就業規則の作成義務
- 筒井

- 2024年8月21日
- 読了時間: 3分
更新日:10月20日
ここでは就業規則の作成義務についてお伝えします。
【就業規則の作成義務(労働基準法第89条)】
<作成義務>
・常時10人以上の労働者(パート・アルバイトを含む)を使用する事業場では、就業規則を作成し、
労働基準監督署へ届け出る義務がある。
・作成または変更の際には、労働組合(ない場合は労働者代表)の意見を聴くことが必要。
<絶対的必要記載事項>
必ず記載しなければならない基本ルール。
(記載がないとトラブルや無効のリスクがある)
・始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、交替制勤務
・賃金の決定・計算・支払方法、締切・支払時期、昇給
・退職(解雇を含む)
<補足ポイント>
・雇用契約書と内容が重複しても問題なし(むしろ就業規則には詳細に書く方が望ましい)
・制裁(減給・懲戒解雇など)は、記載がなければ原則「無効」
・退職手当・賞与などは「定めを置く場合のみ」記載が必要
<絶対的必要記載事項一覧表>
区分 | 内容 | ポイント補足 |
① 労働時間等 | 始業・終業の時刻、休憩、休日、休暇、交替勤務の就業時転換 | ※使用者の指揮命令下=労働時間に含まれる |
② 賃金 | 賃金の決定・計算・支払方法、締切・支払時期、昇給 | ※「臨時の賃金等」は含まれない |
③ 退職 | 退職に関する事項(解雇理由を含む) | 解雇の理由を記載しないと「無効」になることも |
③の2 退職手当 | 定めがある場合:適用範囲、決定・計算・支払方法、支払時期 | 任意記載ではなく「定めるなら絶対必要」扱い |
④ 臨時の賃金・最低賃金 | 定めがある場合:内容を記載 | 賞与・残業代など含む |
⑤ 負担物 | 労働者に食費・作業用品等を負担させる場合 | 会社が勝手に天引きする場合も要記載 |
⑥ 安全衛生 | 定めがある場合:内容を記載 | 安全衛生法に関わる内容 |
⑦ 職業訓練 | 定めがある場合:内容を記載 | 新人研修、OJT、資格取得支援なども対象 |
⑧ 災害補償・業務外傷病扶助 | 定めがある場合:内容を記載 | 労災以外にも独自補償制度がある場合は要記載 |
⑨ 表彰・制裁 | 種類と程度を記載 | 減給・懲戒解雇などの制裁は明示必須! |
⑩ その他全適用事項 | 全労働者に共通する規定があれば記載 | 例えば、服装・施設利用・福利厚生など |
※雇用契約書と重なる項目がありますが、より詳しく書いてもよいです。
また、問題のある労働者に対する制裁(減給・懲戒解雇など)がある場合は記載しておかなければなりません。
(例:懲戒解雇とする行為の例)
・会社の機密情報を故意に漏洩したとき
・会社の金品を横領したとき
・正当な理由なく長期間無断欠勤したとき
・職場内での暴力、重大なハラスメント行為があったとき
・重大な業務上の背任行為を行ったとき
・採用時に重大な経歴詐称があったとき
【減給の制裁(労働基準法第91条)】
<基本ルール>
・懲戒として減給を行う場合でも、労働者の生活を守るために金額に上限がある。
<制限の範囲>
(1)1回の減給につき、平均賃金の1日分の50%を超えてはならない
(2)複数回の減給があっても、1賃金支払期における減給総額は
その期間の賃金総額の10%以内でなければならない
<算定事由発生日>
減給の制裁を行う場合の「平均賃金」は、
その制裁の意思表示が労働者に到達した日を基準として算定する。
<注意ポイント>
・これを超える減給を定めた就業規則・労働契約・労働協約は「無効」
・違反している場合は、労働基準監督署に是正を求めることができる
・ただし、労基法に反しない範囲での懲戒内容の妥当性(重い・軽いなど)は、
原則として会社と労働者の「当事者間」で解決する
この記事では就業規則の作成義務についてご紹介しました。
次回に続きます!


