厚生年金保険料徴収のための事業区分
- 筒井

- 7月24日
- 読了時間: 4分
更新日:7月31日
ここでは厚生年金保険料徴収のための事業区分についてお伝えします。
【保険料の統一】
2017年9月(平成29年)〜 → 第1号(民間系)は183.00/1000で統一済(坑内員・船員も含む)
2018年9月(平成30年)〜 → 第2号(公務員)・第3号(私学)も同じく183.00/1000で統一済
第4号(船員保険)はまだ段階的に引き上げ中。 → 令和9年(2027年)4月に183.00/1000に統一予定!⛴️
話の分類 | 意味するもの | 関連分野 |
「第1号〜第4号厚生年金被保険者」 | 徴収法上の事業区分 | 厚生年金(徴収) |
「第1号〜第3号被保険者」 | 国民年金の被保険者種別(自営業・会社員など) | 国民年金 |
種別 | 内容・対象となる事業所 |
第1号 | 一般の法人・個人事業所などの普通の会社員(坑内員・船員含む) |
第2号 | 国家公務員共済組合や地方公務員共済組合など、公務員系の共済組合に加入していた者を対象とする事業主 |
第3号 | 私立学校教職員共済制度に加入する者を対象とした学校法人など |
第4号 | 船員保険の適用事業所に勤務する**船員(外航船など)**を対象とした事業主 |
【厚生年金の滞納金(延滞金・加算金)について】
<基本ルール>
・厚生年金保険料を納期限までに納付しないと、事業主に対して「延滞金」や「加算金」が課されることがある
<延滞金(利息的なペナルティ)>
・納期限から納付日までの期間に応じて課される
・金額は以下のルールで決まる:
【延滞金の割合】(令和6年7月現在の例)
- 納期限の翌日から3か月以内の期間:年7.3%(特例基準割合+1%)
- それ以降の期間:年14.6%(特例基準割合+7.3%)
・ただし、1000円未満の延滞金は切り捨て=徴収されない
<加算金(制裁的なペナルティ)>
・悪質な滞納や不正(虚偽の申告、報告遅れなど)があった場合に課される
【代表的な加算金】
① 不正加算金:保険料の40%(通常は20%)
② 過少申告加算金:保険料の10%(不正の場合は35%)
<滞納処分の流れ>
1. 納期限に納付されなかった場合 → 督促状が送付される
2. 督促状の発出から10日以内に納付がなければ → 財産の差押えなど滞納処分へ
3. 督促状には「督促手数料(300円)」が発生する
<救済措置>
・災害や業績悪化など、やむを得ない事情がある場合は、
→「納付猶予」「延滞金の一部免除」などの申請が可能
<注意ポイント>
・納期限の“翌日”から延滞金が発生する(期限日当日はセーフ)
・滞納が悪質と判断されると、通常より高い加算金が課される
・法人だけでなく個人事業主でも、対象となるので注意
【納入の告知額と実際の納付額に差がある場合】
<制度の趣旨>
・年金機構などから「保険料〇〇円を納めてください」と告知された後に納付された金額と、
実際の保険料額に差があった場合の取り扱いを定めたルール
① <納付額が告知額に満たなかった場合>
・納入の告知を受けて納付された保険料額が、告知額には満たなかったとしても、
「実際に納めるべき正しい保険料額」に達していれば、納付義務を果たしたものとみなされる
【例】
・告知額:100,000円
・正しい保険料額:95,000円
・納付額:95,000円 → 告知額には足りないが、納付義務OKとみなされる
② <納付額が告知額を超えていた場合>
・納付額が納入告知額を超えた場合、その超過分は
「納入告知をした日の翌日から6ヶ月以内に納めるべき保険料」への繰り上げ納付とみなされる
【例】
・告知額:100,000円
・納付額:120,000円(超過分20,000円)
→ その超過分は、翌日から6ヶ月以内に到来する保険料にあてられたとみなされる(先払い扱い)
<注意ポイント>
・この「繰り上げみなし」は、あくまで6ヶ月以内に納付すべき保険料に対してのみ適用
・それを超える将来分には充てられない
・超過納付分のうち、繰り上げ対象にならない場合は還付手続きが可能
<関連知識>
・事業主が多く納めすぎた場合も、ムダにはならず「先払い」として扱ってもらえる制度
・逆に、誤って少なく納めたとしても、正しい保険料に達していればペナルティにはならない
■ 厚生労働大臣の報告義務(徴収法23条)
標準報酬平均額など、厚生労働省令で定める事項について
👉 実施機関を所管する大臣に報告を行う
🎯意味:共済組合など、他省庁に関係する制度があるため、厚労大臣がデータを共有して調整を図る
📎関連:保険料率の算出や、標準報酬月額等の見直しにおいて、制度横断的な情報共有が必要
【厚生年金保険料の滞納処分と財務大臣への委任】
<概要>
厚生年金保険料の徴収に関して、滞納が長期化した場合には、
より強力な徴収手段をとるために、処分権限を財務大臣(=税務署)に委任できる制度がある。
<委任の条件>
・年金事務所(日本年金機構)が徴収を行っても納付されない場合
・滞納期間が1年以上に及んだとき
<委任の流れ>
・年金機構 → 厚生労働大臣 → 財務大臣 → 税務署(国税の徴収制度を活用)
<委任後の対応>
・税務署が国税徴収法に基づき、強制徴収(差押え等)を実施
・年金保険料も国税と同様に扱われ、回収の実効性が高まる
<法的根拠>
・厚生年金保険法
・国税徴収法の準用規定
この記事では厚生年金保険料徴収のための事業区分についてご紹介しました。
次回に続きます!


