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メリット制

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 8月10日
  • 読了時間: 4分

更新日:8月12日

ここではメリット制についてお伝えします。



●メリット制


一定の要件を満たす事業場の労災保険料を、 その事業場の労働災害の多寡に応じて一定の範囲内で増減させる制度です。

次の次の保険年度から適用となるので注意しましょう。

メリット制の適用で還付がある場合は、通知を受けた翌日から10日以内に還付請求を行わなければならない。

※厚生労働省で定める特定の業務に長期間従事することにより発生する疾病にかかったものに係る保険給付の額は含まない


【メリット制(継続事業)】


<適用条件>

・保険関係が成立して3年以上経過

・下記いずれかの規模の事業に該当

 - 労働者100人以上

 - 労働者20人以上かつ災害係数0.4以上

 - 立木の伐採事業で確定保険料40万円以上

・3保険年度中の収支率が85%超 または 75%以下


※「有期事業の一括適用を受けている建設事業」は本来、継続事業ではなく有期事業の区分



【メリット制(有期事業)】


<対象>

・建設事業 または 立木の伐採事業


<適用条件>

・下記いずれかの規模に該当

 - 確定保険料が40万円以上

 - 建設事業で請負金額1億1,000万円以上

 - 立木の伐採事業で素材の生産量1,000立方メートル以上

・収支率判定

 - 事業終了から3か月前日において、第1種調整率を用いた収支率が85%超 または 75%以下

 - 給付が続く場合は事業終了から9か月前日において、第2種調整率を用いた収支率が85%超 または 75%以下



【一般拠出金とメリット制の適用除外】


<一般拠出金とは>

・石綿による健康被害者の救済に関する法律第35条第1項の規定に基づき、労災保険適用事業主から徴収される拠出金

・救済給付に必要な費用をまかなうために徴収

・賃金総額に「一般拠出金率」を乗じて算定

・令和6年度の一般拠出金率:1000分の0.02(0.002%)


<メリット制の適用>

・労災保険の本来の保険料率は、事業ごとの災害発生状況に応じて「メリット制(割増・割引)」が適用される

・しかし、一般拠出金については、事業の災害発生状況とは無関係に一律の料率を適用

・そのため、メリット制(割増・割引)の対象外


<ポイント>

・一般拠出金は、労災保険料の申告時に併せて申告・納付

・算定基礎や料率は全国一律で決定され、事業ごとの事故実績による増減はない



【継続事業の一括とメリット制の取扱い】


<概要>

・継続事業の一括(指定事業とそれ以外の事業を含む)が行われた場合、メリット制の適用は「指定事業」についてのみ行われる。

・指定事業以外の事業は、継続事業の一括により保険関係が消滅する。


<保険関係の成立期間>

・メリット制に関する労災保険の保険関係の成立期間は、指定事業の労災保険関係成立日から起算する。


<収支率算定基礎への算入>

・指定事業以外の事業に係る一括前の保険料や、一括前の災害に係る給付は、指定事業のメリット収支率算定基礎に算入しない。



【有期事業(立木の伐採)におけるメリット制の適用条件】


<対象となる事業>

・有期事業の一括適用を受けていない立木の伐採事業


<適用条件>

・その事業の素材の「生産量」が1,000立方メートル以上であること

 → 「見込み生産量」ではなく、実際の生産量で判断する


<ポイント>

・誤りやすい点:問題文で「見込み生産量」となっている場合は誤り

・「生産量」が基準を満たす場合のみ、労災保険のメリット制の適用対象になる



【造林・立木伐採における賃金総額の算定方法】


<概要>

造林や立木伐採など、労働保険徴収法第11条第1項・第2項で定める「賃金総額」を正確に算定することが困難な事業については、特別な計算方法が用いられる。


<造林の場合>

・素材1立方メートルを生産するのに必要な労務費の額 × 生産した素材の総立方メートル数 = 賃金総額とみなす

・労務費単価は所轄都道府県労働局長が定める

・生産量ベースで計算するため、経費や資材費などは含めない


<立木伐採の場合>

・造林と同様、賃金総額が正確に出せない場合は生産量(立方メートル)に労務費単価を掛けて算定

・経費全般ではなく、労務費相当額のみを対象とする


<ポイント>

・面積ではなく「生産量(m³)」ベース

・算入するのは労務費相当額のみ

・経費や資材費は含まない




この記事ではメリット制についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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