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規制の対象になる物質

  • 執筆者の写真: 筒井
    筒井
  • 2024年8月22日
  • 読了時間: 6分

更新日:11月7日

ここでは規制の対象になる物質についてお伝えします。



【製造禁止物質(労働安全衛生法 第55条)】


<概要>

労働者の健康に重大な障害を引き起こすおそれのある化学物質については、

厚生労働大臣が定めるものに限り、その「製造・輸入・譲渡・提供・使用」が禁止されている。

この制度は、極めて有害な物質を職場から排除し、発がんや中毒などの健康障害を未然に防止することを目的としている。


<根拠>

労働安全衛生法 第55条(製造等の禁止)

→ 厚生労働大臣は、労働者の生命や健康を著しく害するおそれがある物質について、

 政令で定める範囲内でその製造・輸入・譲渡・提供・使用を禁止できると定めている。


<製造・輸入が禁止されている主な物質>

1 黄りんマッチ

2 ベンジジン及びその塩

3 4-アミノジフェニル及びその塩

4 石綿(アスベスト)

5 4-ニトロジフェニル及びその塩

6 ビス(クロロメチル)エーテル

7 β-ナフチルアミン及びその塩

8 ベンゼンを含有するゴムのり


これらはすべて「強い発がん性」や「重度の健康障害」を引き起こす物質であり、

人の健康に及ぼす影響が極めて深刻なため、製造・輸入・使用が全面的に禁止されている。


<補足>

・一部の物質(ベンゼンなど)は、含有量が一定基準を超える場合のみ禁止対象となる。

・研究や分析など、例外的に必要な場合は厚生労働大臣の許可を得て使用が認められる場合がある。


<目的>

・強い毒性・発がん性をもつ物質を職場から排除し、健康障害を未然に防止する。

・製造・流通段階で危険物質を根絶し、労働環境全体の安全性を確保する。


<ポイント>

・「製造・輸入・譲渡・使用」すべて禁止。

・厚生労働大臣が指定する物質のみが対象。

・石綿(アスベスト)やベンジジンなど、発がん性・毒性が強いものが中心。

・含有量により適用範囲が異なる場合がある。



【製造許可物質(労働安全衛生法 第56条)】


<概要>

強い毒性や発がん性など、重度の健康障害を生じるおそれのある化学物質については、

厚生労働大臣の「製造許可」を受けなければ製造することができない。

製造禁止物質(第55条)ほど危険度は高くないが、慎重な管理が求められる物質群である。


<根拠>

労働安全衛生法 第56条(製造の許可)

→ 労働者の健康を害するおそれのある物質のうち、政令で定めるものについては、

 厚生労働大臣の許可を受けた場合に限り製造を行うことができる。


<製造に許可が必要な主な物質>

1 ジクロルベンジジン及びその塩

2 アルファ-ナフチルアミン及びその塩

3 塩素化ビフェニル(PCB)

4 オルト-トリジン及びその塩

5 ジアニシジン及びその塩

6 ベリリウム及びその化合物

7 ベンゾトリクロリド


※各物質については含有量によって規制の適用範囲が異なる。


<制度の目的>

・発がん性や慢性中毒など、長期的な健康障害を防止する。

・製造段階から取り扱いを厳格に管理する。

・厚生労働大臣による事前審査・許可を通じ、安全な取り扱い体制を確保する。


<許可の条件>

・作業環境、排気設備、防護具の整備など、安全基準を満たすこと。

・作業従事者への特別な健康診断や教育を実施すること。

・許可を受けた製造施設・工程に限定して製造を行うこと。


<禁止物質(法55条)との違い>

・禁止物質:製造そのものが全面禁止(厚生労働大臣の許可も不可)。

・許可物質:条件付きで製造が可能(厚生労働大臣の許可が必要)。

→ 危険性の度合いに応じて法的扱いが区分されている。


<ポイント>

・「厚生労働大臣の許可」がないと製造できない。

・輸入や販売は別途規制あり。

・許可条件を満たさない場合、製造



【労働安全衛生法|有害物取扱い・許可免除ルール】


<基本ルール>

・特定化学物質、粉じん、有機溶剤など有害物を扱う場合、原則として厚生労働大臣への許可・届出が必要。

・ただし「健康障害を生ずるおそれがない」と認められるときは免除される。


<免除条件>

・厚生労働大臣が定める基準により、作業者が有害物にばく露されても健康障害を生ずるおそれがない場合。

 (例:濃度が管理濃度以下、密閉化や換気などの防止措置が徹底されている場合)


