■健康保険法(評価・患者申出・選定・保険外併用・訪問看護療養費)
更新日:8月20日
ここでは評価・患者申出・選定・保険外併用・訪問看護療養費についてお伝えします。
【例外的な療養給付 保険外併用・療養費・訪問看護・移送】
<評価療養>
厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養等で、療養の給付の対象とすべきか否かについて評価を行うことが必要な療養をいう。
例:先進医療(陽子線治療 重粒子線治療)、未承認薬を用いた治療、新しい手術法など
<評価療養・治験に係る情報提供・法86条>
保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られる。
したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる場合等には、保険外併用療養費の支給対象とならない。
<患者申出療養(法63条2項4号・法86条)>
・患者申出療養とは、高度の医療技術を用いた療養であって、患者の申出に基づき、将来の保険適用に向けた評価を迅速に行う必要があるものとして、厚生労働大臣が定める療養をいう。
・困難な疾病等を有する患者が、国内では一般に実施されていない未承認薬等を用いた治療を希望する場合などに、一定の安全性・有効性を確認したうえで、保険診療との併用を認める制度である。
・患者が希望するだけで直ちに実施できるものではなく、患者が医師から治療内容、予想される効果・危険性、費用等について十分な説明を受け、理解したうえで申出を行う。
・初めて実施する医療については、原則として臨床研究中核病院が患者の申出を受け、実施計画を作成し、国の審査を経て実施される。
・既に患者申出療養として認められた医療については、その実施計画の対象となる医療機関を追加することにより、身近な医療機関で受けられる場合がある。
・患者申出療養に係る費用は患者が全額自己負担するが、通常の保険診療と共通する基礎的部分については、保険外併用療養費として健康保険から給付される。
・患者申出療養は、保険外併用療養費の対象となる療養の一つであり、評価療養及び選定療養とは区別される。
・評価療養が国側の評価制度を起点とするのに対し、患者申出療養は患者の申出を起点として、将来の保険適用に向けた評価を行う点に特徴がある。
・例として、海外では承認されているが国内では未承認の医薬品を用いる治療、国内で承認された医薬品を承認された対象疾病や用法とは異なる方法で使用する治療などがある。
<選定療養・法86条1項>
・選定療養とは、被保険者の選定に係る療養で、厚生労働大臣が定めるものをいう。
・主なものとして、特別の病室の提供、時間外診療、予約診療、紹介状なしの大病院受診、180日を超える入院、長期収載品などがある。
<選定療養・不妊治療における精子の凍結又は融解・法86条1項>
不妊治療に要する経済的負担を軽減するため、不妊治療に対する助成や支援が拡充され、令和4年度から一般不妊治療及び生殖補助医療が新たに保険適用とされた。
ただし、医療上必要があると認められない、患者の都合による精子の凍結又は融解を行った場合は、選定療養の対象となる。
<選定療養・長期収載品・法86条1項>
後発医薬品のある先発医薬品である長期収載品について、患者が後発医薬品ではなく長期収載品の処方を希望した場合は、選定療養の対象となる。
患者は、長期収載品の薬価から後発医薬品の薬価を控除した価格に4分の1を乗じて得た額を、通常の一部負担金とは別に支払う。
後発医薬品が複数存在する場合は、薬価が最も高い後発医薬品と長期収載品との価格差により計算する。
<選定療養・予約診察・法86条1項>
予約診察に係る特別料金部分は全額自己負担となる。
ただし、診察、検査、投薬等の基礎的な医療部分については、保険給付の対象となり、一部負担金を支払えば足りる。 <選定療養・紹介状なし初診・法63条2項5号、法86条1項>
・一定の大病院において、他の病院又は診療所からの文書による紹介なしに受けた初診は、保険外併用療養費の支給対象となる選定療養に該当する。
・対象には、一般病床200床以上の地域医療支援病院等が含まれる。
・他の病院又は診療所からの文書による紹介により受けた初診は、選定療養には該当しない。
