育児休業給付金②
- 筒井

- 8月13日
- 読了時間: 4分
ここでは育児休業給付金についてお伝えします。
■育児休業給付金(特例・手続き)
算定基礎
前倒し
1年未満取得
面談が必要
【育児休業給付金と算定基礎期間の関係】
<算定基礎期間とは>
・雇用保険の基本手当(失業手当)の所定給付日数を決めるために計算する被保険者期間。
・過去の被保険者期間の合計月数をもとに、90日・120日・150日…などの給付日数が決定される。
<育児休業給付金支給期間の扱い>
・「育児休業給付金の支給に係る休業期間」は算定基礎期間に含めない。
・育休期間中は被保険者であっても算定基礎期間の月数からは除外される。
<影響>
・算定基礎期間の月数が短くなり、所定給付日数が短縮される場合がある。
例:本来150日 → 育休除外後は120日
・結果として失業手当の受給総額が減る可能性がある。
<背景・理由>
・育児休業給付金は育休中の生活保障を目的として既に一定の収入補填を行っているため、
同じ期間を失業手当の算定に重複して加えることを避けるため。
・制度の趣旨が異なるため、給付金を受けていた期間は「失業していた期間」とみなされない。
<まとめ>
・育児休業給付金を受給した期間は算定基礎から引かれるため、失業手当の給付日数が短くなる場合がある。
・ただし、金額的には育児休業給付金の方が多くなるケースが多く、必ずしも損になるわけではない。
【育児休業開始日の前倒し(1回限り)ルール】
<根拠条文>
・育児介護休業法第5条第1項、育介法施行規則
・申出後に開始日を早められるのは「1回限り」
<内容>
・労働者が育児休業の申出をした後、厚生労働省令で定める事由が発生した場合には、
育児休業開始予定日を「1回限り」前倒しできる
・変更期限は、変更後の開始予定日の前日まで
<厚労省令で定める事由(例)>
・子が予定日より早く出生した
・その他、やむを得ない事情(災害や本人・家族の健康上の理由等)
<対象となるケース>
・産前から育児休業の申出をしている場合(多くは産休後すぐ育休に入る想定)
・産後に育児休業の申出をしている場合(開始日が後ろに設定されているケース)
<なぜ産前申出が多いのか>
・出産予定日がずれることが多く、事務処理の手間を減らすため
・産休後すぐ育休に入る場合、職場に行けない期間が長いため
・産休と同時にまとめて申請するほうが事務処理がスムーズ
<産前申出と産後申出の違い>
・産前申出:出生予定日が変わると、開始日の前倒しが必要になることがある → この場合に1回限りの変更ルールが適用
・産後申出:出産日が確定してから申請するため、前倒し変更の必要性は低い
【育児休業・介護休業の取得要件(1年未満雇用の場合)】
<共通ルール>
・以前は「同じ事業主に引き続き1年以上雇用されていること」が取得要件だったが、令和4年4月に廃止。
・契約期間が1年未満でも、以下の条件を満たせば取得可能。
<取得可能となる条件>
・休業開始予定日から起算して93日経過時点で、
・その後6か月以内に労働契約が満了することが明らかでない(更新される可能性がある)。
<労使協定による除外>
・労使協定を締結すれば、
「当該事業主に引き続き雇用された期間が1年未満の労働者」を
育児休業・介護休業の対象から除外できる。
・無期雇用労働者でも同様に除外可能。
<根拠条文>
・育児・介護休業法 第11条第1項(介護)
・同法 第6条第1項(育児)
【育児休業申出時の事業主の義務】
<対象となる場合>
・労働者本人、またはその配偶者が妊娠・出産(またはそれに準ずる事実)したとき
・労働者から、その事実について厚生労働省令で定める方法で申出があった場合
<事業主が行うべき措置>
・厚生労働省令で定める方法により、当該労働者に対し以下を実施
1. 育児休業に関する制度その他の厚生労働省令で定める事項を知らせる
2. 育児休業申出等に係る労働者の意向を確認するための
- 面談
- その他の厚生労働省令で定める措置
(※「面談等」による意思確認が必要)
<ポイント>
・制度内容の通知だけでは不十分
・必ず労働者の意向確認まで行うこと
・「面談等」は直接対面に限らず、厚生労働省令で認められる方法で可
この記事では育児休業給付金についてご紹介しました。
次回に続きます!


