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■労働基準法(賃金の基本・追加金)

2024年12月23日
読了時間: 7分

更新日:8月9日

ここでは賃金の基本についてお伝えします。



【賃金の範囲まとめ】

<賃金の定義(労基法11条)>

賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。


<賃金となるもの(労基法11条)>

・休業手当

・通勤手当

・スト妥結一時金

・労働者が法令上負担すべき社会保険料を使用者が労働者に代わって負担した部分


<賃金とならないもの(労基法11条)>

・休業補償

・出張旅費

・生命保険補助金

・財産形成貯蓄奨励金

・解雇予告手当

・税金や社会保険料等を使用者が一時的に立て替え、後に労働者から回収するもの



<社会保険料を使用者が負担した場合(労基法11条、昭和63年3月14日基発150号)>

労働者が法令上負担すべき社会保険料を使用者が労働者に代わって負担する場合、労働者が法律上の負担義務を免れるため、その使用者負担部分は賃金に該当する。


<福利厚生給付と賃金 法11条>

・福利厚生として支給されるものが、すべて賃金に該当しないわけではない。

・名称にかかわらず、労働の対償として使用者に支払義務があるものは賃金となる。

・労働者が自己を被保険者として任意に締結した生命保険契約について、使用者が福利厚生として支給する保険料補助金は、原則として賃金に該当しない。

・これに対し、労働者が負担すべき社会保険料等を使用者が負担した場合は、原則として賃金となる。


<ストック・オプションによる利益(労基法11条、平成9年6月1日基発412号)>

労働者がストック・オプションの権利を行使し、株式を売却して得た利益は、労働基準法上の賃金には該当しない。

ストック・オプションによる利益は、その発生時期及び額が、権利を行使するかどうか、いつ株式を売却するかなどの労働者の判断に委ねられており、使用者から労働の対償として支払われるものではない。



<休業手当と休業補償(労基法26条・76条)>

使用者の責めに帰すべき事由による休業について支払われる休業手当は賃金に該当する。業務上の負傷又は疾病による療養中に支払われる休業補償は、損失を補償するものであり、賃金には該当しない。


<退職金・祝金等(労基法11条)>

退職金、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等は、原則として任意的・恩恵的給付であり、賃金に該当しない。ただし、労働協約、就業規則、労働契約等により支給条件があらかじめ明確に定められ、使用者に支払義務がある場合は賃金に該当する。


<現物給付(労基法11条・24条)>

住宅の貸与、食事の供与、制服の支給等は、福利厚生又は企業設備として行われる場合には、原則として賃金に該当しない。ただし、労働の対償として支給され、支給条件が明確に定められている場合は賃金に該当する。また、住宅の貸与を受けない者に均衡手当を支給する場合、その均衡手当は賃金に該当する。


<通貨払いの原則(労基法24条1項)>

賃金は原則として通貨で支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める確実な支払方法による場合は、通貨以外の方法で支払うことができる。労働協約により現物で支払うことができるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。


<全額払いの原則(労基法24条1項ただし書)>

賃金は原則として全額を支払わなければならない。ただし、法令に別段の定めがある場合又は労使協定がある場合は、その一部を控除して支払うことができる。


<使用者の債権と賃金債権との相殺(労基法24条1項、日新製鋼事件)>

使用者が労働者に対して有する債権をもって、労働者の賃金債権と一方的に相殺することは、原則として全額払いの原則に違反する。ただし、労働者が自由な意思に基づいて相殺に同意し、その同意が自由な意思によるものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在する場合は、全額払いの原則に違反しない。


<賃金債権の譲渡(労基法24条1項、小倉電話局事件)>

労働者が賃金債権を第三者に譲渡した場合であっても、使用者は譲受人ではなく労働者本人に賃金を支払わなければならない。


<過払賃金との相殺(労基法24条1項、福島県教組事件)>

過払賃金を精算するための相殺は、労使協定がない場合であっても、相殺の時期、方法及び金額等からみて、労働者の経済生活の安定を害するおそれがなく、不当と認められない場合は、全額払いの原則に違反しない。


<非常時払(労基法25条)>

労働者が非常の場合の費用に充てるため請求したときは、使用者は支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。


<ノーワーク・ノーペイの原則(労基法11条)>

賃金は労働の対償であるため、労働者が労働を提供しなかった期間については、原則として賃金請求権は発生しない。したがって、ストライキ中の労働者については、その不就労時間に対応する賃金を控除することができる。


<ロックアウト>

ロックアウトとは、労働争議において使用者が労働者の労務の受領を集団的に拒否する争議行為をいう。



【賃金のデジタル払い】

<資金移動業者口座への賃金支払(労基則7条の2第1項3号)>

厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動による賃金の支払は、所定の事項を説明した上で労働者の同意を得た場合に認められる。


<指定資金移動業者の要件(労基則7条の2第1項3号)>

・破産手続開始の申立てその他の事情により、口座に係る債務の履行が困難となった場合に、労働者に対して当該債務の全額を速やかに弁済することを保証する仕組みを有すること。

・労働者の意思に反する不正な為替取引その他の事由により、口座に係る債務を履行できなくなったことによって労働者に損失が生じた場合に、その損失を補償する仕組みを有すること。

・口座について特段の事情がない限り、最後に資金移動があった日から少なくとも10年間は、労働者に対して当該口座に係る債務を履行することができるための措置を講じていること。

・口座に係る資金を1円単位で受け取ることができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料その他の費用を負担することなく受け取ることができるための措置を講じていること。



【労働基準法|付加金の支払(法114条)】

<付加金の支払>

・裁判所は、対象となる金銭を支払わなかった使用者に対し、労働者の請求により、未払金のほか、未払金と同一額の付加金の支払を命ずることができる。

・付加金の支払が命じられた場合、使用者は「未払金+付加金」の両方を支払う。

・付加金は未払金と同一額であるため、使用者が支払う金額は最大で未払金の2倍となる。

・例:未払金が10万円の場合、付加金は最大10万円となり、合計で最大20万円を支払う。


<対象となる未払金>

・解雇予告手当(法20条)

・休業手当(法26条)

・割増賃金(法37条)

・年次有給休暇の期間又は時間について支払われる賃金(法39条9項)

・通常の賃金について法24条の全額払の原則に違反しただけでは、付加金の対象とならない。


<付加金が命じられる要件>

・対象となる未払金があること。

・労働者が裁判上、付加金の支払を請求すること。

・裁判所が付加金の支払を命ずること。

・付加金は未払いによって当然に発生するものではなく、裁判所の命令によって支払義務が生じる。

・裁判所は付加金の支払を命ずることができるのであり、必ず命じなければならないわけではない。


<未払金が支払われた場合>

・使用者が事実審の口頭弁論終結時までに未払金を全額支払った場合、裁判所は付加金の支払を命ずることができない。


<請求期間>

・付加金の請求は、違反があった時から5年以内にしなければならない。

・ただし、当分の間は3年とされている。


<趣旨>

・付加金は、使用者による一定の金銭の不払いを抑止し、労働者の権利を保護するための制裁的性格を有する。




この記事では賃金の基本についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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