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■就業規則の作成義務

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2024年8月21日
  • 読了時間: 7分

更新日:7月18日

ここでは就業規則の作成義務についてお伝えします。



【就業規則の作成義務(労基法89条・90条・106条)】


<作成・届出義務(労基法89条)>

・常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を作成し、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。

・「常時10人以上」は企業全体ではなく、事業場ごとに判断する。

・同一企業に複数の工場、支店、店舗等がある場合でも、それぞれが独立した事業場と認められるときは、各事業場の労働者数を合算しない。

・各事業場がいずれも常時10人未満であれば、企業全体では10人以上であっても、原則として就業規則の作成・届出義務は生じない。

・労働者数には、正社員だけでなく、常時使用されるパート・アルバイト等も含まれる。

・就業規則を変更した場合も、所轄労働基準監督署長への届出が必要。


<絶対的必要記載事項(労基法89条1号~3号)>

次の事項は、必ず就業規則に記載しなければならない。

①始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制勤務の場合の就業時転換に関する事項

②賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払時期及び昇給に関する事項

③退職に関する事項(解雇の事由を含む)


<労働時間等の適用除外者と就業規則(労基法41条3号・89条1号)>

・監視又は断続的労働に従事し、所轄労働基準監督署長の許可を受けた者には、労働時間・休憩・休日の規定は適用されない。

・ただし、就業規則に関する労基法89条は適用されるため、就業規則に始業及び終業の時刻等を記載しなければならない。


<相対的必要記載事項(労基法89条3号の2~10号)>

次の事項について制度や定めを設ける場合は、その内容を就業規則に記載しなければならない。

・退職手当

・臨時の賃金、賞与、最低賃金額

・労働者に負担させる食費、作業用品その他の費用

・安全及び衛生

・職業訓練

・災害補償及び業務外の傷病扶助

・表彰及び制裁

・その他、その事業場のすべての労働者に適用される事項


<労働者側の意見聴取(労基法90条)>

・就業規則を作成又は変更するときは、事業場の過半数労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数代表者の意見を聴かなければならない。

・必要なのは意見を聴くことであり、同意を得ることまでは要求されていない。

・労働者側が反対意見を述べた場合でも、意見を聴く手続を行えば、就業規則を作成又は変更することができる。

・派遣元の使用者が就業規則を作成又は変更する場合は、派遣中の労働者と派遣元で勤務する労働者の両方を含む、派遣元事業場の全労働者を基準として意見を聴く。

・所轄労働基準監督署長への届出には、労働者側の意見書を添付する。


<法令・労働協約・労働契約との関係(労基法92条、労契法12条)>

・就業規則は、法令又はその事業場に適用される労働協約に反してはならない。

・就業規則が個別の労働契約に反してはならないという規定ではない。

・個別の労働契約で、就業規則の基準を下回る労働条件を定めた部分は無効となり、その部分には就業規則の基準が適用される。


<制裁規定>

・懲戒、減給、出勤停止、懲戒解雇等の制裁を行う場合は、その種類及び程度を就業規則に定めなければならない。

・就業規則に根拠のない懲戒処分は、原則として行うことができない。

・就業規則に記載されていても、労働者に周知されていなければ、懲戒処分の根拠として認められないことがある。


<補足>

・労働条件通知書や雇用契約書と内容が重複しても問題はない。

・就業規則は事業場の労働者に共通するルールを定め、労働条件通知書等は個々の労働者の具体的な労働条件を定める。

・常時10人未満の事業場には作成・届出義務はないが、任意に作成することはできる。



絶対的必要記載事項一覧表

区分

内容

ポイント補足

① 労働時間等

始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、交替勤務の就業時転換

※使用者の指揮命令下=労働時間に含まれる

② 賃金

賃金の決定・計算・支払方法、締切・支払時期、昇給

※「臨時の賃金等」は含まれない

③ 退職

退職に関する事項(解雇理由を含む)

