★業務災害・複数業務要因災害・通勤災害
- 筒井

- 11月19日
- 読了時間: 3分
更新日:11月21日
ここでは業務災害・複数業務要因災害・通勤災害についてお伝えします。
【業務災害】
<業務災害の基本>
労働者が業務の遂行中に負傷・発病・障害・死亡した場合に業務災害となる。
必要なのは次の2点。
・業務遂行性
・業務起因性
<業務遂行性が認められる例>
作業中、事業主の指示による中断中、準備・後始末、緊急避難・救護、
事業場内待機、出張中の移動、通勤途中の業務性がある場合、
運動競技会で業務性が認められる場合など。
<業務起因性>
業務による危険が具体化して災害が発生したと認められること。
<業務上の負傷・疾病の再発>
業務上の負傷や疾病がいったん治癒して療養の必要がなくなった後でも、
その負傷・疾病が再発し、元の負傷・疾病との連続性がある場合は、
新たな業務上災害とは扱われず、引き続き保険給付の対象となる。
(根拠:法7条1項1号、S23.1.9 基災発13号)
【業務上疾病】
<規定場所>
業務上疾病は「労働基準法施行規則 別表第1の2」に規定されている。
<注意ポイント>
× 労災保険法に規定
× 労働基準法に規定
○ 労働基準法施行規則 別表第1の2(正解)
<脳・心臓疾患(別表第1の2 第8号)>
長期間の過重負荷により血管・心臓系に著しい負担が生じて発症。
主な列挙疾病:
脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、
心停止(心臓性突然死)、重篤な心不全、大動脈解離、付随する疾病。
【複数業務要因災害】
<基本>
複数の事業の業務が重なり心理的負荷等が累積し、
明らかに業務起因と認められる場合に成立する。
【複数事業労働者の認定基準(原因発生時点で判断)】
<概要>
労災保険における「複数事業労働者」は、
負傷・疾病・障害・死亡の原因または要因となる事由が
生じた時点において、
事業主が同一でない2つ以上の事業に使用されていた労働者をいう。
<重要ポイント>
・判定時点は「事故や疾病の原因・要因が生じたとき」。
・“発生が確定した日”ではなく、“原因が生じた瞬間”が基準。
・その時点で複数の事業主に使用されていれば、複数事業労働者に該当。
・複数事業労働者に該当すると、給付基礎日額などが特例的に扱われる。
<根拠条文>
・労働者災害補償保険法1条
・労災保険法7条1項2号
・令和2年8月21日基発0821第2号
【通勤災害の基本】
<通勤の定義>
住居と就業の場所の往復、またはこれに先行・後続する住居間の移動で
合理的な経路・方法によるもの。
業務の性質を有するものは除外。
<通勤の範囲>
・住居→会社
・第1の就業場所→第2の就業場所
・単身赴任先住居↔帰省先住居(要件あり)
<合理的経路>
社会通念上一般に利用される経路。無駄な遠回りは含まれない。
【逸脱・中断】
<原則>
合理的経路から逸脱・中断した間は通勤と認められない。
<例外>
日常生活に必要、かつやむを得ず行う最小限度の行為は
逸脱・中断「後」については通勤に戻る。
<日常生活に必要な行為の例>
日用品購入、職業訓練校通学、病院治療、選挙投票、
要介護状態の親族の介護行為。
【通勤による疾病】
<定義>
通勤による疾病は、労災保険法施行規則において
・通勤による負傷に起因する疾病
または
・その他通勤に起因することの明らかな疾病
と規定されている。
この記事では業務災害・複数業務要因災害・通勤災害についてご紹介しました。
次回に続きます!