・緊急その他やむを得ない事情がある場合に受けた初診も、選定療養から除かれる。
<選定療養・180日超入院・法63条2項5号、法86条1項>
厚生労働大臣が定める方法により計算した入院期間が180日を超えた日以後の入院及びその療養に伴う世話その他の看護は、保険外併用療養費の支給対象となる選定療養とされる。
設問で150日とある場合は誤りで、正しくは180日である。
<保険外併用療養費の負担関係・法86条2項>
評価療養、患者申出療養又は選定療養に係る特別料金部分は、被保険者が全額負担する。
診察、検査、投薬、入院料等の基礎的な医療部分については、保険給付の対象となり、一部負担金相当額を負担すれば足りる。
保険診療部分と選定療養部分を合算した額に一部負担割合をかけるのではない。
<療養費>
やむを得ない事情により現物給付を受けることができない場合、被保険者がいったん医療費を立替払いし、後日申請により療養費が現金給付される。
<療養費の支給事由>
近くに保険医療機関がない場合、緊急その他やむを得ない理由で保険医療機関以外で診療を受けた場合、被保険者証等を持参しなかった場合、海外で診療を受けた場合などが含まれる。
<療養費の支給額>
本来、現物給付として行われるべきであった額を基準として算定され、現金給付により支給される。
<療養費の算定方法(重要)>
療養費の額は、実際に要した費用の額を基準とするものではなく、健康保険法の規定により、当該療養について診療報酬に基づき算定した費用の額を基準として定められる。したがって、被保険者が医療機関等に支払った実費額とは一致しない場合がある。
<海外療養費の支給手続の特例(法87条4項)>
被保険者が国外にある場合における療養費の支給は、事業主を経由して行うことができる。この場合、事業主が被保険者に代わって療養費を受領する。
<柔道整復師の施術に係る療養費(法87条・通知)>
・脱臼又は骨折に対する柔道整復師の施術について療養費の支給を受けるには、応急手当の場合を除き、医師の同意が必要である。
・応急手当後に引き続き施術を受ける場合にも、医師の同意が必要である。
・医師の同意は、書面によるものに限られず、口頭による同意でも差し支えない。
・医師の同意は、柔道整復師が直接医師から得る方法のほか、患者が医師の診察を受けたうえで、書面又は口頭により与えられる方法でもよい。
【訪問看護療養費・移送費】
<訪問看護療養費(法88条)>
被保険者が、自己の選定する指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けた場合は、訪問看護療養費が支給される。
指定訪問看護とは、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある被保険者について、主治の医師が、その治療の必要の程度が厚生労働省令で定める基準に適合すると認めた場合に行われる療養上の世話又は必要な診療の補助をいう。
被保険者は、電子資格確認等により被保険者であることの確認を受けて、指定訪問看護を受ける。
指定訪問看護を行う者は、看護師、准看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士であり、医師は含まれない。
<訪問看護療養費の額(法88条4項)>
訪問看護療養費の額は、厚生労働大臣が定めるところにより算定した指定訪問看護に要する費用の額から、年齢及び所得区分に応じた一部負担金相当額を控除した額である。
つまり、厚生労働大臣が定めた費用の全額が支給されるのではなく、被保険者が負担する2割又は3割等を差し引いた残額が訪問看護療養費として支給される。
<移送費(法97条)>
被保険者が療養の給付を受けるため、病院又は診療所に移送された場合において、保険者が必要であると認めたときは、移送費が支給される。医師、看護師等の付添人については、医学的管理が必要であったと医師が判断する場合に限り、原則として1人までの交通費を算定する。
<移送費の算定>
移送費の額は、最も経済的な通常の経路及び方法により移送された場合の費用により算定する。
ただし、現に移送に要した費用の額を超えることはできない。
移送費には、定率の一部負担はない。
この記事では評価・患者申出・選定・保険外併用・訪問看護療養費についてご紹介しました。
次回に続きます!
