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■労働保険徴収法(労働保険の納付・延納)

2024年8月23日
読了時間: 8分

更新日:8月20日

ここでは労働保険の納付についてお伝えします。


●継続事業の場合

1. 概算保険料の申告・納付

初回は、保険関係が成立した日の翌日から50日以内に概算保険料を申告・納付する。

以後は、保険年度の初めにその年度分の概算保険料を申告・納付する。


2. 確定保険料の申告・精算

翌年度に、前年度に実際に支払った賃金総額を基に確定保険料を計算する。

概算保険料より確定保険料が多ければ不足額を納付し、

概算保険料の方が多ければ超過額を還付又は翌年度の概算保険料等に充当する。


3. 年度更新

前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を、

原則として6月1日から7月10日までに申告・納付する。


※保険年度の途中で保険関係が消滅した場合は、

保険関係が消滅した日の翌日から50日以内に確定保険料を申告・納付する。



【労働保険料|概算保険料と延納・超過額】

<一般保険料率 徴収法12条>

・一般保険料率は、成立している保険関係に応じて決まる。

・労災保険+雇用保険が成立

 → 労災保険率+雇用保険率

・労災保険のみ成立

 → 労災保険率

・雇用保険のみ成立

 → 雇用保険率


<労働保険料の事業主負担>

・労災保険料は、全額事業主が負担する。

・雇用保険料は、事業主と労働者で負担する。

・事業主は、雇用保険二事業に係る率を全額負担し、

 それ以外の雇用保険率については労働者と折半して負担する。


<例>

賃金総額6,000万円

労災保険率 3/1000

雇用保険率 14.5/1000

(二事業に係る率 3.5/1000)


①労災保険料の事業主負担

6,000万円×3/1000=18万円


②雇用保険料の事業主負担率

3.5/1000+(14.5/1000-3.5/1000)÷2

=9/1000


6,000万円×9/1000=54万円


→ 事業主負担額

18万円+54万円=72万円



<概算保険料の計算 徴収法15条>

・事業主は、保険年度ごとに、その保険年度中に使用するすべての労働者に支払う賃金総額の見込額に一般保険料率を乗じて得た額を、概算保険料として申告・納付する。

・概算保険料=賃金総額の見込額×一般保険料率

・賃金総額の見込額が、前保険年度の賃金総額の100分の50以上100分の200以下である場合は、前保険年度の賃金総額を当該保険年度の賃金総額の見込額として概算保険料を算定する。


<50%以上200%以下の場合>

・今年度の賃金総額の見込額が、前年度の確定賃金総額の50%以上200%以下なら、

 今年度の見込額ではなく「前年度の確定賃金総額」を用いて概算保険料を計算する。


例)

前年度確定賃金総額 5,000万円

今年度見込額    6,000万円


5,000万円×50%=2,500万円

5,000万円×200%=1億円


6,000万円は2,500万円~1億円の範囲内

→ 5,000万円を使用する。


概算保険料=5,000万円×3/1000=15万円



<概算保険料の延納 徴収法18条>

・概算保険料は、原則として一括して納付する。

・継続事業について、次のいずれかに該当する場合は、概算保険料を延納することができる。

①概算保険料の額が40万円以上である場合

②労災保険又は雇用保険のいずれか一方の保険関係のみが成立している事業について、概算保険料の額が20万円以上である場合

③労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している場合

・概算保険料額の要件と労働保険事務組合への委託の要件は、両方を満たす必要はなく、いずれかに該当すれば延納することができる。



<年度当初から成立している継続事業の納期限 徴収則27条>

・概算保険料を3期に分けて延納する。

・第1期の納期限は、7月10日である。

・第2期の納期限は、10月31日である。

・第3期の納期限は、翌年1月31日である。


<延納する場合の端数処理>

・概算保険料を3期に分ける際、3で除した額に1円未満の端数が生じる場合は、

 第2期・第3期は1円未満の端数を切り捨てた額とし、

 その端数分を第1期に加えて納付する。


例)概算保険料875,000円

875,000円÷3=291,666.666…円


第1期:291,668円

第2期:291,666円

第3期:291,666円


→ 端数は第1期にまとめる。



<年度途中に保険関係が成立した場合 徴収則28条>

・4月1日から5月31日までに成立

 → 3期に延納できる。

  第1期:成立日の翌日から50日以内

  第2期:10月31日

  第3期:翌年1月31日


・6月1日から9月30日までに成立

 → 2期に延納できる。

  第1期:成立日の翌日から50日以内

  第2期:翌年1月31日


・10月1日以後に成立

 → 延納不可。一括納付。


<労働保険事務組合に委託している場合の納期限 徴収則29条>

・労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業については、第2期及び第3期の納期限が通常の事業と異なる。

