就職促進給付
- 筒井

- 2024年8月22日
- 読了時間: 5分
更新日:8月9日
ここでは就職促進給付についてお伝えします。
●就職促進給付
就業手当・・・パート、アルバイトなどに就いた場合
再就職手当・・・正社員などの常用労働者
就職促進定着手当
常用就職支度手当・・・障害者の場合も
が給付されます。
【再就職手当】
・失業中に基本手当を受給している人が、所定の条件を満たして安定した職業に再就職した場合に支給される給付金
・早期再就職を促すため、残っている基本手当相当額の一部をまとめて支給する制度
・支給額は「残日数 × 基本手当日額 × 支給率」で計算
<再就職手当|支給率の決まり方>
・残日数が所定給付日数の3分の2以上 → 70%(10分の7)
・残日数が3分の1以上3分の2未満 → 60%(10分の6)
<今回の例>
・所定給付日数:180日
・支給残日数:140日
・3分の2の境界:180 × 2/3 = 120日
→ 140日 ≥ 120日 → 70%(10分の7)を適用
<境界のポイント>
・残日数が120日以上 → 70%(10分の7)
・残日数が119日以下 → 60%(10分の6)
<計算例>
140日 × 70% = 98日分
→ 基本手当日額 × 98 が再就職手当額
【就職促進定着手当】
<対象者>
再就職手当を受給した者で、再就職先に6か月以上雇用されている人
<支給要件>
再就職先での6か月間の賃金が、離職前の賃金より低い場合
<支給額の計算>
① 基本手当日額 × 支給残日数 × 4/10(早期再就職者は3/10)
→ 就職促進定着手当の限度額
② 低下した賃金の差額 × 6か月分
→ 実際の支給額はこの金額。ただし①の限度額が上限
<申請期限>
再就職手当支給に係る職業に就いた日から起算して6か月目に当たる日の翌日から起算して2か月以内に、
就職促進定着手当支給申請書を管轄公共職業安定所(ハローワーク)の長に提出する
<ポイント>
- 再就職手当を受けていることが前提
- 賃金低下分を補填する制度
- 限度額は支給残日数を基準に算出
【常用就職支度手当】
<概要>
・基本手当の受給資格者が、1年以上の継続雇用が見込まれる職業に就いた場合に支給される就業促進手当の一種。
・障害者にも一般受給者にも制度がある。
<支給対象>
・基本手当の受給資格者(一般・障害者)
・新たに常用雇用(1年以上の雇用見込み)に就職した者
<支給要件>
・就職日の前日における基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1未満であること
・その他、支給停止事由などに該当しないこと
<障害者の場合の特則>
・障害者雇用促進法で定める身体障害者で、1年以上継続して雇用されることが確実と認められる場合も支給対象
・残日数要件は同じく「3分の1未満」
<ポイント>
・「常用就職支度手当」は再就職手当とは別制度
・支給額は基本手当日額×支給残日数の40%
・一般・障害者ともに「1年以上の雇用見込み」+「残日数3分の1未満」がカギ
【常用就職支度手当|支給額計算の2パターン】
<所定給付日数が300日で支給残日数が60日以上の場合>
・支給額:基本手当日額 × 36日分(固定)
<所定給付日数が270日以上の場合(支給残日数は不問)>
・支給額:基本手当日額 ×(90 × 0.4)= 36日分
・計算根拠:「90日 × 4/10」
<共通点>
・どちらも結果は「基本手当日額 × 36日分」
・異なるのは条件の設定と計算式の根拠
●移転費
ハローワークの紹介した会社に就職したり、公共職業訓練を受ける場合。
鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転費・着後手当が給付されます。
<概要>
移転費は、雇用保険の受給資格者等が就職や職業訓練のために住所を移す際、その引っ越しに要した費用を補助する制度。地方から都市部へ就職のために移転する場合などが典型例。費用は距離や移転の必要性などに基づき支給される。
<対象者>
就職や職業訓練のために住所を移転した雇用保険受給資格者等。
<支給要件>
移転が就職や訓練開始に直接必要なものであり、新しい勤務先や訓練場所に通うための居住地への移転であること。
<申請期限>
移転日の翌日から起算して1か月以内。
<申請方法>
雇用保険受給資格者証等を添えて、移転費支給申請書を管轄の公共職業安定所長に提出。
受給資格通知等の交付を受けている場合は、マイナンバーカード等の本人確認書類を提示。
原則、本人が直接申請する。
<注意点>
提出期限を過ぎると原則支給されない。
支給額は距離や実際に要した費用等に基づき算定される。
●就職活動支援費
広域求職活動費・・・交通費や宿泊費の補助
短期訓練受講費・・・短期間の資格講習の費用の補助
就職活動関係役務利用費・・・子供が居る場合の保育所の育児預かり費用の補助
【再就職手当の再受給と職業促進手当の関係】
<職業促進手当とは>
・早期就職や職業訓練などを促すための給付の総称
・再就職手当、就業手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費などが含まれる
<再就職手当の再受給ルール>
・過去3年以内の就職に関して、すでに再就職手当を受けていても、所定の要件を満たせば再度受給できる場合がある
・ただし、過去3年以内の就職で「職業促進定着手当(就業手当を除く)」を受給していた場合は、再就職手当は支給されない
【就職手当・再就職手当・常用就職支度手当まとめ】
<就職手当>
・基本手当の受給資格者が、失業状態をやめて就職した場合に支給
・待期期間終了後1か月以内に就職する場合は、公共職業安定所(ハローワーク)または職業紹介事業者の紹介が条件
・パート・契約社員など安定雇用でなくても対象となる場合あり
・早期就職を促す目的
<再就職手当>
・早期に安定した職業に再就職した場合に支給
・残っている基本手当日数の一部(60〜70%)を一括で支給
・正社員など長期雇用が見込まれる職に就いた場合が対象
・早期再就職のインセンティブが目的
<両立の可否>
・就職手当と再就職手当は同時にはもらえない
・再就職手当の要件を満たした場合は、就職手当は支給されない
・制度上は「再就職手当>就職手当」で、要件の厳しい再就職手当が優先
<常用就職支度手当>
・高年齢者や障害者など就職困難者が、常用雇用(安定した職業)に就いた場合に支給
・就職困難者の雇用促進が目的
・基本手当の給付制限中に就職した場合は支給されない
この記事では就職促進給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


