採用内定と採用拒否
- 筒井

- 8月16日
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【採用内定と採用拒否|主要判例まとめ】
<大日本印刷事件(最判昭54.7.20)>
・大学卒業予定者が採用試験に合格し、採用内定通知を受け、さらに誓約書を提出
・採用内定通知のほかに、労働契約締結のための特段の意思表示をすることが予定されていなかった → 内定通知=承諾とされ労働契約成立
・よって「解約権留保付き労働契約」と解される
<内定取消の条件>
・採用内定の取消は、解雇権留保の趣旨に基づき次の場合に限って有効
→ 客観的に合理的理由があること
→ 社会通念上相当と認められること
<取消が有効とされやすい例>
・卒業できなかった
・重大な経歴詐称(ただし企業が知ることができず、また知ることが期待できないような事実に限る)
・健康上の理由で就労が客観的に不可能
・経営の急激な悪化によるやむを得ない採用取消
<取消が無効とされやすい例>
・企業の一方的都合(「やっぱり採らない」など)
・業績が軽度に悪化した程度
・性格や雰囲気が合わないといった主観的理由
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<三菱樹脂事件(最判昭48.12.12)>
・大学生が採用内定後の試用期間に、学生運動歴を理由として本採用を拒否された事件
・判旨:思想・信条の自由は保障されるが、採用自由の原則も認められる
→ ただし、差別的・不合理な理由による採用拒否は違法となり得る
・この事件では、学生運動歴を理由にした本採用拒否は違法とはされなかった
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<根拠条文>
・労働契約法16条(解雇権濫用法理の類推適用)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。」
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<キーワード>
・内定=労働契約成立(大日本印刷事件)
・特段の意思表示なし
・解約権留保
・合理的理由・社会通念上相当
・知ることができず、また知ることが期待できない事実(経歴詐称など)
・採用自由の原則(三菱樹脂事件)
・思想信条の自由との関係
・労働契約法16条


