社会保険労務士の義務・資格管理・懲戒
- 筒井

- 8月13日
- 読了時間: 4分
更新日:8月14日
ここでは社会保険労務士法人についてお伝えします。
【社会保険労務士の義務・資格管理・懲戒】
・④【社会保険労務士|帳簿・関係書類の保存義務】
・⑤【社労士法|検査役の選任と不服申立て】
・⑦【懲戒処分に対する権利救済(社会保険労務士法)】
・⑧【社会保険労務士の戒告】
・⑨【社会保険労務士|失格処分後の資格復活】
・⑫【社会保険労務士会の権限と懲戒処分の関係】
④【社会保険労務士|帳簿・関係書類の保存義務】
<根拠条文>
・社労士法第19条、規則第15条
<保存義務の対象>
・設問(業務)に関する帳簿
・設問(業務)に関する関係書類
<保存期間>
・帳簿閉鎖の時から2年間
<ポイント>
・「帳簿閉鎖の時」=年度末等、帳簿を締めた時点
・保存期間は閉鎖時からカウント開始
・保存義務を怠ると罰則の対象となる可能性あり
⑤【社労士法|検査役の選任と不服申立て】
<概要>
・裁判所は、社会保険労務士法人の解散および清算の監督のために必要な調査を行わせるため、検査役を選任できる。
<不服申立ての可否>
・検査役の選任に関する裁判に対しては、不服を申し立てることはできない。
・不服申立て期間や控訴の制度は存在せず、選任は確定的に効力を持つ。
<根拠条文>
・社労士法 第25条の22の6 第1項・第2項
⑦【懲戒処分に対する権利救済(社会保険労務士法)】
<不服申立ての流れ>
・懲戒処分に不服がある場合は、行政不服審査法に基づき、厚生労働大臣に審査請求を行う。
・審査請求の結果にも不服がある場合は、行政事件訴訟(取消訴訟)を裁判所に提起できる。
<効力の原則>
・懲戒処分は、処分が行われた時点から効力が発生する。
・不服申立て(審査請求や訴訟)をしているだけでは、効力は止まらない。
<効力を止める例外(執行停止)>
・行政不服審査法または行政事件訴訟法に基づき、申立てにより「執行停止」が認められた場合のみ効力が止まる。
・執行停止が認められるには、回復困難な損害を避ける必要性など、法律上の要件を満たす必要がある。
⑧【社会保険労務士の戒告】
<概要>
・社会保険労務士に対する懲戒処分の一つで、最も軽微な処分
・平たくいうと「厳重注意」にあたる
<効果>
・戒告を受けても業務の実施や資格についての制約はない
・処分後も引き続き社会保険労務士としての業務が可能
<位置づけ>
・懲戒処分には以下の3種類があり、戒告は最も軽い
1. 戒告
2. 業務停止(最長1年)
3. 失格処分(資格喪失)
⑨【社会保険労務士|失格処分後の資格復活】
<根拠>
・社労士法第5条(欠格事由)において、「社会保険労務士の登録の取消し処分を受け、その日から3年を経過しない者」などは資格を有しないと規定されている。
・この登録取消し処分(失格処分)により資格を失う。
<資格の復活の流れ>
・処分を受けた時点で登録抹消 → 社労士資格を失う。
・欠格期間(3年間)は登録申請できない。
・3年経過後、他の欠格事由に該当しなければ、再登録申請が可能。
・再登録は「試験合格の効力」が残っていれば、試験を受け直す必要はない。
・登録が認められれば、資格が復活する。
<注意点>
・3年経過後も、別の欠格事由がある場合は登録不可。
・再登録時は、試験合格者であることや登録要件(事務所など)を満たす必要がある。。
⑫【社会保険労務士会の権限と懲戒処分の関係】
<社会保険労務士会ができること>
・所属の社労士または社労士法人が、社労士法や労働社会保険諸法令に違反するおそれがあると認めるときは、
→ 会則に基づき、懲戒処分をすることができる(社労士法25条)
※ただし、この「懲戒処分」は会内の規律に基づくもので、法的な登録取消や業務停止とは別のもの。
<社会保険労務士会が行えるその他の行為>
・注意を促すこと
・必要な措置を講ずべきことを勧告すること
・厚生労働大臣や都道府県知事に対し、懲戒を求めること(社労士法25条の33)
<正式な懲戒処分の権限者>
・厚生労働大臣または都道府県知事
→ 登録取消、業務停止などの法的処分を行う権限をもつ(社労士法24条)
<まとめ>
・社労士会は「内部的な処分」や「注意・勧告・懲戒請求」までしかできない
・強制力のある「懲戒処分(登録取消・業務停止)」は国(厚労大臣や知事)の権限
この記事では社会保険労務士法人についてご紹介しました。
次回に続きます!


