人以上の加入見込み
基金の設立についての調査・準備
設立委員会で規約(運営ルール)を作る
創立総会を開催し日時・場所を2週間前に広告
総会の承認
厚生労働大臣の認可を受けること
●職能型国民年金基金
特定の職業・業種に属する第1号被保険者が加入できる国民年金基金。
(例)
医師・弁護士・・商工会所属の自営業者・理容師組合 etc.
<設立要件>
特定の職業・業種ごとに設立
同じ職業に属する国民年金の第1号被保険者が対象
設立時に、15人以上の発起人が必要
全国で第1号被保険者3,000人以上の加入員
基金の設立についての調査・準備
設立委員会で規約(運営ルール)を作る
創立総会を開催し日時・場所を2週間前に広告
総会の承認
厚生労働大臣の認可を受けること
【小規模企業共済】
廃業時や退職時に退職金がわりにもらえる。
事業経費にならないが全額所得控除になる。
【iDeCo】
年金+投資。
自分で運用商品(投資信託や定期預金など)を選べる。
60歳まで引き出せないが、節税できる。
企業型DC(企業型確定拠出年金)と併せて選べる。
[国民年金法から抄出]
(基金の業務)
第百二十八条 基金は、加入員又は加入員であつた者に対し、年金の支給を行ない、あわせて加入員又は加入員であつた者の死亡に関し、一時金の支給を行なうものとする。
2 基金は、加入員及び加入員であつた者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる。
【国民年金基金の業務委託先まとめ】
国民年金基金は、法令に基づき、業務の一部を以下の法人等に委託することができる。
① 信託会社
② 信託業務を営む金融機関
③ 生命保険会社
④ 農業協同組合連合会
⑤ 共済水産業協同組合連合会
⑥ 国民年金基金連合会
⑦ その他の法人(厚生労働大臣が認めるもの)
<委託できる業務の例>
・資産の運用・管理
→ 信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社 等
・給付の支払事務
→ 生命保険会社 など
・その他の事務(事務処理・加入者管理 等)
→ 上記の各法人や、その他法人に委託可能
<ポイント>
・委託先の範囲は、政令や省令で定められており、限定されている
・「国民年金基金連合会」は、複数の基金の共同事務を扱う中心機関としても重要
・「その他の法人」については、厚生労働大臣の認可が必要
<ポイント>
・「委託できる先」に該当しない団体(例:個人、無関係な民間企業)は×
・特に「農協連合会」「共済水産業協同組合連合会」などが選択肢に出てくることがあるため注意
【国民年金基金|年金支給の基本原則まとめ】
<支給開始の条件に関する原則>
・国民年金基金が支給する年金(老齢給付等)は、
少なくとも「老齢基礎年金の受給権を取得したとき」には支給されるものでなければならない。
→ つまり、基金の給付開始時期は老齢基礎年金の支給開始に連動している。
<背景と意義>
・国民年金基金は、自営業者やフリーランスなどの「第1号被保険者」の老後所得を補完する目的で設立された制度。
・そのため、国民年金(老齢基礎年金)の上乗せ年金として設計されており、
老齢基礎年金の受給資格を得たタイミングに合わせて支給が開始されることが求められる。
<試験対策ポイント>
・支給開始の条件は、「基礎年金の受給権取得」を基準にしている
・基金独自のタイミングで支給することは不可(←✕)
・したがって、老齢基礎年金の繰上げや繰下げの影響も連動する可能性がある
<参考:法令の位置づけ>
・国民年金法施行令や基金の運営規約により、支給時期の要件として明記されている
<合併ルール表>
合併パターン | 合併可否 | 補足説明 |
地域型 × 地域型 | ✅ | 同種同士なのでOK |
職能型 × 職能型 | ✅ | 同種同士なのでOK |
地域型(全国) × 職能型 | ✅ | 地域型が全国であればOK。合併後は「地域型」として存続 |
地域型(都道府県など) × 職能型 | ❌ | 地区が全国でない場合は合併できない |
職能型 → 地域型以外の吸収 | ❌ | 地域型が吸収する形で、しかも「全国」でなければ不可 |
【国民年金基金の吸収合併】
<制度の概要>
国民年金基金は、事業の効率化や財政健全化のため、他の国民年金基金と吸収合併することができる。
ただし、合併には一定の制限と手続きがある。