・第2期の納期限は、11月14日である。

・第3期の納期限は、翌年2月14日である。


<概算保険料の超過額 徴収法19条6項>

・納付した概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合、事業主は、その超過額の還付を請求することができる。

・還付請求がない場合、政府は、その超過額を次の保険年度の概算保険料又は未納の労働保険料その他徴収法の規定による徴収金に充当することができる。

・超過額は、翌年度の概算保険料だけでなく、未納の労働保険料及び一般拠出金にも充当することができる。



●有期事業の場合

<概算保険料>

・保険関係成立日の翌日から20日以内に、概算保険料を申告・納付する。

・概算保険料=事業期間中の賃金総額の見込額×保険料率


<確定保険料>

・保険関係が消滅した日の翌日から50日以内に、確定保険料を申告・納付する。


<有期事業の延納>

・事業の全期間が6か月を超え、かつ、

 概算保険料が75万円以上である場合は延納できる。

・事業期間に応じて分割納付する。



【労働保険徴収法|10%の追徴金】

<追徴金が発生する場合 徴収法21条>

・事業主が、認定決定された確定保険料又はその不足額を納付しなければならない場合、

 その納付すべき額の10%の追徴金が徴収される。


・認定決定された概算保険料には、10%の追徴金は徴収されない。


<追徴金の額>

・認定決定された確定保険料又は不足額

 → 1,000円未満の端数を切り捨てる。

・その額 × 10% = 追徴金

・計算した追徴金が1,000円未満の場合は徴収しない。


<納期限>

・追徴金は、通知を発する日から起算して30日を経過した日までに納付する。

・延納することはできない。



【保険料率変更と概算保険料】

<保険料率が引き下げられた場合>

・保険年度又は事業期間の途中で、一般保険料率や第1種~第3種特別加入保険料率が引き下げられても、

 既に納付した概算保険料について、年度途中で差額の還付を請求することはできない。

・差額は、保険年度終了後の確定精算で調整する。


<保険料率が引き上げられた場合 徴収法17条>

・一般保険料率又は第1種~第3種特別加入保険料率が引き上げられた場合は、

 政府が概算保険料を追加徴収する。


<ポイント>

・料率引下げ → 途中還付なし

・料率引上げ → 追加徴収あり

・最終的な過不足 → 確定精算



【増加概算保険料】

<増加概算保険料とは>

・概算保険料を申告した後、年度途中に賃金総額の見込額が大幅に増加した場合に、

 追加で申告・納付する概算保険料。


<要件>

・賃金総額の見込額が、当初の見込額の100分の200を超えること。

・かつ、新しい見込額で計算した概算保険料額が、

 既に申告した概算保険料額より13万円以上増加すること。

・要件に該当した日から30日以内に、増加概算保険料を申告・納付する。


<ポイント>

・要件を満たした場合は、増加概算保険料を申告・納付する。

・年度末には、実際の賃金総額に基づいて確定保険料を計算し、

 最終的に概算保険料との差額を精算する。


<覚え方>

・途中で大幅増加 → 増加概算保険料

・年度終了 → 確定保険料で最終精算



【確定保険料申告書未提出時の取扱い】

<認定決定>

・事業主が確定保険料申告書を提出しないとき、

 又は申告書の記載に誤りがあると認められるときは、

 政府が確定保険料額を決定(認定決定)し、事業主に通知する。


<督促>

・認定決定の通知をしただけで、直ちに督促となるわけではない。

・納付すべき労働保険料等を納付しない場合に督促が行われる。


<流れ>

確定保険料申告書を未提出・誤記

 ↓

認定決定

 ↓

事業主へ通知

 ↓

未納

 ↓

督促


<ポイント>

・未申告又は誤記 → 認定決定

・認定決定と督促は別手続

・確定保険料の認定決定 → 原則10%の追徴金



【口座振替納付と確定保険料申告書の提出経路】


<口座振替の場合>

・労働保険料を口座振替で納付する場合、年度更新の確定保険料申告書を年金事務所経由で提出することはできない。

・所轄都道府県労働局又は所轄労働基準監督署へ提出する。


<ポイント>

・通常の一定の年度更新申告書

 → 年金事務所経由が認められる場合あり

・口座振替

 → 年金事務所経由 ×

 → 労働局・労基署 ○



【確定保険料の認定決定後の差額 徴収法20条】

・認定決定された確定保険料について、事業主の申立てによりその額が引き下げられた場合、

 当初の確定保険料額との差額が生じる。


・その差額は、未納の労働保険料その他徴収法による徴収金に充当し、

 又は事業主に還付される。


<ポイント>

・確定保険料の認定決定後に額が引き下げられることがある。

・生じた差額 → 充当又は還付。




この記事では労働保険の納付についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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