<具体的適用場面>

・特定化学物質の製造・取扱いの許可申請が不要となる。

・有害物の届出(製造・取扱い事業場の報告など)が不要となる。

・ばく露防止義務の規制対象から除外されることがある。


<注意点>

・「おそれがない」とするには客観的な測定や評価が必須。

・基準を超える可能性がある場合や管理が不十分な場合は免除不可。

・判断は厚生労働大臣の定める基準(告示等)に従う。



【表示対象物および通知対象物に関する調査・措置義務(労働安全衛生法 第57条の2・3)】


<概要>

事業者は、表示対象物および通知対象物について、

その危険性または有害性等の調査を行い、

その結果に基づき、労働者の危険または健康障害を防止するための措置を講ずる義務を負う。


<調査義務(第57条の2)>

・表示対象物および通知対象物の危険性・有害性等を調査することが義務付けられている。

・調査の目的は、労働者の安全と健康を確保するために、

 取り扱う化学物質の性質や影響を把握し、適切な管理を行うことにある。


<対象>

・表示対象物:労働安全衛生法施行令別表第9に掲げる物質

・通知対象物:厚生労働大臣が定めるもの(リスクアセスメント義務対象)


<内容>

・製造・取り扱いの際に、危険性(爆発性・引火性など)や有害性(健康への影響など)を調査。

・いわゆる「リスクアセスメント」を実施することが求められる。


<措置義務・努力義務(第57条の3)>

・調査の結果に基づき、労働安全衛生法令の規定に従って

 必要な措置を講ずることは「義務」である。

・また、労働者の危険または健康障害を防止するために

 必要な措置を講ずるよう努めなければならない(努力義務)。


<区分>

・危険性・有害性等の調査 → 義務

・結果に基づく措置(法令による) → 義務

・健康障害防止のための自主的措置 → 努力義務


<関連>

・化学物質のリスクアセスメント制度の中核条文。

・結果に基づき、換気・保護具・作業方法改善などの措置を行う。

・第57条の4(新規化学物質の有害性調査と届出)とあわせて出題されやすい。


<重要ポイント>

・義務の主体は「事業者」

・第57条の2と3は「調査 → 結果に基づく対策」の一連の流れ

・努力義務も問われやすいので要注意



【容器への表示義務(労働安全衛生法 第57条)】


<概要>

事業者は、政令で定める物(表示対象物)を容器に入れ、 かつ包装して譲渡し、または提供する場合には、 主として一般消費者の生活の用に供するものを除き、 その容器に一定の事項を表示しなければならない。


<目的>

化学物質などの危険性・有害性を明確にし、

取り扱う労働者が事故や健康障害を防止できるようにするため。


<表示義務の対象>

・労働安全衛生法施行令で定める「表示対象物」

(例:一酸化鉛、硫酸、アクリロニトリルなど)


<表示内容>

・名称

・成分の含有量

・危険性または有害性に関する事項

・取扱上の注意 など


<例外>

・主として一般消費者の生活の用に供する製品は除外される。


<関連>

・第57条の2(危険性・有害性の調査義務)とセットで出題されやすい。

・表示対象物の範囲は施行令第18条に規定されている。


<重要ポイント>

・「容器に入れ、包装して譲渡・提供する」ときに義務発生

・「一般消費者向け製品」は表示義務の例外




この記事では規制の対象になる物質についてご紹介しました。

次回に続きます!










 


 
 

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