<合併の原則>
通常、異なるタイプの基金(地域型と職能型)は合併できない。
<例外:全国地域型との合併>
ただし、存続する基金が「全国を区域とする地域型基金(=全国地域型)」である場合に限り、
職能型国民年金基金との合併が認められる。
→ 全国地域型が“器”になれば、異なるタイプ(職能型)との合併が可能。
<手続き:吸収合併契約の承認>
合併には、各基金における代議員会において、
「出席代議員の3分の2以上の多数による議決」が必要。
<ポイント>
・「地域型 × 職能型」は原則NGだが、「全国地域型 × 職能型」はOK
・“全国”という区域の広さが合併を可能にするカギ
・代議員会の3分の2議決という特別決議が必要
・合併後は被保険者や資産・負債の承継が行われる
<メモ>
・「全国地域型なら職能型と合併できる」
・合併契約の承認要件=代議員会で3分の2以上の議決
・通常の地域型と職能型の合併はNGであることを押さえる
【国民年金基金と国民年金未納の関係】
<原則>
国民年金基金からの給付(老齢年金など)を受けるには、
原則として「国民年金の保険料を納めていること」が前提となる。
<未納がある場合の取扱い>
国民年金に未納期間があると、
その未納に対応する期間については、国民年金基金からの給付を受けることができない。
→ 「国民年金が支給されない=国民年金基金も支給対象外」となる。
<掛金の取扱い>
未納期間に対応する国民年金基金の掛金については、給付が行われず、
その分の掛金は後日「掛金相当額」が返還される。
<例>
・5年間のうち、国民年金を2年間未納していた場合
→ 国民年金基金の給付も、その2年分は行われない
→ その2年分の掛金は返還される(=掛け損にはならない)
<理由・背景>
国民年金基金は「国民年金を土台とした上乗せ年金制度」であるため、
基礎年金が未納だと、その土台が成立しない=基金からも給付できない仕組み。
<メモ>
・「国民年金の未納は基金にも影響する」がキーワード
・未納分=給付なし&掛金返還、という仕組みを押さえる
・“国民年金の上乗せ”という制度構造を意識すると理解しやすい
【国民年金基金|資格の取得日・喪失日(加入・脱退の申出)】
<根拠法令>
国民年金法第14条の2 第1項、第2項
<資格取得日>
・国民年金基金の加入の申出をした者は、
原則として「申出をした日(申出日)」に資格を取得する
<資格喪失日>
・国民年金基金の加入者が脱退の申出をした場合、
原則として「申出をした日(申出日)」に資格を喪失する
<注意点>
・加入も脱退も、「申し出を行った日」が基準
・受理された日ではなく、自ら意思表示した日=申出日が資格の発生・喪失の基準となる
・保険料の支払は、取得・喪失の月を含めて日割りではなく月単位で計算される
・喪失後に再加入する場合は、新たに申出が必要
<関連する資格要件(加入できる人)>
・国民年金の第1号被保険者であること(60歳未満)
・農業者年金など他の年金制度に加入していないこと(重複不可)
<参考>
・会社員(第2号被保険者)や被扶養配偶者(第3号被保険者)は加入できない
分類 | 実際の制度名 | 誰が集めてる? | 運用するのは誰? |
働いてる会社で積み立て | 企業型確定拠出年金(企業型DC) | 企業(+信託銀行等) | 金融機関(運用指図:本人) |
個人で積み立て | iDeCo(個人型確定拠出年金) | 国民年金基金連合会【一部担当※】 | 金融機関(運用指図:本人) |
自力で会に入って積み立て | 国民年金基金 |
【国民年金基金|脱退時の掛金と還付の扱い】
<原則>
・脱退届を出した月の翌月1日付で脱退
→ 脱退月分の掛金は発生しない
<注意点>
・すでに掛金が引き落とされていた場合は、事後に還付されることがある(基金によって対応が異なる)
<重要ポイント>
・基金は月単位で管理されており、月初に脱退すればその月の掛金は不要
・ただし、脱退届の提出が遅れると翌々月の脱退になることもあるため、掛金が余計に発生するリスクあり
<具体例>
・8月に国民年金の第1号資格を喪失し、8月中に脱退届を出せば9月1日付で脱退 → 9月分の掛金なし
・脱退届が9月になると、10月1日付の脱退となり、9月分の掛金が発生してしまう
→ 国民年金から外れたら、すぐに脱退届を出すことが大切
この記事では国民年金基金についてご紹介しました。
次回に続きます!


