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[基礎・厚生]繰下げ申出ルール

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 7月28日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月29日

ここでは繰下げ申出ルールについてお伝えします。



【老齢年金|繰下げルールまとめ】


<老齢厚生年金>

・65歳から受給権

・繰下げは70歳まで(最長5年)

・増額率:0.7% × 最大60か月=42%


<老齢基礎年金>

・65歳から受給権

・繰下げは75歳まで(最長10年)

・増額率:0.7% × 最大120か月=84%


<違いのポイント>

・厚生年金:70歳まで

・基礎年金:75歳まで



【繰下げ時の取り扱いの違い|厚生年金と基礎年金】


<老齢厚生年金>

○ 繰下げ増額の対象

・報酬比例部分

・経過的加算額


× 繰下げ増額の対象外

・加給年金額

・振替加算

 → 対象外であるうえ、繰下げを選ぶと受給そのものができなくなる場合あり


<老齢基礎年金>

○ 繰下げ増額の対象

・老齢基礎年金本体


× 繰下げ増額の対象外

・加給年金(厚生に属する加算のため基礎に連動しない)

・振替加算(65歳から定額支給、繰下げに連動しない)


<まとめ>

・「本体部分+経過的加算」は繰下げで増額

・「加算」と名のつく部分(加給・振替)は繰下げの増額対象外

・厚生では繰下げ選択で加給や振替そのものが消えるケースあり



【繰下げと在職老齢年金の勘案ルール】


<基本>

・在職老齢で停止された分は繰下げ加算の基礎に勘案される

・ただし停止分そのものが返るわけではない


<計算>

・増額=本来の年金額 × 0.7% × 月数

・停止分を取り戻す仕組みではない


<例>

・本来20万円/月、半分10万円が24か月停止(計240万円)

・繰下げ24か月 → 増額=20万円 × 0.7% ×24=3.36万円/月

・支給額=20万円+3.36万円=23.36万円/月


<損益分岐点>

・停止された240万円 ÷ 年間増額40.32万円=約6年

→ 76歳以降は繰下げによる上乗せが「得」になる



【裁定請求と繰下げ加算|厚生年金と基礎年金の違い】


<老齢厚生年金>

・繰下げ加算=65歳以降、請求を遅らせた月数 ×0.7%(最大60か月=42%増)

・請求せず放置していた期間も「繰下げ起算月」を指定すれば繰下げ対象になる

・裁定請求時に必ず起算月を指定する必要あり

・指定しないと → 加算なし+過去5年分のみ一括支給(時効制限)


<老齢基礎年金>

・繰下げ加算=65歳以降、請求を遅らせた月数 ×0.7%(最大120か月=84%増)

・請求を遅らせれば自動的に繰下げ扱い(意思表示不要)

・ただし支給は「請求日から過去5年分」までに限られ、それ以前は時効で消滅


<具体例(厚生の場合)>

・65歳で受給権発生 → 70歳まで未請求 → 70歳で裁定請求

・「起算月=65歳」と指定すると…

 → 65歳〜70歳の60か月が繰下げ月数にカウント

 → 増額率=0.7%×60=42%

 → 最終支給額=本来の年金額 ×142%


<まとめ>

・厚生年金 → 意思表示が必要(起算月の指定)

・基礎年金 → 自動で繰下げ(意思表示不要)

・両者とも「過去5年分まで」という時効制限あり



【老齢基礎年金と老齢厚生年金|繰上げ・繰下げの違い】


<繰下げ>

・老齢基礎年金と老齢厚生年金は「別々に」繰下げ可能

・同時でなくてもよい


<繰上げ>

・老齢基礎年金のみ → 繰上げ可能

・老齢厚生年金のみ → 繰上げ不可

・両方一緒に → 繰上げ可能


<理由>

・繰下げ=「請求を遅らせた部分だけ増額」 → 独立扱い

・繰上げ=「65歳からの老齢年金を前倒し」 → 原則同時扱い

・ただし基礎のみは繰上げ可能、厚生だけは不可


<まとめ>

・繰下げ → 独立して別々にOK

・繰上げ → 基礎のみ or 基礎+厚生の同時ならOK(厚生だけはNG)




この記事では繰下げ申出ルールについてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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