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任意継続被保険者(特例退職被保険者)

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 6月20日
  • 読了時間: 6分

更新日:8月5日

ここでは任意継続被保険者(特例退職被保険者)についてお伝えします。



●任意継続被保険者


<概要>

・会社などを退職し、一般の被保険者資格を喪失した後でも、一定の条件を満たせば「任意継続被保険者」として健康保険に引き続き加入できる制度


<加入条件(すべて満たすこと)>

・一般の被保険者の資格を喪失していること

 ※任意適用事業所の適用取消しによる喪失は対象外

喪失日の前日までに、継続して2ヶ月以上健康保険の被保険者であったこと

 ※共済組合の組合員だった者は対象外

・船員保険・後期高齢者医療の被保険者等でないこと

資格喪失日から20日以内に申出をすること(申出期限に注意)

・初回の保険料を、納付期限までに納付すること(納付をもって資格取得)


<任意継続被保険者の特徴>

・保険者は「資格喪失時に加入していた保険者(例:協会けんぽなど)」が継続して担当

・保険料は全額自己負担(事業主負担なし)

・保険料の上限:退職時の標準報酬月額 or 各保険者の平均標準報酬月額のいずれか低い額

・任意継続期間は最大2年間


<任意継続被保険者でなくなる場合>

2年の期間満了

・保険料を納期限までに納めなかったとき(自動喪失)

・就職して再び健康保険に加入したとき(被保険者資格を取得)

・死亡したとき

・船員保険や後期高齢者医療制度に加入したとき


<自己都合による脱退(やめたいとき)>

・原則として、本人の希望による途中脱退はできない

・ただし、以下のいずれかの方法で資格喪失が可能:


① 保険料を納期限までに納付しない → 自動的に資格喪失

② 保険者に「やめたい」と申出 → 申出が受理された月の末日の翌日に資格喪失

 ※受理された月の途中で申出しても喪失日は月末の翌日!


【例】

・8月10日に申出 → 8月31日で喪失、9月1日から非加入状態


【特例退職被保険者(参考)】

・特定健康保険組合に所属していた者のうち、旧国民健康保険法の「退職被保険者」に該当し、かつ組合の定めに従って申出した者

・申出期限:年金証明書等が到着した日の翌日から3ヶ月以内

・その他の加入条件は、任意継続被保険者と同様



●特例退職被保険者

特定健康保険組合の組合員である被保険者であった者で、旧国民健康保険法の退職被保険者にあたり、特定健康保険組合の規定で定める者は特例退職被保険者になる事ができます。

申し出の期限は年金証明書等が到着した日の翌日から3ヶ月以内です。

その他の条件は任意継続被保険者と同じです。



【特例退職被保険者の標準報酬月額】

<要件>

健康保険組合において、一定の要件を満たして「特例退職被保険者」として加入している退職者であること。


<標準報酬月額の決定>

健康保険組合の規約で定めた報酬月額を“基礎とみなして”設定する。

ただし、以下の範囲内でなければならない。

9月30日における現役被保険者(特例退職被保険者を除く)の 同月の標準報酬月額を平均した額「以下」の範囲で定める。


<ポイント>

任意継続ではなく、「特例の退職者用制度」である。

健康保険組合が規約で定めることができるが、自由には設定できない。

平均額以下であることが原則であり、健康保険法第3条の2に明記されている。


<メモ>

9月30日の平均標準報酬月額を使うのは、特例退職被保険者だけである

任意継続被保険者との違いに注意(いずれも退職者だが制度が異なる)。

「規約で決めるが上限がある」= 自由ではない



【健康保険組合の任意継続被保険者における標準報酬月額の特例】


<基本のルール>

・任意継続被保険者の標準報酬月額は、資格喪失時の標準報酬月額または当該健康保険組合の平均標準報酬月額のいずれか低い方となる


<特例(健康保険組合に限る)>

・健康保険組合の場合、規約で定めることにより

 → 平均標準報酬月額ではなく「資格喪失時の標準報酬月額」をそのまま使うことができる(低い方の比較をしなくてよい) (例) 「9月30日時点の全体の平均標準報酬月額(例:25万円)を基礎にした場合、

自分の退職時の標準報酬月額(例:30万円)を超えているなら、

→ その高い方(30万円)は使わず、低い方(25万円)を採用する」


<注意点>

・この特例は協会けんぽには適用されない(=協会けんぽは必ず低い方になる)

・あくまで健康保険“組合”の独自判断による運用(規約の有無がポイント)


<健康保険法第92条の特例>

区分

内容

対象者

健康保険組合の任意継続被保険者

特例の内容

標準報酬月額は、次のいずれか低い方で設定できる:

① 退職時の標準報酬月額

例:現役時の月額が30万円なら、それを基準にする

② 健康保険組合の平均標準報酬月額

組合に属する全被保険者の平均額(例:20万円)

→ 採用する月額

①か②のうち低い方!=保険料が割安になることがある✨

<協会けんぽとの違い>

区分

協会けんぽ

健康保険組合

任意継続時の報酬

退職時の標準報酬月額そのまま適用

退職時 or 組合平均の低い方を選べる

特例の適用有無

❌ なし

✅ あり(健康保険法92条)



【任意継続被保険者の保険料の算定時期】


<内容>

任意継続被保険者に関する保険料は、「任意継続被保険者となった月」から算定する。


<ポイント>

・任意継続の資格取得条件として、「資格喪失日の前日まで継続して2か月以上被保険者であること」が必要。

・ただし、日雇特例被保険者、特例退職被保険者、共済組合の組合員である被保険者は除く。

・この資格を満たして任意継続被保険者になった場合、保険料の算定はその取得月から開始する。


<関連項目>

・資格喪失日=退職日の翌日

・保険料の納付は月単位(原則、前納が必要)



【任意継続被保険者|前納保険料の割引ルール】


<概要>

・任意継続被保険者が保険料を前納した場合、複利現価法により割引が適用される。


<割引の計算方法>

対象となる期間の各月の保険料の額を、年4%の利率で複利現価法により割引計算。

・割引対象期間:前納に係る期間の最初の月から、それぞれの月まで。


<端数処理のルール>

・割引計算後の金額に「1円未満の端数」がある場合:

 ・端数金額が50銭未満 → 切り捨て(0円とする)

 ・端数金額が50銭以上 → 切り上げ(1円とする)


<最終的な保険料額>

・上記で求めた割引額を、前納保険料の合計額から控除した金額が、実際の前納額となる。


<ポイント>

・このような割引制度は「前納」をした場合に限られ、毎月納付の場合は適用されない。

・試験では「複利現価法」や「年4%の利率」などのキーワードも問われやすい。


この記事では任意継続被保険者(特例退職被保険者)についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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