■労災保険法(特別加入制度・特定フリーランス)
更新日:8月20日
ここでは特別加入制度・特定フリーランスについてお伝えします。
【特別加入制度(労災保険)まとめ】
<対象区分>
・中小事業主等(第1種特別加入)
・一人親方等(第2種特別加入)
・海外派遣者(第3種特別加入)
【中小事業主等 法33条1号・2号、法34条】
<対象者>
・中小事業主およびその事業に従事する家族従事者・役員等の労働者以外の者が対象
<規模要件>
・金融業、保険業、不動産業又は小売業:常時50人以下
・卸売業又はサービス業:常時100人以下
・上記以外の事業:常時300人以下
<加入要件>
・その事業について労災保険の保険関係が成立していることが必要
・中小事業主等が労働者と同様の業務に常態として従事していることが必要
・複数の事業を行う場合も、それぞれの事業が要件を満たせば加入できる
・特別加入するには、労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託し、政府の承認を受けることが必要
【一人親方等 法33条3号~5号、法35条】
<対象者>
・労働者を使用しないで事業を行う一人親方その他の自営業者およびその事業に従事する家族従事者等が対象
<対象事業>
・建設業、自動車を使用して行う旅客・貨物運送事業、漁船による水産動植物の採捕事業、林業などが対象
<加入手続(法35条1項、則46条の23第1項)>
・一人親方等の団体を通じて申請し、政府の承認を受けることが必要
・申請は一人親方本人ではなく、一人親方等の団体が行う
・当該団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長を経由して、当該所在地を管轄する都道府県労働局長に申請書を提出する
・労働保険事務組合に事務処理を委託することは加入要件ではない
<重複加入>
・同一の種類の事業又は作業について、複数の特別加入団体を通じて重複して特別加入することはできない
・異なる種類の事業又は作業については、重ねて特別加入できる
<重複加入>
・同一の種類の事業又は作業について、複数の特別加入団体を通じて重複して特別加入することはできない
・異なる種類の事業又は作業については、重ねて特別加入できる
【特定フリーランス事業に係る特別加入団体の承認要件・運営要件 則46条の17第12号、則46条の21】
・特定フリーランス事業に係る特別加入団体として承認を受けるには、特定の業種に限らないフリーランス全般を支援する活動実績を有していることが必要
・原則として、活動期間が1年以上であり、会員等が100人以上であることが必要
・加入希望者が訪問することのできる事務所を設け、全国を単位として団体を運営する体制を有していることが必要
・加入者に対し、災害防止等に関する研修会等を少なくとも年1回以上実施することが必要
・特別加入者に災害が発生した場合、その者が提出する保険給付の請求書等の作成を支援することが必要
・保険給付に関する事務は、特別加入団体の主たる事務所の所在地を管轄する労働基準監督署長が行う
【海外派遣者 法33条6号・7号、法36条】
<対象者>
・国内の団体又は事業主から海外の事業に派遣され、その海外事業に従事する者が対象
・海外の事業に労働者として派遣される者が対象
・海外の中小規模の事業に事業主その他の労働者以外の者として派遣される者も対象
<加入要件>
・派遣元の団体又は事業主が、日本国内で行う有期事業以外の事業について労災保険の保険関係が成立していることが必要
・派遣先の事業は有期事業であっても対象となる
<対象外>
・海外で現地採用され、日本国内の事業との雇用関係がない者は対象とならない
・海外出張者は国内事業場に所属したまま国内事業主の指揮命令を受けるため、特別加入の対象ではなく、通常の労災保険が適用される
<加入手続>
・派遣元の団体又は事業主が申請し、政府の承認を受けることが必要
<特別加入の効果>
・業務災害については労働者と同様に保護される
・通勤災害も原則対象となる
・ただし「自動車を使用する旅客・貨物の運搬事業の従事者(第2種特別加入)」は
通勤災害についての保険給付は行われない
・業務遂行性・業務起因性は労働者と同様に判断
・給付基礎日額は平均賃金ではなく定額制
<派遣先国の労災保険との調整>
・海外派遣者として特別加入している者が、同一の事由について派遣先の事業の所在する国の労災保険から保険給付を受けられる場合であっても、我が国の労災保険給付との間の調整を行う必要はない。
<赴任途上の災害>
・海外派遣者として特別加入している者の赴任途上の災害が、当然に業務災害として取り扱われるわけではない。
・赴任途上における災害について、次の①~④の要件をすべて満たす場合には、赴任途上における業務上の事由による災害(赴任途上災害)として取り扱う。
