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■健康保険法(傷病手当金)

2月2日
読了時間: 8分

更新日:8月6日

ここでは傷病手当金についてお伝えします。


【傷病手当金の支給要件(法99条1項)】

<制度の趣旨>

傷病手当金は、被保険者が業務外の疾病又は負傷による療養のため労務に服することができず、十分な報酬を受けることができない場合に、被保険者及びその家族の生活を保障するために支給される。


<支給要件>

資格喪失日の前日までに、被保険者期間が継続して1年以上あることが必要である。

資格喪失日の前日に、現に傷病手当金の支給を受けているか、又は傷病手当金の支給を受けることができる状態にある場合は、資格喪失後も引き続き支給を受けることができる。

資格喪失後にいったん労務に服することができる状態となった場合は、その後再び同一の疾病又は負傷により労務不能となっても、継続給付は行われない。

資格喪失後の継続給付を受ける権利の一部が時効により消滅した場合は、法104条の「継続して」給付を受ける場合には該当しないため、時効が完成していない期間についても継続給付を受けることができない。


<資格喪失後の請求権の一部が時効消滅した場合・法104条>

資格喪失日の前日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、かつ、資格喪失日の前日に現に傷病手当金の支給を受けている者又は傷病手当金の支給を受けることができる状態にある者は、資格喪失後も引き続き傷病手当金を受けることができる。

ただし、資格喪失後の傷病手当金について長期間請求を行わなかったため、古い支給対象期間の請求権が時効により消滅した場合は、法104条の「継続して」給付を受ける場合に該当しない。

したがって、時効が完成していない後の期間についても、傷病手当金を受けることができない。


<療養中であること>

療養とは、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養をいい、必ずしも保険診療に限られない。

自費診療による療養、自宅療養及び医師の指示による安静療養についても、療養に該当する。



【労務不能の判断】

<労務に服することができないこと>

労務に服することができないとは、被保険者が従事している本来の業務に就くことができない状態をいう。

労務不能の判断は、必ずしも医学的基準のみによって行うのではなく、その被保険者が従事する業務の種別等を考慮し、本来の業務に堪え得るか否かを標準として、社会通念に基づき保険者が認定する。

※医師又は歯科医師の意見は重要な判断資料となるが、その意見のみで当然に労務不能が決定されるわけではない。

※単に通勤が困難であるだけでは足りず、疾病又は負傷の状態、業務内容等から、本来の業務に就くことができないかどうかによって判断される。

ただし、傷病自体は休業を要する程度でなくても、被保険者の住所が診療所から遠隔地にあり、通院のため事実上休業しなければならない場合は、その休業は広義の「療養のため労務に服することができない」場合に該当する。


<軽易な就労>

被保険者が本来の職場における労務に就くことができない状態で、本来の労務に対する代替的性格をもたない副業又は内職等に従事した場合は、直ちに労務不能ではないとは判断されない。

傷病手当金が支給されるまでの間に、一時的に軽微な他の労務に服して賃金を得た場合も、通常は労務不能に該当する。

一方、職場転換等により就労可能な比較的軽易な業務に継続して従事し、相当額の報酬を得ている場合は、労務不能とは認められない。

労務不能に該当するかどうかは、労務の内容、その労務と本来の業務との関係及び報酬額等を十分に検討して判断する。



【待期(法99条1項)】

<待期期間>

傷病手当金は、労務に服することができなくなった日から起算して、連続した3日間の待期を経過した後、4日目以降の労務不能の日について支給される。

待期は、労務不能の日が連続して3日間あることにより完成する。


<休日等の取扱い>

待期期間には、休日、祝日等の公休日も含まれる。

待期期間中に有給休暇を取得して報酬を受けていた場合でも、療養のため労務不能であれば待期は完成する。

療養のため労務に服することができない期間中に事業所の公休日がある場合、その公休日も傷病手当金の支給期間に含まれる。

就業時間中に業務外の事由による疾病又は負傷のため労務不能となった場合は、その日を待期の初日として起算する。


<待期完成後の再休業>

待期は、同一の疾病又は負傷について1回完成すれば足りる。

いったん就労した後、再び同一の疾病又は負傷により労務不能となった場合でも、再度待期を完成させる必要はない。

この場合、再び労務不能となった日から傷病手当金が支給される。



【傷病手当金の額(法99条2項)】

<原則的な支給額>

傷病手当金の日額は、支給開始日の属する月以前の直近の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額である。


