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■労災保険法(給付基礎日額・休業給付基礎日額)

7月6日
読了時間: 6分

更新日:8月9日

ここでは給付基礎日額・休業給付基礎日額についてお伝えします。


【給付基礎日額(法8条)】

<概要>

給付基礎日額とは、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付等の額を算定する基礎となる日額をいう。


<原則(法8条1項・労基法12条)>

給付基礎日額は、労働基準法12条の平均賃金に相当する額とする。平均賃金は、算定すべき事由が生じた日以前3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除して算定する。1円未満の端数は1円に切り上げる。


<算定事由発生日(法8条1項)>

算定事由発生日とは、負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日、又は診断によって疾病の発生が確定した日をいう。


<平均賃金が適切でない場合(法8条2項)>

労働基準法12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより政府が算定する額を給付基礎日額とする。


<複数事業労働者の給付基礎日額(法8条3項・則9条の2の2)>

複数事業労働者に関する保険給付を行う場合の給付基礎日額は、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算した額を基礎として算定する。

※業務災害、複数業務要因災害、通勤災害のいずれの場合も、複数事業労働者に関する保険給付では、全事業の賃金を基礎に算定する。


<遅発性疾病の場合の非災害発生事業場の平均賃金相当額(則9条の2の2)>

複数事業労働者の疾病が業務災害による遅発性疾病であり、その診断が確定した日に災害発生事業場を離職している場合において、非災害発生事業場から賃金を受けているときは、非災害発生事業場に係る平均賃金相当額は、災害発生事業場を離職した日の直前の賃金締切日から起算して3か月前の日を始期として、その期間中に非災害発生事業場から支払われた賃金により算定する。


<令和2年改正前後の取扱い>

令和2年9月1日より前は、複数の事業場で就業していても、原則として災害発生事業場の賃金のみを基礎として給付基礎日額を算定していた。

令和2年9月1日以後は、複数事業労働者について、災害発生事業場以外の事業場の賃金も合算して給付基礎日額を算定する。

疾病については、診断によって疾病の発生が確定した日が算定事由発生日となるため、原因となった業務が改正前に行われていた場合であっても、疾病の発生が令和2年9月1日以後に診断によって確定したときは、改正後の算定方法が適用される。



【特例1:私傷病休業等の特例(則9条1項1号)】

<内容>

平均賃金の算定期間中に、業務外の傷病、妊娠・出産、親族の看護等により休業した期間がある場合に、労働基準法12条の平均賃金相当額が、その休業期間の日数及びその期間中の賃金を控除して算定した額に満たないときは、控除して算定した額を給付基礎日額とする。


<比較>

①原則の額=労働基準法12条の平均賃金相当額

②特例計算額=休業期間の日数及びその期間中の賃金を控除して算定した額

①が②に満たない場合は、②を給付基礎日額とする。


<理由>

業務外の傷病等による休業期間を含めて平均賃金を算定すると給付基礎日額が不当に低くなることがあるため、休業期間の日数及びその期間中の賃金を控除して算定する。



【船員の給付基礎日額(総合特例)】

<趣旨>

船員は、航海区域・積荷・船種などの事情により賃金が大きく変動することが多く、

通常の平均賃金(労基法12条)では適正に給付基礎日額を算定できない場合がある。

そのため、船員には2種類の特例が設けられている。


<特例1:固定給+変動給がある場合の特例(則9-1③)>

固定給のほか、航海区域・積荷などにより変動する賃金がある場合は、

以下の2つを基準とし、厚生労働省労働基準局長が定める基準により算定する。


1 基本となるべき固定給に係る平均賃金に相当する額

2 変動する賃金に係る平均賃金に相当する額


この両方を考慮して給付基礎日額を算定する。


<特例2:前1年間の賃金を使う特例(則9-14)>

船員の賃金が季節・航路・積荷の種類などの影響で、

算定事由発生日前3か月の賃金が実態に合わない場合には、

算定事由発生日前1年間の賃金を基礎として給付基礎日額を算定できる。


<適用場面>

繁忙期と閑散期で賃金が極端に違う、

航路変更などで直近3か月の賃金が異常に高い/低い、

積荷の種類によって賃金が激しく上下する場合など。



【特例4:自動変更対象額(最低保障額)】

<内容>

平均賃金相当額が自動変更対象額(4020円)に満たない場合、給付基礎日額は4020円として扱う。


<変更要件>

厚生労働大臣は、年度の平均給与額が、直近の自動変更対象額が変更された年度の前年度の平均給与額を超え、又は下るに至った場合には、その上昇し、又は低下した比率に応じて、その翌年度の8月1日以後の自動変更対象額を変更しなければならない。


<告示>

厚生労働大臣は、自動変更対象額を変更するときは、当該変更する年度の7月31日までに、当該変更された自動変更対象額を告示する。


<端数処理>

自動変更対象額に5円未満の端数があるときはこれを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときはこれを10円に切り上げる。



【じん肺・粉じん作業従事者の給付基礎日額の最低保障(法8-Ⅱ、則9-1②)】

<趣旨>

粉じん作業(じん肺など)から粉じん以外の作業へ常時転換した労働者は、

賃金が大きく低下することがあるため、

給付基礎日額が不当に低くならないよう最低保障を行う。


<内容>

粉じん作業以外の作業に常時従事することになった労働者について、

算定事由発生日における平均賃金額が、従前額に満たない場合には、

原則として従前額を給付基礎日額として最低保障する


<適用例>

・粉じん作業経験者が別作業に配置転換され賃金が低下

・振動障害による労働者についても同様に適用される



【スライド改定の概要(法8条の2・法8条の3)】

<概要>

スライド改定とは、被災時の給付基礎日額を、後の賃金水準の変動に応じて補正し、給付額が古い賃金水準のままにならないようにする仕組みをいう。


<平均給与額>

平均給与額とは、毎月勤労統計の調査産業計における「きまって支給する給与」の四半期ごとの1人当たり平均額をいう。会社ごとの平均賃金や被災労働者本人の賃金ではない。



<休業給付基礎日額(法8条の2第1項)>

休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付の額の算定に用いる給付基礎日額を、休業給付基礎日額という。


<休業給付基礎日額のスライド(法8条の2第1項2号)>

四半期の平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期の平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合、その上昇又は低下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を給付基礎日額に乗じて得た額を休業給付基礎日額とする。


  • 1月〜3月

  • 4月〜6月

  • 7月〜9月

  • 10月〜12月


<休業給付基礎日額の適用開始(法8条の2第1項2号)>

スライド後の休業給付基礎日額は、平均給与額が上昇又は低下した四半期の翌々四半期に属する最初の日以後に支給すべき事由が生じた休業補償給付、複数事業労働者休業給付又は休業給付について適用する。


<1年6か月経過後の限度額(法8条の2第2項)>

療養開始後1年6か月を経過した日以後は、休業給付基礎日額について、年齢階層別の最低限度額・最高限度額が適用される。




この記事では給付基礎日額・休業給付基礎日額についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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