①新たに採用された労働者が、採用日以後の日において、その採用に伴う移転のため住居地から採用事業場に赴く途上又は転勤を命ぜられた労働者が、その転勤に伴う移転のため転勤前の住居地等から赴任先事業場等に赴く途上に発生した災害であること。
②赴任先事業主の命令に基づき行われる赴任であって、社会通念上合理的な経路及び方法による赴任であること。
③赴任のために直接必要でない行為又は恣意的行為に起因して発生した災害でないこと。
④当該赴任に対し赴任先事業主より旅費が支給される場合であること。
<支給制限>
・中小事業主の重大な過失による事故は支給制限の対象となる
・承認前や保険料滞納期間中の事故についても支給制限を行うことができる
<包括加入・脱退>
・中小事業主団体等は包括加入が可能
・海外派遣者は包括脱退の必要なし
<不服申立て>
・通常の労災給付と同様に不服申立てが可能
【特別加入|給付基礎日額と保険料の関係】
<給付基礎日額の選択 法34条1項2号・法35条1項6号・法36条1項2号、則46条の20・則46条の24・則46条の25の3>
・給付基礎日額は、労災保険の保険給付額および特別加入保険料を算定する基礎となる
・特別加入者の希望に基づき、所得水準に見合った額を都道府県労働局長が決定する
・原則として、3,500円から25,000円までの定められた額から選択する
・家内労働者およびその補助者は、2,000円から25,000円までの定められた額から選択できる
・2,000円、2,500円および3,000円は、家内労働者およびその補助者に限り選択できる
<行政の承認 法34条1項2号・法35条1項6号・法36条1項2号>
・特別加入者の希望額に基づき、所得水準に見合った額を都道府県労働局長が給付基礎日額として決定する
・給付基礎日額の自動変更対象額および年齢階層別の最低限度額・最高限度額は適用されない
<業務災害・複数業務要因災害・通勤災害の認定基準 法34条1項・法35条1項・法36条1項>
・特別加入者に係る業務災害、複数業務要因災害および通勤災害の認定は、厚生労働省労働基準局長が定める基準により行われる
<特別加入保険料との関係 徴収法13条・14条>
・特別加入保険料の算定基礎額は、給付基礎日額に365を乗じて得た額である
・年間の特別加入保険料=給付基礎日額×365×特別加入保険料率
・給付基礎日額を高く選択するほど、保険料および保険給付額は高くなる
・給付基礎日額を低く選択するほど、保険料および保険給付額は低くなる
・保険料額そのものを自由に決定するのではなく、選択した給付基礎日額に応じて保険料額が決まる
<特別加入保険料率 徴収則23条・別表第5>
・第1種特別加入保険料率は、その事業に適用される労災保険率と同一
・第2種特別加入保険料率は、事業又は作業の種類ごとに異なる
・令和5年度の第2種特別加入保険料率の最高は、林業の一人親方の52/1,000
・第3種特別加入保険料率は3/1,000
<給付基礎日額の調整に関する特則 法34条1項・法35条1項・法36条1項>
・特別加入者の給付基礎日額には、自動変更対象額および年齢階層別の最低限度額・最高限度額は適用されない
・休業給付基礎日額および年金給付基礎日額のスライド制は適用される
<保険給付の支給要件 平成13年3月30日基発233号>
・保険給付の支給要件は、療養、休業、障害、死亡、傷病等の給付の種類ごとに異なる
・特別加入者に係る休業(補償)等給付は、所得の喪失の有無にかかわらず、療養のため業務遂行性が認められる範囲の業務又は作業について全部労働不能である場合に支給される
・所定の給付基礎日額に相当する額の収入が失われたことは、支給要件ではない
<二次健康診断等給付の取扱い 法34条1項・法35条1項・法36条1項>
・特別加入者には、二次健康診断等給付は支給されない
<特別支給金 特別支給金則19条>
・特別加入者には、定率又は定額の特別支給金が支給される
・特別給与を算定基礎とする特別支給金は支給されない
・複数事業労働者であると同時に特別加入者でもある者には、事業に使用される労働者として支給を受ける特別給与に対応する部分について、特別給与を算定基礎とする特別支給金が支給される
<支給制限 法34条1項4号・法35条1項7号・法36条1項3号>
・特別加入者については、保険給付に要した費用の徴収ではなく、保険給付の全部又は一部を行わない支給制限が行われる
・中小事業主等の故意又は重大な過失によって事故が生じた場合の支給制限は、第1種特別加入者に対してのみ行われる
・特別加入保険料を滞納している期間中に事故が生じた場合の支給制限は、第1種、第2種および第3種特別加入者に対して行われる
この記事では特別加入制度・特定フリーランスについてご紹介しました。
次回に続きます!
