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二以上の事業に使用される場合の取扱い

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 7月28日
  • 読了時間: 3分

更新日:8月20日

ここでは二以上の事業に使用される場合の取扱いについてお伝えします。



【健康保険|二以上の事業に使用される場合の取扱い】


<基本ルール>

・同時に二以上の事業所に使用される場合でも、健康保険上は「1人の被保険者」として扱われる。


<主たる事業所の選定>

・複数の使用関係のうち、主たる使用関係に基づいて被保険者資格を取得する。

・主たる事業所とは、勤務時間・日数・報酬の多寡などから総合的に判断される。


<保険者の決定>

・主たる事業所が協会けんぽ → 協会けんぽに加入

・主たる事業所が組合健保 → 組合健保に加入


<報酬の合算と保険料の負担>

・標準報酬月額は、すべての事業所の報酬を合算して決定する。

・保険料は、各事業所が報酬に応じて按分して負担・徴収する。


<資格喪失が発生した場合>

・主たる事業所を退職等により失った場合、従たる事業所のうちから新たに主たる事業所を選定し直す。


<届出の期限・提出先>

・複数事業所に使用されることになった場合や、主たる事業所が変更になった場合は、

 → 主たる事業所が「被保険者所属選定・変更届」を10日以内に提出する必要がある。


・提出先は以下のとおり:

 - 主たる事業所が協会けんぽ → 厚生労働大臣(実務上は協会けんぽ支部へ提出)

 - 主たる事業所が組合健保 → 各健康保険組合へ提出


<補足>

・雇用保険や厚生年金保険では、二以上の事業所で同時に適用されることはない(健康保険特有の取り扱い)。



【複数事業労働者の給付基礎日額】


<基本ルール>

・複数の事業で働く労働者が業務災害や通勤災害により負傷・疾病・障害・死亡した場合、

 給付基礎日額は、各事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算して計算する。


<算定方法>

・合算額を基礎として、厚生労働省令で定めるところにより「政府」が算定する。

・したがって「事業主が算定」や「労基署長が算定」と書かれていたら誤り。


<対策ポイント>

キーワードは「複数事業労働者」「合算」「政府が算定」。

・パターンとして「給付基礎日額=合算方式」「政府が算定する」



【複数事業に使用される場合の取扱い|健保・雇保・労災の比較】


<健康保険>

・原則「1人1資格」方式

・複数の事業所に同時に使用される場合でも、自動的に1つの資格として扱われる

・週20時間などの要件はなし

・主たる事業所を選定(勤務日数・時間・報酬で判断)

・標準報酬月額=全事業所の報酬を合算

・保険料=報酬比率で按分

・届出:主たる事業所が「被保険者所属選定・変更届」を10日以内に提出


<雇用保険>

・原則:週20時間以上+31日以上雇用見込みで被保険者

・複数の事業所でそれぞれ20時間未満でも、合算して週20時間以上なら対象

・ただし「本人の申出」が必要(申出がなければ資格発生せず)

・65歳以上で新たに雇用された場合は「高年齢被保険者」として同様に扱う

・資格発生日=申出日(遡及は不可)


<労災保険>

・もともと労働者であれば自動的に適用(申出や時間要件なし)

・複数の事業で就労している労働者が業務災害・通勤災害に遭った場合

→ 各事業の給付基礎日額を算定し、合算した額を基礎として給付を行う

・算定は「政府(厚労大臣)」が行う(事業主や労基署長ではない)


<まとめのキーワード>

・健康保険=自動/時間要件なし/1人1資格

・雇用保険=週20時間要件あり/本人申出制

・労災保険=自動適用/給付基礎日額のみ合算




この記事では二以上の事業に使用される場合の取扱いについてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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