解雇の理由を記載しないと「無効」になることも

③の2 退職手当

定めがある場合:適用範囲、決定・計算・支払方法、支払時期

任意記載ではなく「定めるなら絶対必要」扱い

④ 臨時の賃金・最低賃金

定めがある場合:内容を記載

賞与・残業代など含む

⑤ 負担物

労働者に食費・作業用品等を負担させる場合

会社が勝手に天引きする場合も要記載

⑥ 安全衛生

定めがある場合:内容を記載

安全衛生法に関わる内容

⑦ 職業訓練

定めがある場合:内容を記載

新人研修、OJT、資格取得支援なども対象

⑧ 災害補償・業務外傷病扶助

定めがある場合:内容を記載

労災以外にも独自補償制度がある場合は要記載

⑨ 表彰・制裁

種類と程度を記載

減給・懲戒解雇などの制裁は明示必須!

⑩ その他全適用事項

全労働者に共通する規定があれば記載

例えば、服装・施設利用・福利厚生など

※雇用契約書と重なる項目がありますが、より詳しく書いてもよいです。

また、問題のある労働者に対する制裁(減給・懲戒解雇など)がある場合は記載しておかなければなりません。

(例:懲戒解雇とする行為の例)

・会社の機密情報を故意に漏洩したとき

・会社の金品を横領したとき

・正当な理由なく長期間無断欠勤したとき

・職場内での暴力、重大なハラスメント行為があったとき

・重大な業務上の背任行為を行ったとき

・採用時に重大な経歴詐称があったとき



【減給の制裁(労基法91条)】


<減給の制裁の概要(労基法91条)>

・労働者に対する懲戒処分として賃金を減額する場合には、労働者の生活を保護するため、減給額に上限が設けられている。

・減給の制裁を行うには、あらかじめ就業規則に制裁の種類及び程度を定めておかなければならない。


<1回の事案に対する減給限度(労基法91条)>

・1回の制裁事由について減給できる額は、平均賃金の1日分の半額以下でなければならない。

・「1回」とは、減給処分を行う回数ではなく、1つの制裁事由を意味する。

・1つの制裁事由について、平均賃金の1日分の半額を超える減給をすることはできない。


<1賃金支払期における減給限度(労基法91条)>

・複数の制裁事由がある場合でも、1賃金支払期における減給総額は、その賃金支払期に支払われる賃金総額の10分の1以下でなければならない。

・複数の制裁事由による減給額の合計が賃金総額の10分の1を超える場合、その賃金支払期には10分の1までしか減給できない。


<平均賃金の算定事由発生日(労基法12条・91条)>

・減給の制裁に用いる平均賃金は、使用者による制裁の意思表示が労働者に到達した日を算定事由発生日として計算する。

・原則として、その日の前日から遡った3か月間の賃金総額を、その期間の総日数で除して算定する。


<減給の制裁と賃金の減額との違い>

・遅刻、早退、欠勤等により労働しなかった時間に対応する賃金を支払わないことは、ノーワーク・ノーペイによる賃金控除であり、原則として減給の制裁には当たらない。

・職務内容や労働条件の変更に伴う賃金の引下げも、それが懲戒を目的とするものでなければ、直ちに減給の制裁に当たるとは限らない。

・労基法91条は、労働者の非違行為に対する懲戒として賃金を減額する場合に適用される。


<法定限度を超える減給>

・労基法91条の限度を超える減給を定めた就業規則は、その限度を超える部分が無効となる。

・所轄労働基準監督署長は、法令又は労働協約に抵触する就業規則の変更を命ずることができる。

・実際に法定限度を超えて賃金を減額した場合は、労基法違反となる。


<懲戒処分の有効性(労働契約法15条)>

・減給額が労基法91条の限度内であっても、当然に減給処分が有効となるわけではない。

・懲戒に客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、権利濫用として無効となる。

・減給の根拠となる行為、就業規則の定め、処分の重さ及び手続の相当性を個別に判断する。




この記事では就業規則の作成義務についてご紹介しました。

次回に続きます!











 


 
 

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