■確定給付企業年金法
更新日:8月10日
ここでは確定給付企業年金法についてお伝えします。
【確定給付企業年金法の全体像】
<制度の特徴>
・給付額があらかじめ約束される確定給付型の企業年金制度である。
・運用リスクは事業主側が負担する。
・加入者及び受給権者の受給権保護が重視されている。
【確定給付企業年金の種類】
<規約型企業年金 法3条>
・労使の合意により年金規約を作成する。
・事業主が信託会社、生命保険会社等の外部機関と契約し、年金資産を外部に積み立てる。
・厚生労働大臣の承認を受けて実施する。
<基金型企業年金 法3条>
・企業年金基金という法人を設立する。
・企業年金基金が年金資産の管理及び給付を行う。
・厚生労働大臣の認可を受けて実施する。
【実施手続】
<実施手続 法3条>
・事業主は、労働組合がある場合は当該労働組合、労働組合がない場合は被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意を得て、年金規約を作成する。
・規約型企業年金を実施する場合は、厚生労働大臣の承認を受ける。
・基金型企業年金を実施する場合は、厚生労働大臣の認可を受けて企業年金基金を設立する。
【企業年金基金】
<設立要件>
・単独の事業主又は複数の事業主が共同して設立することができる。
・将来にわたり常時300人以上の加入者を有することが見込まれることが必要である。
<構成>
・企業年金基金は、事業主及び加入者をもって組織する。
<役割>
・企業年金基金は、基金型企業年金を実施する主体として、事業主から掛金を受け入れ、積立金の管理及び運用を行い、加入者及び受給権者に老齢給付金等を支給する。
・企業年金基金は、個々の企業又は複数の企業が設ける確定給付企業年金を運営する組織である。
<基金の分割 法77条>
・企業年金基金は、分割しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
・基金の分割は、実施事業所の一部について行うことはできない。
<基金の解散 法85条1項>
・企業年金基金は、代議員会において代議員の定数の4分の3以上の多数により議決したとき、又は基金の事業の継続が不可能となったときは、厚生労働大臣の認可を受けて解散することができる。
【企業年金連合会】
<設立・目的 法91条の2>
・事業主(基金型企業年金を実施する場合は企業年金基金)は、確定給付企業年金の中途脱退者及び終了制度加入者等に係る老齢給付金の支給を共同して行うとともに、積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会を設立することができる。
・企業年金連合会は、全国を通じて1個とする。
・企業年金連合会を設立するには、その会員となろうとする20以上の事業主等が発起人とならなければならない。
<役割>
・企業年金連合会は、退職等により確定給付企業年金を途中で脱退した者や、制度の終了により加入者でなくなった者の年金原資を引き継ぎ、将来、老齢給付金を支給する。
・転職や退職によって元の企業年金制度を離れた者の積立金を受け入れ、企業年金の受給につなげる役割を有する。
・各企業の企業年金制度そのものを運営する企業年金基金とは異なり、企業年金連合会は、主として中途脱退者等の年金原資を通算し、将来の年金を支給するための全国共通の組織である。
【事業主の義務】
<事業主の義務>
・事業主は、法令、法令に基づいてする厚生労働大臣の処分及び年金規約を遵守しなければならない。
・事業主は、加入者等のため忠実にその業務を遂行しなければならない。
・事業主は、自己又は加入者等以外の第三者の利益を図る目的をもって、資産管理運用契約を締結してはならない。
【加入者】
<加入者 法2条3項・25条>
・原則として、実施事業所に使用される厚生年金保険の被保険者が加入者となる。
・確定給付企業年金法における「厚生年金保険の被保険者」とは、第1号厚生年金被保険者及び第4号厚生年金被保険者をいう。
・第1号厚生年金被保険者とは、民間企業等に使用される一般の厚生年金保険の被保険者をいう。
・第4号厚生年金被保険者とは、私立学校教職員共済制度の加入者である私立学校の教職員等をいう。
・したがって、第4号厚生年金被保険者である私立学校の教職員等も、確定給付企業年金の加入者となることができる。
・年金規約により、一定の資格を定めて加入者の範囲を限定することができる。
・加入者の資格について、不当に差別的な取扱いをしてはならない。