<法定の代替算定>

支給開始日の属する月以前の直近の継続した期間に、標準報酬月額が定められている月が12か月に満たない場合は、次の①②のうち少ない額の3分の2に相当する額を傷病手当金の日額とする。

①支給開始日の属する月以前の直近の継続した期間における各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額

②支給開始日の属する年度の前年度の9月30日における当該保険者の全被保険者の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額



【租税その他の公課の禁止(法62条)】

<傷病手当金の非課税>

租税その他の公課は、傷病手当金を含む保険給付として支給を受けた金品を標準として課することができない。



【支給期間(法99条4項)】

<通算1年6か月>

傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病について、その支給を始めた日から通算して1年6か月間である。

支給開始日とは、待期完成後、実際に傷病手当金の支給対象となった最初の日をいい、待期期間の3日間は含まれない。

途中に就労した期間又は報酬の支給等により傷病手当金が支給されなかった期間がある場合、その期間は1年6か月に算入されず、実際に支給された期間を通算する。



【他の給付等との調整】

<報酬との調整(法108条)>

傷病手当金の支給期間中に報酬の全部又は一部を受けることができる場合は、原則として傷病手当金は支給されない。

ただし、報酬の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。


<異なる傷病に係る傷病手当金>

傷病手当金の支給期間中に、別の疾病又は負傷についても傷病手当金の支給要件を満たした場合、同一期間について傷病手当金が重複して支給されることはない。

それぞれの傷病に係る傷病手当金の額が異なる場合は、多い方の額が支給される。


<出産手当金との調整(法103条)>

出産手当金が支給される期間については、原則として傷病手当金は支給されない。

ただし、出産手当金の額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。

先に支給された傷病手当金は、出産手当金の内払とみなされる。


<障害厚生年金等との調整(法108条)>

同一の疾病又は負傷について障害厚生年金の支給を受けることができるときは、原則として傷病手当金は支給されない。

障害厚生年金と同一の支給事由に基づく障害基礎年金が支給される場合は、その合算額によって調整する。

障害厚生年金等の額を日額に換算した額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。


<障害手当金との調整(法108条)>

同一の疾病又は負傷について障害手当金の支給を受けることができるときは、傷病手当金の合計額が障害手当金の額に達するまで、傷病手当金は支給されない。


<老齢退職年金給付との調整(法108条)>

資格喪失後の継続給付として傷病手当金を受ける者が、老齢退職年金給付を受けることができるときは、原則として傷病手当金は支給されない。

老齢退職年金給付の額を日額に換算した額が傷病手当金の額より少ないときは、その差額が支給される。

被保険者である間に支給される傷病手当金については、老齢退職年金給付との調整は行われない。


<労災保険給付との関係>

業務上又は通勤による疾病若しくは負傷については、原則として労災保険から給付が行われるため、健康保険の傷病手当金の対象とはならない。


<労災保険給付等の支給状況に関する資料提供(法55条2項・法128条2項)>

保険者は、傷病手当金の支給を行うにつき必要があると認めるときは、労災保険法、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法又はこれらに基づく条例の規定により給付を行う者に対し、当該給付の支給状況について必要な資料の提供を求めることができる。



【資格喪失後の継続給付(法104条)】

<支給要件>

資格喪失日の前日までに、被保険者期間が継続して1年以上あることが必要である。

資格喪失日の前日に、現に傷病手当金の支給を受けているか、又は傷病手当金の支給を受けることができる状態にある場合は、資格喪失後も引き続き支給を受けることができる。

資格喪失後にいったん労務に服することができる状態となった場合は、その後再び同一の疾病又は負傷により労務不能となっても、継続給付は行われない。


<資格喪失後の継続給付が行われなくなる場合(法107条>

資格喪失後に傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受けていた者が、船員保険の被保険者となったときは、その継続給付は行われなくなる。



【傷病手当金の申請(則84条)】

<受給手続>

傷病手当金の支給を受けようとする者は、傷病手当金支給申請書を保険者に提出する。

申請書には、傷病名、労務に服することができなかった期間、報酬の額及び支給期間等を記載する。

事業主による勤務状況及び報酬支払状況の証明並びに医師又は歯科医師による労務不能に関する意見が必要となる。




この記事では傷病手当金についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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