通勤災害
- 筒井

- 11月19日
- 読了時間: 4分
更新日:11月21日
ここでは通勤災害についてお伝えします。
【通勤災害|通勤による疾病の範囲(法22条1項)】
<概要>
通勤による疾病として認められるのは、
「通勤による負傷に起因する疾病」または
「その他通勤に起因することの明らかな疾病」
とされている。
<ポイント>
・“通勤による負傷”を原因として発症した疾病が対象。
・負傷がなくても、通勤行為そのものが明確に原因と判断できる疾病も含まれる。
・業務上疾病(別表第1の2)とは別枠であり、
通勤行為との因果関係の明確さが最も重要な判断基準。
<代表例>
・通勤時の転倒負傷が原因となった二次的な疾病
(例:骨折後の感染症、後遺的な神経障害など)
・通勤途上の災害により心理的外傷を受けた場合の精神症状
・通勤事故によるむち打ち症状が遅れて出たケース
<対象外となるケース>
・業務そのものに起因する疾病(→業務災害となる)
・通勤と関係のない私的行動中に発症した疾病
・通勤行為との因果関係が曖昧、または医学的な関連が不十分なもの
<根拠>
・労災保険法22条1項
・施行規則18条の4
【通勤災害|逸脱・中断の例外(最小限度・やむを得ない行為の扱い)】
<概要>
通勤途中に通常の経路から逸脱・中断した場合、
その間は原則として通勤とは認められない。
ただし、日常生活上必要な行為であって、
厚生労働省令で定める「やむを得ない理由による最小限度」の行為の場合は、
逸脱・中断の“前後”は通勤と認められる。
<例外が認められる行為>
・日用品の購入
・通院・治療
・職業訓練校への通学
・選挙投票
・要介護状態の親族の介護(反復性・日常性が必要)
<重要ポイント>
・例外が適用されるのは「逸脱・中断の前後のみ」。
・逸脱または中断の“行為そのものの間”は通勤とは扱われない。
・行為は“最小限度”でなければならず、私的行為の拡大はNG。
・反復していない介護や、日常生活上必要とは言えない用事は例外適用外。
<根拠>
・労災保険法7条3項
【通勤災害|日常的に反復していない介護行為の取扱い】
<基本ルール>
通勤途中に私的理由で経路を外れると「逸脱・中断」となり、その間は通勤と認められない。
ただし、日常生活上必要で、やむを得ない理由による最小限度の行為であれば、
逸脱・中断の“前後”は通勤に戻る(例外規定)。
<介護に関する例外の要件>
以下のすべてを満たすときのみ、介護目的の逸脱・中断が例外的に認められる。
・要介護状態の親族に対する介護であること
・日常生活上必要な介護であること
・継続的または反復して行われていること
・やむを得ない理由による最小限度の行為であること
<「継続的または反復」とは>
毎日、または週に数回など、労働者が日常的に介護を行っている状態を指す。
<今回の事例>
半年ぶりに義父宅に立ち寄って介護を行ったケースは、継続性・反復性がなく例外に該当しない。
したがって、介護後に通常経路へ戻っても、通勤災害とは認められない。
<ポイント>
・“たまたま寄っただけの介護”は例外にならない
・例外にできるかどうかの核心は「反復性」の有無
【通勤災害と業務災害の区別|移動が業務の性質を有する場合】
<概要>
移動中であっても、その移動が「業務の性質を有する」と判断される場合は、
通勤災害ではなく業務災害として取り扱われる。
<業務性が認められる典型例>
・上司の指示による外出や顧客訪問
・会社の業務として予定されていた行事や会議への移動
・勤務時間中の職務遂行としての移動
・会社の指揮命令に基づく移動
<ポイント>
・どこから来たかではなく「何のために移動していたか」で判断する。
・自宅から直接向かう場合でも、目的が業務であれば業務災害となる。
<根拠>
・労災保険法7条2項
・平成28年12月28日 基発1228第1号
この記事では通勤災害についてご紹介しました。
次回に続きます!


