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年次有給休暇

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 6月21日
  • 読了時間: 5分

更新日:10月24日

ここでは年次有給休暇についてお伝えします。



【年次有給休暇(労基法第39条)】


<概要>

使用者は、雇い入れの日から6か月以上継続勤務し、その期間の全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、

少なくとも10日の年次有給休暇を与えなければならない。

(年休は分割取得も可能)


<付与の基本要件>

・雇入れの日から6か月継続勤務していること

・その期間の全労働日の8割以上出勤していること


<フルタイム扱いとなる労働者>

・週の所定労働日数が5日以上

 または

・週の所定労働時間が30時間以上

→ フルタイム労働者と同様に年休が付与される

(初回10日、以降は勤続年数に応じて段階的に増加)


<比例付与の対象となる労働者>

・週の所定労働日数が4日以下

かつ

・週の所定労働時間が30時間未満

→ 「比例付与表」に基づき、出勤日数に応じて付与される

(例:週2日勤務 → 6か月継続勤務で3日付与)


<ポイント>

・「6か月」「8割出勤」「10日付与」は基本3点セットで覚える

・比例付与は短時間・短日勤務者への特例

・有給は労働者の権利であり、使用者の承認ではなく“請求により取得可能”

・使用者は時季変更権を行使できるが、事業の正常な運営を妨げる場合に限られる


<付与日数>

継続勤務期間

付与日数

6ヶ月

10日

1年6ヶ月

11日

2年6ヶ月

12日

3年6ヶ月

14日

4年6ヶ月

16日

5年6ヶ月

18日

6年6ヶ月

20日(最大)


【年次有給休暇(比例付与)】


<概要>

パートタイム労働者など、勤務日数が少ない労働者には、

勤務日数・労働時間に応じて「比例して」年次有給休暇が付与される。

(フルタイム労働者と比べて少なめの日数が与えられる)


<比例付与の対象者>

次のいずれかに該当する労働者が対象となる。

・週の所定労働日数が4日以下

・所定労働時間が週30時間未満

 (目安:年間勤務日数が216日以下)


<比例付与の仕組み>

・出勤日数に応じて付与日数が段階的に定められている(比例付与表に基づく)

・6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した場合に付与される

・以降、勤続年数に応じて付与日数が増加


<ポイント>

・比例付与は短日・短時間勤務者の年休を公平にする制度

・「6か月」「8割出勤」はフルタイムと同じ要件

・比例付与表の詳細な日数は、週2日勤務=おおむね3日付与の感覚で理解しておくとよい

・フルタイム基準(週5日または30時間以上)との対比で覚えると整理しやすい


<週4日以下・年間216日以下(所定労働時間30時間未満)の比例付与日数>

継続勤務期間

付与日数

6ヶ月

7日

1年6ヶ月

8日

2年6ヶ月

9日

3年6ヶ月

10日

4年6ヶ月

12日

5年6ヶ月

13日

6年6ヶ月

15日(最大)


<週3日以下・年間168日以下の場合の比例付与日数>

継続勤務期間

付与日数

6ヶ月

5日

1年6ヶ月

6日

2年6ヶ月

6日

3年6ヶ月

8日

4年6ヶ月

9日

5年6ヶ月

10日

6年6ヶ月

11日(最大)


<週2日以下・年間120日以下の場合の比例付与日数>

継続勤務期間

付与日数

6ヶ月

3日

1年6ヶ月

4日

2年6ヶ月

4日

3年6ヶ月

5日

4年6ヶ月

6日

5年6ヶ月

6日

6年6ヶ月

7日(最大)


<週1日以下・年間72日以下の場合の比例付与日数>

継続勤務期間

付与日数

6ヶ月

1日

1年6ヶ月

2日

2年6ヶ月

2日

3年6ヶ月

2日

4年6ヶ月

3日

5年6ヶ月

3日

6年6ヶ月

3日(最大)



【年次有給休暇の運用ルールまとめ】


<時季指定と時季変更権>

・労働者は、自分の希望する日に年次有給休暇の取得を請求できる(時季指定権)。

・使用者は、原則としてその日に年休を与えなければならない。

・ただし、事業の正常な運営を妨げる場合には、

 使用者は「その日は業務上支障があるため別の日にしてほしい」と変更を求めることができる。

→ これを「時季変更権」という。

(ただし、変更先は使用者が一方的に指定するのではなく、労働者との調整が前提)


<時季指定による付与義務(使用者側の義務)>

・使用者は、年休が10日以上付与される労働者に対して、

 そのうち少なくとも5日については、

 基準日から1年以内の期間内に「時季を指定して」与えなければならない(労基法第39条第7項)。

・これを「年5日取得義務」と呼ぶ。

・5日分の付与方法は、労働者の希望日・計画年休・使用者指定のいずれでも可。

・この5日については、使用者の時季変更権は行使できない。


<時間単位年休(労基法第39条第6項・施行規則第24条の7)>

・労使協定を締結すれば、年5日の範囲内で「時間単位の年休取得」が可能。

・時間単位で取得した年休は「年5日取得義務」のカウントに含まれない。

 → 別途1日単位で5日の年休取得が必要。

・時間単位で与える場合、労使協定で次の事項を定める(施行規則第24条の7)。

 ① 時間単位で与えることができる年休の日数

 ② 時間単位年休1日の時間数

 ③ その他厚生労働省令で定める事項

・時間単位年休の最小単位は「1時間」。

一時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、

 その時間数は「1日の所定労働時間数に満たないものとする」(施行規則第24条の7第4項)。

1日の時間数は「当該労働者の1日の所定労働時間数を下回らない」ことが原則。

 (根拠:厚生労働省労働基準局長通達・平成22年9月9日付/基発0909第3号)


<基準日より前倒し付与>

・使用者が法定の基準日より前に10日以上の年休を付与した場合、

 その日を起算点として、1年以内に5日の年休を取得させる義務が発生する。

→ 前倒し付与でも「年5日取得義務」は免除されない。


<その他の留意点>

・生理休暇は、年次有給休暇とは別の法定休暇であり、年休とはみなされない。

・年次有給休暇の権利は、取得可能日から2年で時効により消滅する(労基法第115条)。

・時間単位年休制度の導入時は、労使協定の締結・届出・管理簿の整備が必要。


<ポイント>

・「6か月+8割出勤+10日付与」→年休発生条件

・「年5日取得義務」→使用者の管理責任

・「時季変更権」→業務支障時のみ可

・「時間単位年休」→1時間単位/年5日以内/1日の所定労働時間を下回らない




この記事では年次有給休暇についてご紹介しました。

次回に続きます!











 


 
 

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