いろいろある!国民年金の給付
- 筒井

- 2024年8月23日
- 読了時間: 6分
更新日:8月18日
ここでは国民年金の給付についてお伝えします。
健康保険に加入しており、けがや病気になった場合
被保険者とその被扶養者についても様々な保険給付を受けることができます。
●老齢基礎年金
65歳以上で、納付と免除の期間が合計10年以上の場合支給される。
納付期間が満額の40年であれば780,900円×改定率となる。
支給年齢を繰り上げた場合、0.4%減額
支給年齢を繰り下げた場合、0.7%増額される。
合算対象期間・・・海外在住だった日本人など
やむおえず国民年金に加入できなかった期間は支給要件の期間に合算できる
※受給権者の世帯主が1月以上行方不明のときは速やかに届出をする
【付加年金と農業者年金の付加保険料まとめ】
<国民年金の付加年金>
・対象:第1号被保険者(自営業・フリーランスなど)
・保険料:月額400円を上乗せして納付
・年金額:200円 × 納付月数を老齢基礎年金に上乗せ
(例:120か月=10年で24,000円/年の上乗せ)
・加入条件:国民年金保険料を全額納付していること
(免除・猶予中は不可、国民年金基金との併用不可)
・支給開始:老齢基礎年金と同じく原則65歳から
・ポイント:コスパが良く、長生きするほど有利
<農業者年金の付加保険料>
・根拠:独立行政法人農業者年金基金法
・対象:農業者年金の被保険者のうち付加保険料を納付できる者
・取扱い:希望の有無にかかわらず、農業者年金の被保険者となった時に付加保険料も納付する者となる(=強制的に付随)
<比較ポイント>
・国民年金の付加年金 → 任意加入(400円/月)
・農業者年金の付加保険料 → 強制的に付随
【寡婦年金】
第1号被保険者として納付と免除の期間が合計10年以上の場合
婚姻関係が10年以上の65歳未満の扶養されていた妻に支給される。
※国庫負担割合1/4(国庫負担まとめ)
【老齢基礎年金|振替加算】
<ざっくり言うと>
・配偶者の年金(老齢基礎年金)にくっついて支給される“追加のお金”
・対象者本人には支給されず、配偶者の年金に上乗せされる
<対象者の条件>
・昭和41年4月1日以前生まれ
・20歳から60歳までの間に「国民年金に加入していなかった期間」がある人
(例:昔の専業主婦など)
<振替加算をもらえる配偶者の条件>
・上記の人の配偶者であること
・65歳以後に老齢基礎年金を受給していること
・かつ、その配偶者自身には加給年金がつかないこと
<金額>
・配偶者の生年月日に応じて決定(年額 約11万円〜38万円の幅)
・例:昭和9年4月2日生まれ → 年額 約385,600円(2024年度)
<繰上げ・繰下げとの関係>
・繰上げ受給 → 老齢基礎年金と一緒に減額される
・繰下げ受給 → 増額されない(65歳からの定額支給に固定)
<終了のタイミング>
・振替加算を受けている配偶者が死亡したとき → 終了
・加算の対象となっていた本人が死亡したとき → 終了
<ポイント>
・「加給年金」ではないので、厚生年金がなくても対象になる
・加算されるのは配偶者の老齢基礎年金であって、本人の年金には反映されない
・「繰下げで増額される」と書かれていたら誤り!
【保険料の延滞金|国民年金と労働保険の比較】
<国民年金保険料の延滞金>
・厚生労働大臣が督促した場合、納期限翌日から完納日または差押日前日までの期間に応じて徴収
・利率:
- 納期限翌日から3か月以内:年14.6%
- 3か月を経過した後:年7.3%
・延滞金が500円未満なら徴収しない
<労働保険料(労災保険・雇用保険)の延滞金>
・国税滞納処分の例による取扱い
・利率の仕組みは同様に二段階方式
- 納期限翌日から3か月以内:年14.6%
- 3か月経過後:年7.3%
・延滞金が1,000円未満なら徴収しない
<ポイント比較>
・両方とも「二段階の利率(14.6%/7.3%)」は共通
・違いは「少額不徴収の基準額」
- 国民年金:500円未満
- 労働保険:1,000円未満
●障害基礎年金
障害等級1~2級の状態で
障害の原因となった傷病にかかる初診日の
前々月までの納付と免除の期間が被保険者期間全体の2/3以上の場合支給される。
※20歳前傷病による国庫負担割合6/10(国庫負担まとめ)
障害者等級2級で納付期間が満額の40年であれば780,900円×改定率となる。
障害者等級1級であればその1.25倍になる。
子供が居る場合は下記が加算される。
1~2人目の子供・・・1人につき224,700円×改定率
3人目の子供・・・1人につき74,900円×改定率
※障害状態に該当しなくなったときは速やかに届出をする
●遺族基礎年金
<支給対象者>
・原則として「子のある配偶者」または「子」
・ここでの「子」は18歳到達年度末まで(障害児は20歳未満まで)
・生計を一にしていた母や子が対象になる
<支給要件(基本パターン)>
・死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、
納付済期間+免除期間が全体の3分の2以上あること
または
・死亡日の直前1年間に保険料の未納(滞納)がないこと
・死亡した者が老齢基礎年金の受給権者であった場合、
納付済期間・免除期間・合算対象期間の合計が25年以上であること
<年金額(2024年度基準)>
・基本額:780,900円 × 改定率(物価スライド)
<加算額(子の加算)>
・第1子・第2子:各224,700円 × 改定率
・第3子以降:各74,900円 × 改定率
※加算は18歳年度末まで(または20歳未満の障害状態)
<胎児がいた場合の取り扱い>
・死亡当時に胎児だった子は、「出生後14日以内」に届出をすれば対象に含まれる
<備考>
・子のない配偶者には支給されない(寡婦年金や死亡一時金の対象となる可能性あり)
・年金額は毎年度改定されるため、最新の改定率に注意
第1号被保険者として納付と免除の期間が合計3年以上の場合
12万円~32万円の範囲で一時金が支給される。
※国庫負担割合1/4
付加保険料も納付してた場合は、死亡一時金に8,500円納付してた月数に関係なく一律で加算される。
外国人が6ヶ月以上国民年金に加入し、老齢基礎年金をもらわずに帰国する場合
帰国して(被保険者でなくなって)2年以内であれば脱退一時金を請求できる。
<脱退一時金の支給額>
・支給額は、被保険者期間の保険料納付額に2分の1を乗じ、さらに支給係数を乗じた額。
・計算式:
支給額 = 保険料納付総額 × 1/2 × 支給係数
・保険料納付総額とは、実際に納めた保険料の合計額(基礎年金拠出金を除く)。
・支給係数は被保険者期間の月数に応じて法令で定められている(例:6か月なら0.5など)。
・100円未満の端数は切り捨てて支給される。
・脱退一時金は、一定の条件を満たす短期滞在の外国人などが対象。
(例:日本に住所を有しなくなった者、資格喪失後2年以内の請求など)
この記事では国民年金の給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


