■老齢厚生年金(受給資格・年金額・マクロ経済スライド)
更新日:8月13日
ここでは受給資格・年金額・マクロ経済スライドについてお伝えします。
【老齢厚生年金まとめ】
<保険給付の種類>
・老齢・障害・遺族(+脱退一時金)
<支給期間等(法36条)>
・開始:支給事由が生じた月の翌月
・終了:受給権消滅月まで
・支給停止:事由発生の翌月~消滅月まで
・支払:偶数月(2・4・6・8・10・12月)に、それぞれの前月分までを支払う
<概要>
・原則65歳から支給
・2階建て(老齢基礎年金+老齢厚生年金)
<受給資格要件(法42条)>
次のすべての要件を満たしたときに、65歳から老齢厚生年金が支給される
・65歳以上
・厚生年金の被保険者期間が1か月以上
・保険料納付済期間、保険料免除期間及び合算対象期間を合算した期間が10年以上
<裁定請求(特別支給との関係)>
・特別支給の老齢厚生年金の受給権は、65歳に達したときに消滅する
・65歳から老齢基礎年金及び老齢厚生年金の支給を受けるためには、実施機関に裁定請求をしなければならない
【年金額】
<全体>
老齢厚生年金の額=報酬比例部分+経過的加算+加給年金額
<報酬比例部分(法43条)>
報酬比例部分=平均標準報酬額×乗率×被保険者期間
平均標準報酬額=(標準報酬月額+標準賞与額)×再評価率の総額÷被保険者期間の月数
<経過的加算(法附則59条2項)>
65歳になると、特別支給の老齢厚生年金の定額部分に代わって老齢基礎年金が支給されるが、定額部分相当額のほうが老齢基礎年金相当額より多い場合は、その差額が65歳以後の老齢厚生年金に加算される。
経過的加算=定額部分相当額-老齢基礎年金相当額
老齢基礎年金相当額の計算対象は、昭和36年4月1日以後の20歳以上60歳未満の厚生年金保険の被保険者期間。
定額部分相当額は厚生年金の被保険者期間を基礎に計算するが、原則480月が上限。そのため、20歳から60歳までの40年間で既に480月に達している場合は、60歳以後も厚生年金に加入しても定額部分相当額は増えず、経過的加算もその分は増えない。
一方、480月に満たない場合は、20歳前・60歳以後の厚生年金期間が定額部分相当額に反映され、老齢基礎年金相当額との差として経過的加算が生じることがある。
<加給年金額(法44条)>
加給年金額は、老齢厚生年金の受給権者が、その権利を取得した当時、被保険者期間が240月以上あり、その者によって生計を維持していた65歳未満の配偶者又は子があるときに加算される。
<被保険者期間の取扱い(年金額関係)>
・報酬比例部分:被保険者期間が300月未満の場合は300月として計算される(計算上の最低保障)※上限なし
・定額部分:被保険者期間の月数は原則480月を上限とする(生年月日により420~468月に読み替えあり)
【年金額の改定・マクロ経済スライド(法43条の2~5)】
<基本>
・年金額は、物価変動率と名目手取り賃金変動率を基準として毎年度改定される。
・67歳以下は原則として名目手取り賃金変動率、68歳以上は原則として物価変動率で改定する。
・ただし、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年齢にかかわらず名目手取り賃金変動率で改定する。
<物価・賃金がともにプラス>
・67歳以下は原則として名目手取り賃金変動率で改定する。
・68歳以上は原則として物価変動率で改定する。
・ただし、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年齢にかかわらず名目手取り賃金変動率で改定する。
・通常の改定率を決めた後、マクロ経済スライドによる調整を行う。
・マクロ経済スライド調整率及び前年度までの未調整分を通常の改定率から差し引く。
・例:通常の改定率+1.5%、マクロ経済スライド-0.3%、未調整分0%→+1.2%で改定する。
・マクロ経済スライドを全額適用すると改定率がマイナスになる場合は、0%を下限として据え置く。
・例:通常の改定率+0.2%、マクロ経済スライド-0.3%→0%で据え置き、調整できなかった0.1%は翌年度以後に繰り越す。
<物価がプラス・賃金がマイナス>
<物価がプラス・賃金がマイナス>
・年齢にかかわらず、名目手取り賃金変動率で改定する。
・マクロ経済スライドによる調整は行わない。
・例:物価+0.2%、賃金-0.2%→0.2%引下げ。
<物価がマイナス・賃金がプラス>
・67歳以下は名目手取り賃金変動率で改定する。
・68歳以上は物価変動率で改定する。
・マクロ経済スライドによる調整は行わない。
・例:物価-0.2%、賃金+0.3%→67歳以下は+0.3%、68歳以上は-0.2%。
<物価・賃金がともにマイナス>
・67歳以下は名目手取り賃金変動率で改定する。
・68歳以上は原則として物価変動率で改定する。
・ただし、名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回る場合は、年齢にかかわらず名目手取り賃金変動率で改定する。
・マクロ経済スライドによる調整は行わない。
・例:物価-0.2%、賃金-0.5%→全員-0.5%で改定する。
<マクロ経済スライド>
・賃金や物価による改定率がプラスの場合に、スライド調整率及び前年度までの未調整分を反映して年金額の伸びを抑える。
・調整を全額行うと改定率がマイナスになる場合は、改定率0%を下限として年金額を据え置く。
・調整しきれなかった分は翌年度以後に繰り越す(キャリーオーバー)。
【平均標準報酬と報酬比例部分(法43条)】
平均標準報酬額とは、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。
平成15年4月から総報酬制が導入され、賞与も年金額に反映されるようになった。
そのため、平成15年4月以後は賞与を含める一方、給付乗率は1000分の7.125から1000分の5.481に下げられている。
<平成15年4月以後の報酬比例部分(法43条)>
平均標準報酬額 × 1000分の5.481 × 平成15年4月以後の被保険者期間の月数
【平成15年3月以前の平均標準報酬と報酬比例部分】
平均標準報酬月額とは、被保険者期間の計算の基礎となる各月の標準報酬月額に再評価率を乗じて得た額の総額を、当該被保険者期間の月数で除して得た額をいう。
<平成15年3月以前の報酬比例部分>
平均標準報酬月額 × 1000分の7.125 × 平成15年3月以前の被保険者期間の月数
<支給開始年齢>
・原則65歳
・経過措置あり(特別支給の老齢厚生年金)
<失権>
・死亡などで受給権消滅
この記事では受給資格・年金額・マクロ経済スライドについてご紹介しました。
次回に続きます!
