遺族基礎年金
- 筒井

- 8月2日
- 読了時間: 4分
更新日:8月18日
ここでは遺族基礎年金についてお伝えします。
●遺族基礎年金
<支給対象者>
・原則として「子のある配偶者」または「子」
・ここでの「子」は18歳到達年度末まで(障害児は20歳未満まで)
・生計を一にしていた母や子が対象になる
<支給要件(基本パターン)>
・死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、
納付済期間+免除期間が全体の3分の2以上あること
または
・死亡日の直前1年間に保険料の未納(滞納)がないこと
・死亡した者が老齢基礎年金の受給権者であった場合、
納付済期間・免除期間・合算対象期間の合計が25年以上であること
<年金額(2024年度基準)>
・基本額:780,900円 × 改定率(物価スライド)
<加算額(子の加算)>
・第1子・第2子:各224,700円 × 改定率
・第3子以降:各74,900円 × 改定率
※加算は18歳年度末まで(または20歳未満の障害状態)
<胎児がいた場合の取り扱い>
・死亡当時に胎児だった子は、「出生後14日以内」に届出をすれば対象に含まれる
<備考>
・子のない配偶者には支給されない(寡婦年金や死亡一時金の対象となる可能性あり)
・年金額は毎年度改定されるため、最新の改定率に注意
【寡婦年金】
<支給要件>
・死亡者が「第1号被保険者」として保険料納付済期間+免除期間が【合計10年以上】あること
・死亡当時、老齢基礎年金の受給資格を満たしていたが、実際には受給していなかった者
・死亡者と10年以上継続して婚姻関係にあり、かつ生計を維持されていた【65歳未満の妻】であること
・妻が遺族基礎年金を受けることができない場合に限る
<支給内容>
・年額:死亡者が受けられたはずの老齢基礎年金の【4分の3】相当額
・支給期間:妻が【60歳から65歳になるまで】(65歳以降は老齢基礎年金へ切替)
<国庫負担>
・寡婦年金は国庫負担の対象
・国庫負担割合は【1/4】(=25%)(国庫負担まとめ)
<注意点>
・寡婦年金を受けている期間は、老齢基礎年金の繰上げ請求はできない
・事実婚は対象外(戸籍上の婚姻に限る)
・夫が受給資格を満たしていない場合、寡婦年金は支給されない
【寡婦年金が「第1号被保険者」に限定される理由】
<そもそも寡婦年金って?>
・夫が国民年金の第1号被保険者だった場合に、その妻が遺族基礎年金を受けられないときに支給される救済給付
・対象となるのは、自営業・農業・無職などで厚生年金に加入していなかった人が多い
<なぜ第1号限定?>
・厚生年金に加入していた人(=第2号)は、死亡したとき遺族厚生年金が支給される制度がある
・だから、わざわざ「寡婦年金」のような特別な制度を用意しなくても遺族の生活保障ができる
<つまり>
・寡婦年金は、厚生年金などの“手厚い遺族保障”を受けられない「第1号被保険者の妻」を救済する目的
・だから、第2号や第3号の配偶者は対象外
<具体例>
・Aさん(自営業/第1号)が老齢年金を受け取る前に死亡
・妻は60歳、遺族基礎年金は子どもがいないからもらえない
→ このとき「寡婦年金」で生活支援!
・Bさん(会社員/第2号)が死亡
→ 妻には「遺族厚生年金」が出るので、寡婦年金は対象外
【国民年金|第1号・第3号被保険者の死亡による資格喪失日】
<原則>
・第1号被保険者または第3号被保険者が死亡した場合、
→ 死亡した日の「翌日」に、被保険者の資格を喪失する。
<理由>
・国民年金の被保険者資格は「日単位」で管理されており、
死亡日までは生存していたとみなされるため。
<具体例>
・8月3日に死亡 → 8月4日が資格喪失日
<補足>
・「60歳到達による喪失」や「第2号被保険者への切り替え」などは、
→ 原則としてその日に喪失。
・死亡による喪失だけは「翌日」がルールなので注意。
【遺族基礎年金|保険料納付要件と例外】
<基本の保険料納付要件>
・被保険者が死亡した場合、次のいずれかを満たしていないと遺族基礎年金は支給されない
① 初診日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済+免除期間が「2/3以上」あること
② 例外要件:65歳未満で死亡した場合、死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に未納がないこと
<例外(救済規定)>
・死亡した者が「老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年以上)」を満たしているときは、
保険料納付要件を満たしていなくても遺族基礎年金を支給
<誤りやすいポイント>
・「保険料納付要件を満たしていなければ絶対にもらえない」と断定するのは誤り
・老齢基礎年金の資格期間がある場合は救済されるので、遺族基礎年金の受給が可能
この記事では遺族基礎年金についてご紹介しました。
次回に続きます!


