労働保険事務組合
- 筒井

- 8月11日
- 読了時間: 5分
更新日:8月17日
ここでは労働保険事務組合についてお伝えします。
【労働保険事務組合の概要】
<定義>
・中小事業主や一人親方などに代わって、労働保険(労災保険・雇用保険)の事務処理を行うことを国から認可された団体。
・商工会、同業組合などが該当。
<委託できる事業主>
・原則:労働保険事務組合の主たる事務所が所在する都道府県に主たる事務所を持つ事業主
・例外:
- その都道府県に隣接する他の都道府県に主たる事務所を持つ事業主
- 厚生労働大臣が認可した「広域事務組合」の場合は、全国の事業主から委託を受けられる
<業務内容>
・労働保険の年度更新、保険料の申告・納付
・概算・確定保険料の計算
・雇用保険の資格取得・喪失届の提出
・労災保険の給付請求手続き など
<目的>
・労働保険事務の知識や人員が不足している中小事業主等の負担軽減
・保険加入の促進
<根拠条文>
・労働保険徴収法 第33条第1項
【労働保険事務組合|地域・業種の指定(指示権者)】
<概要>
・労働保険事務組合は、中小事業主等から労働保険事務の処理を委託される団体。
・委託を受けられる範囲(地域・業種)は、必要に応じて“指示”で制限・指定され得る。
<正しい規定>
・指示権者:厚生労働大臣
・内容 :当該事務組合が労働保険事務の処理を委託できる「地域」又は「業種」について、
大臣は“必要があると認めるとき”に必要な指示をすることができる。
<ポイント>
・× 都道府県労働局長 → ○ 厚生労働大臣
・指示対象は「地域」だけでなく「業種」も含む。
・趣旨:事務処理の適正確保、過度な広域受託の抑制。
【労働保険事務組合|通常組合と広域事務組合の比較】
<通常の労働保険事務組合>
・定義:中小事業主等から委託を受けて労働保険事務を処理する団体(商工会・同業組合など)
・委託できる範囲:
- 原則:主たる事務所が所在する都道府県の事業主
- 例外:隣接する都道府県の事業主も可
・認可:都道府県労働局長の管轄下で運営(ただし設立自体は厚労大臣認可)
<広域事務組合>
・定義:厚生労働大臣が特別に認可した事務組合で、複数都道府県にまたがる事業主の事務を扱える。
・委託できる範囲:
- 全国規模(都道府県の制限なし)
・対象イメージ:
- 全国チェーンに加盟する中小事業主
- 全国的に事業を展開する団体に所属する事業主
・目的:
- 広域的に事業展開する中小事業主の事務処理を一元的にサポート
<試験対策ポイント>
・通常=原則「同一都道府県」、例外「隣県まで」
・広域=全国対象(厚労大臣が特別に認可)
・設立認可は厚労大臣、地域・業種制限の指示も厚労大臣
【労働保険事務組合|委託できない大規模事業主の基準】
<基本ルール>
・労働保険事務組合に労働保険事務を委託できるのは「中小事業主」に限られる
・一定規模を超える大企業の事業主は委託できない
<業種ごとの上限人数>
・一般業種(製造業・建設業・運輸業など):常時300人超 → 委託不可
・金融業・保険業・不動産業・小売業:常時50人超 → 委託不可
・卸売業・サービス業:常時100人超 → 委託不可
<まとめポイント>
・規模が大きい事業主は「自分で事務をやりなさい」という考え方
・委託できるのは、上記の上限以下の中小規模事業主
【労働保険事務組合|委託できる事務の範囲】
<委託できる事務>
・労災保険・雇用保険の保険料の申告・納付
・雇用保険の被保険者資格の取得・喪失の届出
・雇用保険の被保険者の転入・転出の届出
・その他、雇用保険の被保険者に関する届出事務
<委託できない事務>
・労災保険の特別加入に関する申請
・労働保険料の還付請求 など
<ポイント>
・被保険者に関する届出事務(取得・喪失・転入・転出)は委託OK!
・「含まれない」と出たら誤りと判断する
【労災保険|特別加入制度】
<基本の考え方>
・労災保険は「労働者」を守る制度 → 原則は労働者のみ加入できる
・ただし、労働者と同じくらい危険にさらされる立場の人には「特別加入」を認めている
<対象者の例>
・中小事業主本人(工場やお店のオーナーなど)
・一人親方(建設業の大工さん、職人、個人タクシー運転手など)
・家族従事者(労働者ではないけど事業に従事している家族)
・海外派遣労働者(日本の会社から派遣されて海外で働く人)
<加入方法>
・個人で直接はできない
→ 必ず「労働保険事務組合」を通じて申請する
<ポイント>
・労災事故にあった場合、通常の労働者と同じ補償(療養、休業、障害、遺族給付など)が受けられる
・「労災に入っていないから補償がゼロ」になるリスクを回避できる
【労働保険事務組合|組織と認可】
<設立主体>
・「事業主の団体」が労働局長の認可を受けることで設立される
・法人でなくても、団体性(規約・役員・事務局などの体制)があれば認可可能
・例:商工会、商工会議所、業界団体など
<法人格の要否>
・法人格は不要
・任意団体でも要件を満たせば認可を受けられる
<認可権限>
・原則:都道府県労働局長が認可
・広域事務組合(県をまたいで委託を受ける組合)の場合は、厚生労働大臣の認可
<ポイント>
・「事務組合」は勝手に作れるものではなく、必ず「事業主の団体」が前提
・認可を受けて初めて「労働保険事務組合」として活動できる
この記事では労働保険事務組合についてご紹介しました。
次回に続きます!