【給付】
<給付の種類 法29条>
・確定給付企業年金は、老齢給付金及び脱退一時金の給付を行う。
・年金規約で定めることにより、障害給付金及び遺族給付金の給付を行うことができる。
【年金給付】
<支給方法・支給期間 法33条>
・年金給付は、終身又は5年以上にわたり支給するものでなければならない。
<保証期間 法33条>
・保証期間を定める場合は、20年以内でなければならない。
<支払期月 法33条>
・年金給付は、毎年1回以上、定期的に支給するものとして規約で定めなければならない。
【老齢給付金 法36条】
<支給開始要件>
・老齢給付金は、次のいずれかに該当したときに支給される。
①60歳以上70歳以下の規約で定める年齢に達したとき
②50歳以上で加入者の資格を喪失し、規約で定める要件を満たしたとき
<加入者期間に関する制限>
・規約において、20年を超える加入者期間を老齢給付金の給付を受けるための要件として定めてはならない。
【脱退一時金(法41)】
<要件>
・死亡以外で資格喪失
・規約で定めた要件を満たす
<制限>
・加入期間3年超を要件にすることは禁止
【確定給付企業年金の掛金】
<掛金の拠出 法55条1項・2項>
・事業主は、給付に要する費用に充てるため、規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に掛金を拠出しなければならない。
・規約で定めるところにより、加入者が掛金の一部を負担することができる。
<掛金の額 法55条3項・57条>
・掛金の額は、規約で定めるところにより算定する。
・掛金の額は、給付に要する費用の額の予想額及び予定運用収入の額に照らし、厚生労働省令で定めるところにより、将来にわたって財政の均衡を保つことができるように計算しなければならない。
<財政再計算 法58条>
・事業主等は、少なくとも5年ごとに、掛金の額を再計算しなければならない。
・加入者数が著しく変動した場合その他厚生労働省令で定める場合にも、掛金の額を再計算しなければならない。
<実施事業所の一部について増加・減少させる場合 法78条1項>
・事業主等が、その実施事業所の一部について確定給付企業年金を実施する事業所を増加させ、又は減少させようとするときは、その増加又は減少に係る厚生年金適用事業所の事業主の全部の同意及び労働組合等の同意を得なければならない。
・「事業主の過半数の同意」ではなく、「事業主の全部の同意」が必要である。
【積立金(法59)】
・毎事業年度末に積立しなければならない。
・積立金の額は、加入者及び加入者であった者に係る責任準備金の額及び最低積立基準額を下回らない額でなければならない。
・毎事業年度の末日とは、各事業年度の最終日をいい、その時点における積立金の額が必要な水準に達しているかを確認する。
・責任準備金とは、制度が今後も継続することを前提として、将来の給付に必要と見込まれる額から、将来収入が見込まれる標準掛金の額を控除するなどして算定する積立必要額である。
・最低積立基準額とは、その事業年度の末日に制度が終了したと仮定した場合に、加入者及び加入者であった者がその時点までに獲得した給付を確保するために必要となる最低限の積立額である。
・積立金の額は、加入者及び加入者であった者に係る責任準備金の額及び最低積立基準額を下回らない額でなければならない。
【確定給付企業年金の終了・残余財産】
<残余財産の分配 法89条6項>
・終了した確定給付企業年金の残余財産は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、その終了した日において当該確定給付企業年金を実施する事業主等が給付の支給に関する義務を負っていた者に分配しなければならない。
・確定給付企業年金が終了した後の残余財産についても、「事業主等」が給付の支給に関する義務を負っていた者を基準として分配対象者が定められる。
※「終了した制度なのに事業主等?」と見えるが、法89条6項自体が「その終了した日において当該確定給付企業年金を実施する事業主等が給付の支給に関する義務を負っていた者」と規定している。
【運用】
・基本方針を作成
・安全かつ効率的に運用
【重要比較(超頻出)】
<確定給付>
・給付額確定
・事業主リスク
・規約型or基金型
<確定拠出>
・拠出額確定
・加入者リスク
・企業型or個人型
この記事では確定給付企業年金法についてご紹介しました。
次回に続きます!
