療養(補償)等給付
- 筒井

- 11月21日
- 読了時間: 3分
ここでは療養(補償)等給付についてお伝えします。
【療養(補償)等給付】
<趣旨>
業務災害・通勤災害によって負傷または疾病となった労働者が、
必要な治療を確実に受けられるようにするための給付。
<原則:療養の給付(現物給付)>
・政府が指定病院等で必要な療養を現物で行わせる方式。
・窓口負担は原則不要。
・療養内容は「政府が必要と認めるもの」に限られる。
<例外:療養費(費用支給)>
・療養の給付を受けることが困難な場合(救急搬送など現物給付ができない場合)
・または、療養の給付を受けないことについて労働者に相当の理由がある場合
・これらの場合は、労働者が立て替えて支払った費用を、後日政府が支給する。
(例)
・事故直後で指定病院が近くにない
・救急搬送で指定病院以外へ運ばれた
・医師の判断により緊急処置が必要だった場合
<指定病院等>
・都道府県知事が指定した病院・診療所
・訪問看護事業者
<給付の範囲>
薬剤、手術、処置、入院、看護、移送など
→すべて「政府が必要と認めた範囲」に限られる。
<移送費>
・医師の意見に基づき、移送の必要性が認められた場合に支給。
<支給期間>
治ゆまたは死亡まで。
<ポイント>
・現物給付が大原則
・療養費の請求は労基署へ直接
・通勤災害に限り一部負担金が必要
・治ゆ=医学的症状固定であり、完治とは限らない
【一部負担金(徴収金)のルール】
<一部負担金の原則>
・政府は、療養給付を受ける労働者(一定の者を除く)から、
1回につき200円を一部負担金として徴収する。
・健康保険法に規定する日雇特例被保険者の場合は100円。
<実費が基準額に満たない場合>
・現に療養に要した費用の“実費額”が200円(または100円)未満のときは、
実費額のみ徴収する。
<複数事業労働者について>
・複数業務要因災害に関する“複数事業労働者療養給付”では、
一部負担金を徴収しない。
<第三者行為の場合(今回の追記部分)>
・第三者の行為によって発生した事故により療養給付を受ける者からは、
一部負担金を徴収しない。
(政府が後で加害者に求償できるため、本人から取らないルール)
<根拠>
法31条Ⅱ、則44条の2Ⅱ ほか
【療養(補償)等給付|まとめ】
<趣旨>
業務災害・通勤災害で負傷または疾病となった労働者が、
必要な治療を速やかに受けられるようにする給付。
<療養の給付(現物給付:原則)>
・根拠:法12条の8、則12条
・内容:政府が指定病院等で療養を現物で行わせる方式
・窓口負担なし
・手続:指定病院等 → 労基署へ経由提出(病院が提出)
<療養費(費用支給:例外)>
・根拠:則13条
・内容:指定病院等以外で受療した「相当の理由」がある場合に認められる
・労働者が立替えた費用を後日政府が支給
・手続:労働者本人 → 労基署へ直接提出(病院は経由しない)
<相当の理由の例>
・事故直後で指定病院が近くにない
・緊急搬送で指定外に運ばれた
・医師が必要な処置を優先した など
<給付の範囲>
薬剤、手術、処置、入院、移送など
→ 政府が必要と認めるものに限る
<移送費>
医師の意見に基づき、移送が必要と認められる場合に支給
<一部負担金>
・業務災害:徴収あり(200円、日雇特例は100円)
・通勤災害:徴収あり(同じ金額)
※誤解しやすいが「通勤だけ」ではなく業務災害も負担金あり
<支給期間>
治ゆまたは死亡まで
<療養費請求に必要な事業主証明>
必要な証明(則120条2・3):
1 負傷または発病の年月日
2 災害の原因および発生状況
(診療内容については医師の証明が必要)
<ポイント>
・原則は現物給付、療養費はあくまで例外
・現物は病院経由、費用支給は本人が直接
・一部負担金は業務災害・通勤災害ともに必要
この記事では療養(補償)等給付についてご紹介しました。
次回に続きます!


